「Toast」RED ROOMS レッドルームズ ブレミンガーさんの映画レビュー(感想・評価)
Toast
殺人の様子をダークウェブで見た事をきっかけに犯人にのめり込んでいく女性を描いた作品という事で気になっており、滑り込みではありますがなんとか鑑賞。
特典は本国版チラシでした。
スロースタートだなぁと思った序盤から徐々に徐々に怪しい方向へ向かっていき、ヒトコワをこれでもかってくらい見せつけてくれてゾクゾクしっぱなしでした。
3人の少女を殺し、その上ダークウェブにその模様の動画を上げたシュヴァリエという男の裁判に毎日のように通うケリーの様子を淡々と映していきますが、その淡々さがどんどん気味の悪いものになっていくという変化が興味深い作品でした。
明らかにシュヴァリエの推し活をしているであろう過激的なクレマンティーヌとふとしたきっかけで仲良くなるのですが、よくよく観てみると路上で寝泊まりしながら裁判を待っているケリーも大概だなと思いつつも、明らかに言動が尖りまくってるクレマンティーヌに目線がいってしまうのも妙でした。
TVのワイドショーに電話で突撃してシュヴァリエの無罪を証明しようとしたり、インタビューでもガンガン自分の発言をひけらかしたりする中で、何故かシュヴァリエの殺害動画を持っていたケリーがどんどん映像を見せていくところで違和感が確信に変わりゾッとしました。
目を覆うクレマンティーヌとは対照的にジッと見つめるケリー、もう辞めようと止めようとするクレマンティーヌを無視して2本目の動画を流し出すなどネジの外れた行動をし出してこれまた冷や汗もんでした。
そこから一歩引いて裁判に通うのも辞めたクレマンティーヌなんかお構いなしで裁判に通い続けるケリーはもはや恐怖もんです。
法廷に犯人の好みであろうブロンドの髪に青い瞳、しかも制服を着て突入していく様子は流石にゾワゾワゾクゾクしました。
最初からその格好ではなく、青のカラコンを装着し、矯正装置まで装着してニッコリはヤバすぎました。
めっちゃ嬉々としてやっているケリーには恐怖を覚えました。
ただ被告のシュヴァリエはそれを上回っていくものでして、今まではずっと俯いていたのにケリーのその姿を見た瞬間に目をギョロッとさせ、しかも手をウネウネさせて誘き寄せていたりとでヤバかったです。
3本目の動画を手に入れるためにダークウェブでのオークションに突撃し、仮想通貨全ブッパで手に入れた瞬間の静かに勝ち誇った顔は彼女の本性をソロっと出したなぁと思いました。
仕事も何もかも失いながらも手に入れての笑みは何故だか不思議と輝いていました。
若干オチは分かりづらく、被害者の自宅に侵入してみたり、部屋を覗き込んでみたりともう一悶着あるのかな?と思いましたがスッと終わって行ったので、ある程度ケリはつけて欲しかったなぁと思いました。
それでも全編飽きずに1人の女性の静かに狂った様子を眺められるのは最高でした。
末恐ろしや末恐ろしや。
鑑賞日 10/20
鑑賞時間 16:15〜18:15
