「辛い思い出との付き合い方」素敵すぎて素敵すぎて素敵すぎる NUMAYAさんの映画レビュー(感想・評価)
辛い思い出との付き合い方
この映画そのものが、素敵すぎて素敵すぎ!
とんでもない展開がポップでユーモラスに綴られますが、主人公の迷走っぷりが刺さります。
ラストの清々しさが最高で、私もこの映画に救われました。
『平坦な戦場で』が好きすぎる私は、大河原恵なる役者さんが気になりすぎて。
たったワンシーンなのに、エグっ。
説明しなくても2人の関係がわかるのは言うまでもなく。
全く悪気が無いのもわかるし、むしろ明るくて良い人なんだろうけど…。ムカつく。
イラっとさせる笑顔も絶妙。
主人公の孤独に拍車をかけるヤバイ演技。
遅ればせながらPFF2015入選監督であることを知りました!
やっぱり只者ではなかった。
そして、ちょうどこのタイミングで新作が劇場公開。
これは見に行くしかない!と、張り切ってチケット買ったのですが、仕事で間に合わず…
縁が無かったのだと諦めるところでしたが、前田弘ニ監督と遠上恵未監督がオススメされていたので2度目のチャレンジへ
電車の遅延でハラハラしましたが、なんとか間に合い無事に見ることが出来ました!!
出てくる人がみんな濃い!
だいたい、元恋人がカステラってだけでも摩訶不思議なストーリーなのに、主人公に負けず劣らず個性的なキャラクターだらけ。
だけど妙に説得力があって、居そうな気がする…
これが大河原ワールドなのか。
驚きの展開の連続に、突っ込みどころ満載で笑えますが、みんなそれぞれ自分が主人公のドラマを生きている。
とくにお気に入りは
学校の鉄階段と防犯カメラ映像。
私のドラマが進行している間も、他の人の軸でもドラマは展開している。
別々のドラマが重なる瞬間が、おかしくて愛おしい。
そしてラストの高揚感!
忘れたいのに忘れられない記憶たちが、女性の象徴とともに昇華される。
女性であることの理不尽さの象徴だと思っているそれを初めて身につけた時の気が狂いそうな窮屈さは一生忘れない。
胸のつかえが取れて、スッキリしました。
忘れたいことが忘れられないのは、忘れたくないから。
自分を肯定してくれた記憶を消すことは自己否定に繋がる苦しさ。
“無”にする為に苦しんでいる間にも、どんどん目の前に“有る”素敵が過ぎ去ってしまう。
忘れたいことに囚われて今を見失うのはもったいない。
一旦クラウドに保存しておいて…。
逆に私は思い出すと辛いけど忘れたくない記憶があるので
いつも空に私のカステラたちが浮かんでいると思うと前向きになれます。
