「観たくはないが、観るべきとも思う。日本の戦争映画」映画 太陽の子 特別版 虚無さんの映画レビュー(感想・評価)
観たくはないが、観るべきとも思う。日本の戦争映画
なぜ観たくないかと言えば、だいたい同じ雰囲気、同じ論調…戦争なんかしたって皆傷つくだけでイイことなんかひとつもないという反戦一色。そして、反戦は訴えるわりに、何がいけなかったのかを突き詰める反省色は、あってもほんのりとしか描かれないという…
この映画もお決まりの枠内で描かれていたと思います。
反戦を描くのに反対なわけでは決してなく、積極的に観たいと思えない理由を述べてみただけで、こうして観てみると、やはりたまには観ておくべきか、とも思うわけです。
…ただ、単純な直球ばかりだな、と。
日本の反戦映画の良いところは、いい役者が顔を揃えるところでしょうか。
今回はやはり三浦春馬さん観たさに鑑賞する気になりました。
生前からファンだったわけではないのですが、観るたびにイイ役者だなと思わせられます…
良い役者過ぎないところがイイというか。
感性豊かで、諄くならず、うっかりすると「出てたっけ?」となりかねないほど出しゃばらない。けれど注視して観るとホントにイイ役者なのです。
反戦の人であるアインシュタインを妙に悪の扇動者的に描いているかのような終盤は「?」となりました。
(アインシュタインはマンハッタン計画には参加していません。というか呼ばれていないんですよね。第一次大戦の時も大声で反戦を訴えてますし、ドイツやイタリアとも関わりが深かったせいでしょうか)
ルーズベルトに原子爆弾を造るように勧める手紙に署名したせいなのでしょうが、アメリカが造らなければ、ナチスかソ連が先に開発したに違いなく、そうなっていた場合を想定すると、個人的にはアインシュタインの行動に非を唱える気にはなれません。
この頃のアメリカは(今とは違って)正義に燃えたイイ国だったんですよね。積極的にユダヤ人を保護していましたし。
欲望丸出しで侵略戦争を仕掛けた日本としては、非難できない結末なのでしょう(長崎のプルトニウムの方は明らかに実験で、戦後の覇権争いのためのものだとは思いますが)
兵器を持っている限り、疑心暗鬼になって、他国より強力な兵器を持たねば、となるのは必然。
「戦いには勝利したが、平和を勝ち取ってはいない」と言ったのもアインシュタインでした。