ひみつきちのつくりかたのレビュー・感想・評価
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4人の共同主演 それぞれの「物語」を丁寧に追う
「野球ドアホウ未亡人」の藤田健彦さんが共同主演のうちの1人ということで、彼に縁の深い某ミニシアターで鑑賞。
同級生の葬儀を機に集まった4人のアラフィフ中年男の物語。
「ひみつきち」は地元で電器屋を営むもりたかおさん扮するクドーの気持ちは分かるが(個人の感想です。)不用意な行動がきっかけになって呆気なく崩壊、童心に還ったはずの4人は再びバラバラになる。しかしこの映画はここからが真骨頂、様々な「物語」を経て、再び4人は結集してラストシーンへとつながっていく。
4人の「物語」はあらゆる場面に散りばめられていて、観る人に「どこが刺さるの?」と監督が問いかけている様でした。私は廣末晢万さん扮するケンが都会に戻るときに「もしや?」と一瞬思うものの、そうでないことが分かり、少し安心して家から出て行くシーンです。このシーン、自分も沢山経験しているので、めちゃくちゃ刺さりました。言葉ではなく、映像て魅せてくれるので良かったと思いました。
ちょっと「物語」を丁寧に追い過ぎて時間が長く感じるところも正直ありましたが、全体としては、仲々良くできていると思いました。
展開のリアルさに引き込まれる
個人的に、年間ベスト10入りかもというくらいよかった。
だいぶ疎遠になっていた仲間たちが、同級生の突然死をきっかけに、物理的な手段も子ども時代に戻って、夏の6日間を使い「ひみつきち」を作ろうとする話。
ワクワクしながら純粋につくることを楽しむ段階から、次第にそれぞれの抱える問題が絡み合い、「子どもに戻りきれない大人な自分」と、「大人になりきれない子どもっぽさを抱えたままの自分」の両方に向き合わざるを得なくなる4人。
その展開のリアルさに、グッと引き込まれていく。
こういう、飾らない、ありのままの葛藤の中から「それでもよりよく生きていきたい」という気持ちを呼び起こしてくれる作品は、素直に大好き。
31歳でこの脚本を書き、編集も行ったという板橋知也監督。20歳も上のオッサンたちのあれこれを、こんなにリアルに思い描ける才能に心底驚いた。
上映館は多くないかもしれないし、若者には観られないタイプの作品だが、中年以上のオッサンたちにはきっと刺さると思う。オススメ!
<ここから内容に触れた備忘録>
・会話のやり取りが、どれもすばらしいのは、言外にその人の来し方がキチンと見て取れるから。
・思わず笑ってしまう場面が結構多く、そこがまた自然でよい。
・「最近、娘が話してくれなくて」みたいな本当に何気ない会話と、左足だけ踵の名前部分が塗りつぶされた上履きをちらっと映すだけで、「イジメに遭っていることを父に言えない娘」をパッと描き出す力量にうなった。
・野球どアホウ未亡人で怪演をみせた藤田健彦さん。本作では、打って変わった自然な演技で、本当にすばらしかった。
・「幸せかどうか」は、人に決められるものではないし、そう見られる人の苦悩もちゃんと救っているところがフェア。
・それぞれの仲直りの仕方がナイス。
・4人の男の話でありながら、家族があわせて描かれているところが、とてもよかった。
おっさんたちの悲哀
このおっさん4人のキャラそれぞれの群像劇になっていて
実にリアルで共感できた。
なんとノンフィクションらしい(エンドロールで確認)。
なるほど、だからリアルに感じたのか。
ただ、それだけではなく、演者の巧みな演技及び監督の手腕によるところが大きい。
ひみつきちをつくろう!という少年時代に戻ったような
おっさんたちの楽しそうなシーンとか、
TV番組に取り上げられてからのコンフリクトとか、
その後に訪れるそれぞれの悲哀とか、
あぁ、と共感できてしまう。
それは自分の実体験や知人の状況などに思いを馳せることができるからだろう。
(年齢もほぼ同じだし)
おっさんたちの会話の独特の間も良い。
空白を感じる場面が多いのだが、
それが本作全体をゆるっとした雰囲気にしていると思う。
4人の関係が修復される仕舞い方も秀逸。
50代のおっさんのみなさんに是非観ていただきたい作品だ。
最後に友達に「また明日」って言ったのはいつだろう
観自在菩薩行深
それなりに頑張ってた映画
自主映画ですが、面白かったです。
大人の男性が、子供の時に目指していた秘密基地を作ろうとする話。
結局、テレビで紹介したら悪ガキにバレて壊されてしまうのですが。
何となく爽やかに終わってました。
苦味を感じながら、前向きに解消するでもなく、極端に卑下するでもなく、かといってウジウジしないわけでもないが、それなりに懸命に生きていく。それが生きているおじさん
都内のアパートの⼩さな⼀室、50歳を迎えた佐藤がスパゲッティに頭を突っ込み急死を遂げる。佐藤の⼩学校時代からの旧友である山上は佐藤の葬式に参列するために地元へ帰省すると、 佐藤と共に少年時代を過ごしてきた旧友・御⼿洗(みたらい)、⼯藤、豊永と再会する。同じ町、同じ少年時代を過ごしてきたが、その後全く違う人⽣を歩んだ4人の初⽼たち。 葬式の合間に昔話や⾃慢話に花を咲かせていると、⼯藤が1冊の⼤学ノートを取り出す。そこに描かれていたのは、佐藤が⼩学⽣の頃に書いた『ひみつきち建設計画』。その夏、彼らは忘れていた子供心を取り戻そうと、あの頃に夢抱いていた”ひみつきち”を建て始める。しかし、彼らの⽬の前には様々な”⼤人の事情”が立ちはだかってしまう… (公式サイトより)。
タイトルとあらすじで何となくストーリーは見え隠れするが、物語の展開そのものよりも、おじさんが生きるってこういうことだよな、としみじみできる作品。
離婚して子どもに自由に会わせてもらえなかったり、どうやら愛娘はいじめにあっていたり、東京で成功しているものの孤独を抱えていたり、地元の電器店でそれなりに苦労していたり、何となく介護問題が迫りつつあったりと、それぞれに、ちょっとずつ苦味がある。そんな苦味を感じながら、前向きに解消するでもなく、極端に卑下するでもなく、かといってウジウジしないわけでもないが、それなりに懸命に生きていく。それが生きているおじさん。
いまを脇に置いておいて、すぐに当時に戻れる幼なじみは得難い存在だが、一度、苦味が噴き出すと、「だいたいお前は昔から」と時間軸がぐちゃぐちゃになって発露してしまう。そして、「あー、またやっちまった...」と新たな苦味が生じるが、アクティブに解決に奔走する必要はない。「ま、でもあいつの言うことも一理あるかー」とたおやかに自戒し、時がまたみんなを呼び寄せ、別にダンディでもニヒルでもシニカルでもなく、単に「ふっ」と笑い合ってまた明日が来る。それが幼なじみ。
恐縮ながら主演の4人はどなたも存じ上げなかったが、特に廣末哲万氏の力の抜けた、シュールなコミカルおじさんは魅力的だった。
ひろげすぎちゃったのかも。
冒頭の主人公のセリフがおもしろかったのだけど、
思い出せません。もう一回観る?と、言われるとちょっと。
作品自体はすごく良いものだと思います。
約1時間ほど。凄く良い作品だなあ。と、思って観てました。
ただ。終盤になるにかけて「まだ続くの?」という気持ちが…。
エンディングラッシュみたいになっていて、そこが残念です。
主要人物全員の人間像を描こうとしていて、描き切れていない。
そういう印象です、個人的には一人に絞った主観で良かったんじゃないかなあ。
なかなかの佳作
絵も話も脚本も良かった。
ほぼ撮影、編集、監督1人で作っている。
編集も監督がやってると言う事は繋ぎをある程度考えながら撮っている訳だから無駄がなくて良い。音はまだ少し課題があるが絵のセンスも良い、いろいろ見て勉強しているのだろうか、東京の西のはずれがまあまあかっこよく見える。
あとキャストが優秀である事もプラスに働いている。前半は多少演技過多を感じたが、はしゃいで馬鹿っぽくなるシーンもまあまあ抑えており後半は役者達もわかってきて落ち着く。
ニジゴミダマも渋いキャスティングだ。
ヒキガエルの声は違ってる。
初めは自分と同じ歳ぐらいの男子で脚本考え始めたが面白くならず年齢上げたら筆が進んだそうだ、、おっさんも舐められたもんだ草。
主演の4人がとにかく素晴らしい!この4人が揃ったのは奇跡
主演の廣末哲万さん、藤田健彦さん、佐藤貢三さん、もりたかおさんの演技が非常に素晴らしく、この映画でこの4人が揃ったのは奇跡、いや必然だったのか、舞台挨拶やトークショーで語られている話を知るとさらにこの映画が類稀なる作品であることが分かります。
そして、主演の4人以外にも素晴らしいキャストさんばかりで、一人ひとりのキャラクターやお人柄、制作の背景を知れば知るほど作品の魅力が倍増し、何度でも観たくなります。
下北沢の連日の上映にも皆さんが駆けつけてくださり、その姿を見てこの作品に対する想いがより一層伝わってきました。
話を聞き色んな事を知ったからか、1回目より3回目の感動が3倍以上でした。
4人全員に本年度の🏆最優秀主演俳優賞を授与したい心境です。
きっと男はずっと男子
子供の頃、たぶん石屋の在庫置き場であろう所の、積んだ石の隙間にゴザ敷いて、お菓子とか本とか持ち込んで勝手に秘密基地にしてた。
出てくる“元男子“たちとは同年代なので、すごく懐かしい気持ちでワクワクしたし、誰かに見つかった時点で破壊されるのもよく分かる。ミッチーの言うとおり、秘密じゃなくなるからね。
小学生の頃は「ちょっと男子〜」って、ひと括りで叱られたりしてたから、女性客はどう思っただろうか?
やっぱ男ってバカだねぇって思うのか、ケンちゃん娘のように羨ましく思うのか。
実は女子も秘密基地を作ってたのかな?
とはいってもみんな大人だから、それぞれ悩みを抱えているわけで、ふとした事で不満やら思うところが噴出して。
友だちだから憎み合うことはなくとも、なんだか仲直りの仕方も忘れてたり。
ひみつきちきっかけで、それぞれの身の上は良い方に向かって良かった。
序盤のお葬式のシーンからスローモーションや俯瞰のアングルなど、良い意味で無駄にカッコいい。
まさに上映後に監督が言っていた、アルマゲドン感。
セリフまわしなんかも間合いが絶妙で良かった。
同級生と観たら楽しいだろうな
「GLUTTONY」ではない
小学生の頃からの友人が亡くなり、葬儀で再会した同級生4人組が、子供の頃にみんなで思い描いた秘密基地をつくる話。
個人の遺品整理をしていたら、俺たちのノートが見つかり、ノートに書いてあったオレたちのアジト計画の秘密基地をつくろう!となっていく。
肛門がなんちゃらから始まって、すんなりは始まらないけれど、つくり始めたらそりゃあワクワクだよね。
からの誰も直接そこを責めなかったけれど、おい電気屋!からのズレが溝になって行く感じは仲が良ければこそ!?いや、やっていることが秘密基地づくりだから子供時代に帰っちゃったのかな?
実際にそうなるかどうかは別として、この辺の機微やそこからのぶつかり合いと反省とその後と、とても良く解るし良い締めだし、小さな世界の小さな話しだけれどなかなか面白かった。
ところで…東京から遠いかなりの田舎が舞台かと思いきや、まさかの西多摩?あきる野?なんなら都内にギリギリ通勤圏内じゃないですか…まあそこはどうでも良いですね。
(´・ω・`)
あっ、あと50代のサラリーマンなら香典袋の名前は薄墨で書こうね。
4人がゴソゴソと集まってゴソゴソと楽しんで中途半端に挫折して
笑えて、泣けて、笑えます。
"おじさん"を演じるおじさん俳優さん達のお芝居の絶妙さ、細かな人間描写を嫌味なく無駄なく伝えてくれるテンポ感、俯瞰しているのか寄り添っているのかそのラインが程良い音楽、この映画の優れた点を挙げるとキリがない。
一見おじさん達の物語のように見えるかも知れないけれど、おそらくすべてのオトナに届く言葉が、シーンがこの映画には詰まっている。
ぜひ、ご覧下さい。
出逢った頃のように
おっさんの青春を感じられそうで、予告すら見ずに鑑賞。
「“大人の事情”が立ちはだかる」とあったので、行政や近隣住民とモメるのかと思いきや内々の話でした。
コメディとは理解しつつも、葬儀に遅刻したり半袖やボタンダウンシャツ、果てはジャージを着てきたり…
会話もブラックというより不謹慎。
基地づくりを通して童心に還る流れを想像してたので、はじめから子供オヤジなのは少し残念。
ただ中盤はそのノリのわちゃわちゃが楽しい。
子供の頃にも出来た方法だけで、という縛りもあるが、思い出話をしながら作業する様はまさに青春。
(園芸用スコップで70cm掘るのは無理ゲーだが)
しかし豊永の態度は引っ掛かり、御手洗にケガをさせても謝りもしない。
更には工藤が勝手にTVの取材を受け、挙句に許可もなくみんなの顔まで晒すという有り得なさ。
何故かひと晩で場所が特定され秘密基地は破壊。
この流れでの離散となるが、豊永にも工藤にも言い分に正当性がゼロなので「そりゃそうだ」としかならん。
その後は地元組と都会組とでそれぞれの人生を肯定するような会話が展開するが、やや間延び気味。
そして冬になって再集合からのなし崩しの和解エンド。
この辺もうちょいなんとかならなかったかな。
それぞれの家族のことも上手く絡んでおらず、豊永に家族がないことが一番活きてたような…
山上が元妻相手に一歩踏み出すのも、本筋との繋がりがビミョーだし。
亡くなった佐藤が秘密基地に何か想いがあったとかでもなく、作品として纏まりが不足してた。
シュレッダー越しなど面白いカットはある。
虫やメダカといった生き物のインサートも印象的だったが、“止まれ”の標識を出すタイミングは早すぎでは。
題材や雰囲気はよかった分、勿体なかった印象。
キャスト全員が愛おしく思える
ひみつきちのつくりかた
映画「ひみつきちのつくりかた」全てひらがな表記のこちらの映画...果たしてどこまで時を遡るのか...気付くと何時しか自分時間も巻き戻していました...。
50才になった今、今日までそれぞれの"場所 "で
生きてきた同級生4人が、同級生の死をきっかけに「ひみつきち建設計画」を遂行すべく "地元" で同じ時を重ねる6日間のお話=過去と現在を行きつ戻りつ~人生への希望や憧れ、葛藤や諦め等
様々な感情が交錯します。そして時には仲違いや嫉妬も...。
ワールドプレミアでは若干31才の新進気鋭の板橋監督にそれぞれの個性豊かなキャラクター作りに質問が集中していましたが「何時の年代にもそれぞれの悩みや辛い出来事はあるし、コロナ禍の時期の閉鎖的な気持ちや実際に自分的にも辛い出来事があったり...なので真逆な作品にしたかった」と言うお言葉が印象的でした。
大人になった今だからそこ楽しめる映画であるのと同時に年代問わず楽しめる映画「ひみつきちのつくりかた」は、夏の暑さが楽しかった!?あの頃に
戻りたくなる映画です!!
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