「It ain’t over till it’s over. (終わるまでは終わらない) ニューヨーク•ヤンキースの名捕手ヨギ•ベラの言葉より」さよならはスローボールで Freddie3vさんの映画レビュー(感想・評価)
It ain’t over till it’s over. (終わるまでは終わらない) ニューヨーク•ヤンキースの名捕手ヨギ•ベラの言葉より
取り壊しの決まった野球場に男たちが集まって草野球をする、ただそれだけの映画です。タイトルにあげたヨギ•ベラの名言のように試合というのは終わるまでは終わらないので、ちゃんと終わるまでやります。試合は劇的というほどでもないけど、まあそこそこ劇的で、かつ、ありがちだよなという決着のつきかたをして終わります(今さらながら気づいたのですが、野球ってホームラン打ってもエラーしても死球を受けても、どんなプレーをしても、どこか劇的に見えてしまう競技なんですね)。試合が終わるとプレーしていた男たちは球場を去り、映画も終ります。
観ていて、これ、いつ頃を舞台にしたお話だろうか、というのが気になりました。携帯電話は登場しません。男たちが球場に乗りつけてきた車や球場の片隅に置いてあったラジカセから推測するに1980年代末から90年代半ばぐらいかなあと思いました。となると、こいつら、自分と同年代から少し上ぐらいにあたるのか、と少し嬉しくなりました。その頃、職場の仲間たちとした草野球のことを思い出しました(軟式ですけどね)。軟式のボールは時折り変なバウンドの仕方をします。私がセカンドを守っていたときに自分の前に右バッターが打った小飛球が飛んできて、前に突っ込んでダイレクト•キャッチを試みるか、ワンバウンドで処理するかで迷いました。結局、待ってワンバウンドで取って一塁に投げてアウトにしようと判断したら、そのワンバウンド目がポーンと高く跳ね上がり、私の頭上へ。私は咄嗟に両手を上げてバンザイみたいな格好で斜め後方にジャンプしたのですが(と本人は思ってるけど実際はどうだったのやら)、打球は私の頭上をこえてセンター前へ。そのときの私の格好がよほどおかしかったらしく、味方の苦笑、相手方の大爆笑を呼ぶこととなりました。他の守備機会は無難にこなして併殺に参加したりもしてたんですけどね。このワンプレーがかつての宇野選手のヘッディングほどではないにしろ、しばらく語り草になったのでございます。
閑話休題で、この映画の話。日本には「団塊の世代」という言葉があって、1947年から49年の3年間に生まれた人々を指すそうですが、アメリカの「ベビーブーマー」という言葉にはもっと幅があって、おおよそ1946年から64年ぐらいまでに生まれた人たちを指すとのこと。これ、先ほどの年代の推測があってるとすると、この映画で草野球をやってるメンバーというのはベビーブーマー•オールスターズになると思います。この草野球が醸し出す哀愁というのは、青春時代をへて社会の中心になって活躍していたベビーブーマーが絶頂期からそろそろ老境にさしかかってきたというのを示唆しているのかもしれません。
ところで、この試合にはそんな年代には当てはまらない、白髪の老左腕投手が登場します。どこからともなく現れ、リリーフ投手としてマウンドに上がり、イーファスと呼ばれるスローボールを駆使して1イニングをピシャリと押さえ、そのイニングが終わるといなくなります。あの白髪のリリーバーは誰だったのでしょう。ひょっとして、球場に住んでいた精霊だったのでしょうか。
この映画にも出てくるのですが、野球でバッテリーと呼ばれる投手、捕手のコンビの話。「お前と組めてよかったぜ」とか言ってるんですよね。この映画を観ていて、誰が言ったか忘れてしまったのですが、バッテリーに関する名言を思い出しました。「俺たちが死んだら、一緒の墓地に埋めてくれ。墓石は迎え合わせにしてな。そして墓石間の距離は60フィート6インチ」。この60フィート6インチというのはバッテリー間の距離です。
いやあ、野球って本当にいいもんですね。
共感&コメントありがとうございます。
最後グダグダのまま解散していく・・謎の投手が現れたりフライが落ちて来なかったり、不思議な出来事にも気付かずにって所が狙いかな?とちょっと思いました。

