「「奇跡」を理解」栄光のバックホーム 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)
「奇跡」を理解
阪神ファンでもないので横田慎太郎という名前は、正直全く記憶に無かった。 が、俺も四十数年前には甲子園を夢見た一人なので、こういうネタは「観なくちゃならんだろう」と。 ただ、日本の実写野球ドラマ・映画はキャストの野球レベルが低くて白けてしまうことが多いことが一抹の不安を抱えながら映画館に向かった。
【物語】
横田慎太郎(松谷鷹也)は鹿児島実業高校の4番として甲子園出場まであと一歩のところまで迫りながらも、惜しくも夢を逃す。しかし、非凡な野球センスがスカウトの目に留まり、2013年のドラフト会議で阪神タイガースから2位指名を受ける。横田はプロとして甲子園で羽ばたくことに夢を置き換える。
3年目の2016年の開幕戦で早くも一軍のスターティングメンバーを勝ち取るが、思うように結果を残せず2軍生活に逆戻り。4年目こそ1軍定着を果たすべく始動した矢先に横田の体に異変が起きる。 ボールが二重に見えるようになった横田は医師から脳腫瘍を宣告される。大手術を受けるが、母のまなみ(鈴木京香)ら家族、監督・コーチ、チームメイトらに支えられながら、選手復帰を諦めずに病に立ち向かう。
【感想】
まず、懸念事項から。
主演松谷鷹也は元高校球児ということらしく、プレイシーンはまあまあ我慢できるレベルだった。ただ、チームメイト役は観てられなかった・・・
唯一動きが自然だったのは上地雄輔。横浜高校野球部出身の面目躍如。彼をもっと主要なキャラとして活用して欲しかった。
そこは目をつぶるとして、本題である横田の闘病生活について。 やはり相当に苦しいものであったことは良く伝わった。そしてクライマックスである引退試合のバックホーム。映画タイトル“栄光のバックホーム”だが、横田の著書のタイトル「奇跡のバックホーム」の方がより相応しいと思った。観る前は仮にもプロ選手なのだから奇跡とか栄光とか大袈裟過ぎるだろうと思っていたが、その前段を知ると確かに「奇跡」だった。
また、横田は如何に周囲の人間に愛されていたかも良く分かった。阪神優勝決定試合のエピソードも、一軍で活躍した選手でもないのに驚くが、彼の引退前の努力を皆が知っていたのと、人柄の成せる業だろう。
一方、映画としての出来栄えという点では、主演はともかく脇は結構名優で固めている割には、どこか素人芝居っぽさを拭えず、迫真のドラマとは言い難かった。なぜそうなってしまったのか良く分からないのだが、やはりアマチュア野球ならまだしもプロ野球を素人が演じることの限界なのかもし知れない。前述のプレイシーンの嘘っぽさだけではなく、主演の松谷鷹也が選手を演じるに十分な上背があることが裏目に出たか、元プロ選手のコーチ・監督がすごく貧弱に見えて、全然それっぽくなかったことも否めない。
とはいえ、実話の強みで何度も涙をこらえ切れなくなったことは事実で、一見の価値はあると思う。
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