ハウス・オブ・ダイナマイトのレビュー・感想・評価
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画面を三分割にして、3つの章を同時に再生させてみたいですね(著作権侵害になるからしたらダメよ)
2025.10.16 字幕 アップリンク京都
2025年のアメリカ映画(112分、G)
ある地点から発射されたICBMに対応するアメリカを3つの視点で描いたスリラー映画
監督はキャスリン・ビグロー
脚本はノア・オッペンハイマー
物語は、3つの章によって構成されている
第1章は「INCLINATION IS FLAT」で、第49ミサイル防衛基地にて、ダニエル・ゴンザレス(アンソニー・ラモス)率いる部隊が「日本海付近から発射された飛翔体」に対して、迎撃体制に入る様子が描かれていく
その情報は、WHSR(ホワイトハウス・シミュレーションルーム)に届き、オリヴィア少佐(レベッカ・ファーガソン)を中心としたチームが情報収集を行なっていく
第2章は「HITTING A BULLET WITH BULETT」で、南北戦争の再現イベントに参加していたNSA職員アリ・パーク(グレタ・リー)のもとに、同僚のジェイク(ガブリエル・パッソ)から連絡が入り、北朝鮮が撃った可能性についての確認などが入る様子が描かれていく
さらに、迎撃失敗を受けて、ブレイディ将軍(トレイシー・レッツ)率いる戦略軍の「次の一手」というものが進言されていく
第3章は「A HOUSE FILLED WITH DYNAMAITE」で、大統領(イドリス・エルバ)のもとに情報が集まり、着弾阻止失敗を受けての「報復に対する決断」というものが描かれていた
ほぼ同じ尺を使って、3つの視点をリアルタイムで描いている作品となっていて、「画面を三分割にして同時に観たい」と思ってしまう作品だった
多少のズレが出るのでアレだと思うけど、それができそうなほどに緻密なシナリオになっていたと思う
うとうとしてしまうと「第2章」が「二発目のミサイル」と誤認してしまいそうで、「CHAPTER」表記がないので3章立てになっているかどうかも分かりにくい
個々の役職の字幕表記はないものの、どの部署や組織が絡んでくるのかは描かれているので、そこまで混乱することはないと思う
情報収集を行うWHSR、政府存続のために動くFEMA、報復に対するアドバイスをするNSA、報復を辞さないSTRATOMが中心となっていて、そこに最前線である「第49ミサイル迎撃基地」が登場し、そこのコントロールによって、GBIがSBX PRDARから発射されている
ビデオ会議には、大統領とベイカー国防長官(ジャレッド・ハリス)が不在で、その他にはSTRATOMのブレイディ将軍(トレイシー・レッツ)やINDOPACM(インド洋)、USFK(在韓米軍)、NORTHCOM(北太平洋)、CJCS
統合幕僚長)などが登場していた
大統領と連絡が繋がらない間には、NORTHCOMの権限で第49ミサイル防衛基地に指令が送られてGBIが発射されていたが、大統領が捕まった頃には迎撃が失敗している状態だったりする
そこから、報復と冷静の応酬になっていて、大統領が板挟みになっていて、夫人に助けを求めていたりした
映画では、最終的にどうしたかまでは描かないのだが、音を聞いていると「何かしらの音」というものがエンドロールで流れているのが聞こえる
その音は「シカゴに着弾した音」にも聞こえるし、「報復攻撃のミサイルが発射された音」にも聞こえてくる
映画は、アメリカに有事が起こった時にどのような対応をするのか、を描いていて、実際との乖離に関してはわからない
だが、迎撃に時間を要するとか、2発目を撃たずに諦めるとか、報復の決断に至るまでの時間も「悠長なことをしているな」と思えてしまう
このあたりの演出に意図があるとするならば、「トランプ大統領、まさかこんなグダグダなことにはならないですよね?」と訊いているように思える
戦争映画だと「間違ってもいいからとりあえず北朝鮮を滅亡させる」ように思うし、わからないので「可能性のあるところに全部撃つ」みたいなことをしそうに思う
だが、実際には「報復相手が不明瞭な中で、メンツだけで報復するのはいかがなものか」というスタンスになっていた
それをアメリカ国民がどう感じるかはわからないが、映画の中に登場する米軍というのはかなり印象操作されているように見えてくる
なので、実際に起こると、ほとんど何もできないまま終わってしまうのかな、と思った
いずれにせよ、かなり人間関係と職域に関する知識が必要な作品で、一応第1章で全体像が説明されるので飲み込みやすいと思う
それよりも「実は3章構成で、同じ時間を別視点で描いています」とわかることの方が難しく、第2章の途中くらいまでは「あれ? いつの間に着弾して、2発目が来ているの?」みたいに混乱してしまうかもしれない
なので、ぼうっと観ていると混乱してしまうので、集中して鑑賞できる環境の方が良いのではないか、と思った
ネトフリ映画なのでパンフレットもなく、ネトフリの先行上映なので本国のレビュー情報もほとんどない
配信が始まれば一気に情報は加速度的に増えるので理解は進むと思うが、劇場鑑賞だけで理解するのはかなりハードルが高い映画だった
ある程度まとめてみたものの、間違っていたらごめんなさいレベルなので、鵜呑みにして拡散するのだけはやめてほしいとだけは付け加えておく
超細分化された詳細なマニュアル
映画館で観る予告編以外に予備知識なく、地元の小さい映画館で観ました。(全然混んでません。)
「ハートロッカー」といい、この映画といい、タイトルが個性的。タイトルからは内容がわかりません。
観るまで隕石が激突するとか、宇宙人が襲来するとかそんな事態に際しての地球人の対策対応をリアルに描いたのかと思ってました。
とにかく、ドキュメンタリーのようなリアリティーと緊迫感、緊張感がすごい。
当初は北の将軍様の国にありがちな「かまってちゃん発射」だろうと思い込む人々、そこから安全バイアスもあっての楽観論をぶち破って進展する事態に従い緊迫感が高まっていくのがリアルタイムに近い感覚で迫ってくる。
どこまでリアルなのかはわかりませんが、世界最高の米軍の迎撃システムが成功率60数パーセント、まさに「コイントス」なのが意外だった。
同じ場面が数回繰り返され、場面を共有している人々のそれぞれの視点からの対応が描かれるが、どのシーンなのか、印象的な言葉から分かるようになっているのが上手い。
各人が懸命に役割を果たすなかで、精いっぱいの大事な人たちへ思いがある。焼け石に水かもだけど、それぞれの、人間性むき出しの切羽詰まった行動が切ない。何も知らない相手に電話をかけて、それぞれのお別れをする。小さい規則違反なんかどうでも良いから部屋の外の携帯を取り出して愛する人と最後の会話をする。国防長官の最期には驚いたが、このような事態を許してしまった自分を責めてのこと、または、今後起きうる世間からのバッシングの嵐を予想して悲観した、からなのだろうが、重大な局面での職務への責任を回避したか、もうどうでも良くなったのか、とも思ったりする。
多くの機関と膨大な従事者がいながらパニックにならず、カオス化しないのは、あらゆる機関と部署全体で共有する、細分化された詳細なマニュアルがあるから。
まず、フローチャート式で誰でも使いやすい。人々は当てはまるところに書かれた指示に従って専門家が指定した最適な仕事をするのみ、個人がどうすべきか迷ったり決断を求められる余白がないので極めて効率が良い。
葛藤はほぼ皆無、無駄な争いも起きず、力関係で決まることもない。
その中で、唯一、自らの意思で決断を下さなければいけないのが、アメリカ大統領。
(決定するのはただ一人だけというのも大変理にかなっている。)
声だけでなかなか登場しなかったので、「どう見てもとらんぷ」な人なんだろうと思っていたら違った。
人類史上、最も重い決断を迫られる大統領は、自分の不運を呪っているが職務を果たそうとする。でもおろおろと迷うばかり。
常に重そうな黒バッグを持って大統領の側で控えている軍人は、こういう事態になった場合、大統領に事態とマニュアルの説明をするためだけの特別任務だとは。こんな人まで配置するアメリカの国防組織の緻密さに恐れ入った。カバンの中にはあの有名な核発射ボタンとキーも入っているんでしょう。
しかしこれだと大統領より落ち着いている黒カバン氏の意思が全世界の行く末を決めてしまうことになりかねませんね。
てかむしろ、新聞読むだけマシ、な大統領一般なので、大統領の決定の体にして黒カバン氏のアドバイス=軍のスペシャリストの意思を通す仕様な気もする。
ラストは賛否あるでしょうが、私はあれで良かったと思う。
単に尺の問題はあるが、結果まで描くとしたらどこまでやればいいかということになるし、SFチックになってしまって、そこまで着々と築いてきた、ドキュメンタリーのようなリアリティで描かれた緊張感張り詰める世界が、テイストが一変して崩れてしまいそうなので。
そもそもキャスリン・ビグロー監督は、起承転結のあるストーリーを撮ったわけではなく、人類の危機の始まりから着弾までの20分にも足りない時間を切り取って、危機が刻々と迫るシチュエーションそのものと、その場その時にうごめく人々のありさまを見せたかったのではと思う。飛び抜けた主役がいない群像劇なのも、多分そこからきていると思う。
アメリカの国防組織の厚みと緻密さを目の当たりにして驚きの連続だった。
あのようなマニュアルがあることだけでなく、最先端の武器、装備、機材などのモノはいうまでもなく、ソフト面でも、あらゆる事態を想定し計算し、人の生理や心理、行動様式も考慮に入れて最短最善の効果が上がるように幾重にも手当てが施されているのが驚異的。
さすが世界一の軍事大国
その様を多くの人に見せることが、実はこの映画の裏テーマだったかも。
核は一発撃たれたら世界は終わりだと実感しました。
我々、まさに「ダイナマイト🧨の家」で辛うじて生きている、いつ突然終わるか分からない危機に、ずっと直面し続けているわけです。
シミュレーション映像に感じた
・テレビで大地震が起きたらこんな二次災害が、、、みたいな感じがした。登場人物も感情移入するには少ないし、映画としてはあまり面白くなかった。
・ミサイル発射から着弾までのチャプター分けして同じところを別角度で進めていくのは良かったけど、そこだけで終わるのは映画として観てて苦しかった。その後や、決断の後を知りたくなった。その辺りを観客に委ねた異色作って意味では記憶にずっと残りそう。
・弾道ミサイルが飛んできても、コイントスくらいの確率でしかない上にプランがひとつしかないのかと思うと、厳しい訓練の末に何もできないのかって思うとたまらないだろうなぁと思った。今後、ミサイルのニュースとかを観たら、ああいう会議が開かれてるのかもなというのが、わかったのは良かった。
・報復の決断が着弾前っていうのが驚いた。そんなに早く決めるものなのか、と。
・字幕が早いし見づらくてしんどかった。
人類の愚かさと儚さ
前作「デトロイト」が非常に印象深かったキャスリン・ビグロー監督の久々の新作ということもあってかなり期待していたが、結果はやはりビグロー監督らしい力作だった。
ストーリー展開をあえてICBMの検知から着弾までの約20分間に集約し、その同じ20分を3回違う視点で繰り返す事によって複雑な状況を観客に分かりやすく整理しながら見せ、かつ様々な登場人物の群像劇を合間にさりげなく描く構成が結果的に物語の「深み」を何層にも増していったように感じた。核兵器や戦争の怖さやシビアさだけでなく、個人のささやかな幸せや生身の人間の弱さなども併せて描くビグロー監督のバランス感覚の良さ。やっぱりこの人は上手いなあと思う。
そしておそらく賛否が大きく分かれるであろう、原因が何も解明されない展開と最終的にどうなったか何も分からないラスト。僕はこれには大賛成だ。結局のところビグロー監督は「何が起きたか」や「どうなったか」を描きたかったわけではなく、そこまでの「歪んだ成り立ち」や「人々の日常が消えるまで」を描きたかったのだろうと思っている。核兵器を使用しようがしまいが世界の在り方そのものが火薬にまみれているという重い現実があり、だからこそ「ハウス・オブ・ダイナマイト」というタイトルを付けたのだと思うのだ。つまりICBMはどこから飛んできたのか、大統領が最後にどんな決断を下したのか、シカゴが果たしてどうなったのか、アメリカは報復するのかしないのか、それらはこの映画において大した意味は持たないということだ。それが納得できるかどうかは人それぞれかなと思うが、僕はこの終わり方が非常に非常に好きだ。
少し話は逸れるが、昔の漫画で藤子不二雄の「異色短編集」というものがあり、その中に「ある日…」というエピソードがある。映像サークル映写会に集まった4人がそれぞれ自主制作した映像を見せ合うのだが、最後の佐久間と言う男が「ある日…」という作品を上映し始める。この作品はずっと人々の日常がランダムに描かれるだけで何も起きない。すると突然「プツン…」と上映が終わってしまう。他の参加者たちは「なんだこれ」「意味が分からない」と皆で佐久間をバカにするが、佐久間は「“ある日”突然の核戦争により当たり前にあった一庶民の生活が消滅する」という作品の主旨を説明するのだ。でも3人はそんな佐久間の主張に対して「唐突すぎる」「伏線もない」「説得力ないね」と受け付けようとしない。しかし佐久間も負けずに言い返す。「あんた達だって知ってるはずだ。世界を何度も焼き尽くすに十分な核ミサイル網が、今この瞬間に発射可能な状態で世界中に配置されているのを。網の密度は濃くなる一方なんだよ。保有国だってこの先どこまで増えるか。地球を燃やすにはもう、ほんのちょっとした火花で足りるんだ」と大声で力説する。そしてその直後、この漫画のラストはまさに「プツン…」と真っ白なページで突然終わる、という非常にブラックな作品だ。この話は僕の記憶の中で非常に強く印象に残っており、今回の「ハウス・オブ・ダイナマイト」もまさにこの漫画と同じ匂いのする作品だと思うのだ。ちなみにこの短編集は他にも強烈に面白い話がてんこ盛りなので未読の人にはぜひ強くお勧めしたい。
結論。今回のビグロー監督にも大変満足でした。
Have a nice day!
で始まるいつもと変わらない朝。
アメリカ本土に向けて発射されたミサイルがシカゴに着弾するまでの米国政府の混乱と対応を、危機管理室(レベッカ・ファーガソン)、分析官(ガブリエル・バッソ)、大統領(イドリス・エルバ)と周りの人たちの視点で、3回繰り返してみせる。
最初から最後までを一気に見せてほしかったような気もするが、それだと登場人物が多いからついていけなかっただろう。これが画期的な構成なのかよくあるやり方なのかは分からないが、全く視点が変わる訳でもなくところどころ重なっているので、よく理解できたし、3回あの緊張感を味わうことができた。
豪華なキャストではあるが、下手に顔見せのゲスト出演みたいな出てきかたじゃないのがいい(日本映画みたいに)。中でもやはりレベッカ・ファーガソンは魅力的。
迎撃ミサイルを発射した軍事基地の若い女性兵士たちもよかった。緊張と絶望がよく伝わってきた。
アメリカ大統領は常に抑止力と称する核のスイッチを携行している。オバマ大統領が広島を訪れた時ですら、この映画と同じように黒鞄がずっと付いていたのを思い出した。
迎撃ミサイルがあてにならない(銃弾で銃弾を撃つ)のと、アメリカの安全保障にとって日本は、この映画のキャスティングと同じように眼中にないというのがよくわかった。
劇場で観た方が絶対良い。
でも劇場公開だけでなく配信にした方がたくさんの人が観るんだろうな。
【”今、そこにある危機。そして大統領の決断と報復自殺。”今作は、シカゴに向けて発射されたICBMに対し、緊張感溢れ対応する様をホワイトハウス危機管理室、国防長官、大統領の視点で描いた作品である。】
■ある朝、オリビア・ウォーカー海軍大佐(レベッカ・ファーガソン)は、夜中の三時に熱を出した幼子を看病し、夫に子供を託し、ホワイトハウス危機管理室に出社する。入り口で持ち物を検査機に通し、スマホは保管庫に格納する。
入室すると、突然、ICBMが発射された事がスクリーンに映し出される。コンピュータにはウィルスが侵入したのか、何処の国から発射されたのか、分からない。
アメリカの迎撃ミサイルは、ICBMを撃墜出来ず、着弾地はシカゴと推測され死者はシカゴ市民1000万、その風下の100万と推測される。
ロシア外務大臣との電話で、ロシアはICBM発射を否定し、マーク・ミラー海軍大将( ジェイソン・クラーク)等は、北朝鮮、中国の関与の調査を指示し、且つ自国の原子力潜水艦に報復戦の準備を指示しつつ、大統領が不在の中、リード・ベイカー国防長官(ジャレッド・ハリス)に指揮権を委ねるが、混乱の度合いは増して行くのである。
◆感想<Caution!内容に触れています!。>
・冒頭から、キャサリン・ビグロー監督らしい、”無茶苦茶、調べ上げたのだろうな。”と思う程、リアリティ感溢れるホワイトハウス危機管理室の室内の設定が凄い。
だが、想定外の出来事に、危機管理室内は混乱し、オリビアは室外に出てスマホを取り出し、夫に電話し、”サヨナラ”を言い、子供がくれた小さな恐竜のオモチャを握り、涙するのである。
マーク・ミラー海軍大将は、出勤者の名簿を作るように指示し、それに対し”死亡者リストでしょ。”と呟くオリビア。だが、スクリーン上では機械的にミサイルの軌道が映し出されるのである。
ー このシーンでは、オリビアたちはアメリカ政府が当然、報復攻撃をすると思っているのだな、と思いながら鑑賞する。-
・リード・ベイカー国防長官は、状況に対応しつつも、シカゴに住んでいる娘と連絡を取り、彼女の幸せそうな声を聞き、涙するのである。
そして、彼は待たせてあった政府専用ヘリに乗り込むために歩いて行くが、そのまま通り過ぎ、ビルから飛び降りるのである。
ー 今作では、米国主要ポストの人間でも、緊急時には一個人に戻る様をキチンと描く事で、緊急時の混乱の度合いを見る側に伝えているのである。-
・”所在地は曖昧に映される”米軍基地の兵士たち及び関連専門家たちの姿も効果的に描かれる。
1.飛翔体を迎撃ミサイルで撃墜する役割の少佐(アンソニー・ラモス)は、迎撃失敗を見て、部屋から飛び出し、激しく嘔吐するのである。
2.ステルス戦闘機に乗る兵士二人は、報復攻撃の指示を待っている。
3.休日なので、息子と南北戦争の事実上の決戦となったゲティスバーグの戦いの戦地でのイベントに参加していた北朝鮮問題専門家アナ・パク(グレタ・リー)に入った緊急連絡の際に、彼女が北朝鮮が関与している可能性をスラスラと話す様は、ナカナカに意味深である。
・二度目の迎撃ミサイルがICBM撃墜に失敗する過程で、画面には”銃弾で銃弾を撃つ”と出る。
私は浅はかにも、迎撃ミサイルは、ほぼ100%飛翔体を打ち落とすモノだと思っていたがナント60%台である事が明かされる。それを聞いたリード・ベイカー国防長官が言葉が印象的である。”コイン・トスか!”
ー だが、これも、国防長官が迎撃ミサイルの撃墜率を知らなかったという事をシニカルに描いているのである。更に言えば、【核の脅威に本当に対応できているのか!】というキャサリン・ビグロー監督のシニカル且つ世界の核競争に対する激烈な怒りのメッセージでもあるのである。
・時系列は少し戻り、アメリカ合衆国大統領(イドリス・エルバ)はチビッ子バスケットボールチームとの交流をしているが、急遽、大統領専用車でホワイトハウスに向かう。
その車中で大統領は、冷静な連邦緊急事態管理庁のロバート・リーブス海軍少佐(ジョナ・ハウアー=キング)から、報復攻撃の”ランク”の説明を受けるのである。真っ赤なシートは全面報復、黄色は一部報復・・。
ー このシーンは興味深かった。勝手にあの分厚い冊子は、キャサリン・ビグロー監督が創造したモノではないかと思ったのであるが、あるかもしれないなあ、とも思ったのである。
そして、”報復自殺”という言葉。-
<この映画は、アメリカ合衆国大統領の選択まで、”敢えて”映していない。そこに隔靴掻痒感を覚える方は、今作の評価が低くなるであろう。
だが、私はイドリス・エルバ演じるアメリカ合衆国大統領は、”報復攻撃をしない選択”をしたと思う。
理由は、劇中で平和そうに暮らす市民の姿がしばしば映されているからである。大統領が出席していた未来あるチビッ子バスケットボールチームとの交流シーンや、ゲティスバーグの戦いで命を落とした兵士たちを鎮魂しつつ、戦が終わった事を祝う市民たちの姿。そして、最終盤に映される核避難シェルターに続々と人々を入れていくトラックのショットからである。
今作は、シカゴに向けて発射されたICBMに対し、緊張感溢れ対応する様をホワイトハウス危機管理室、国防長官、大統領の視点で描いた作品なのである。
そして、これも敢えて書くが、今作は、キャサリン・ビグロー監督の、世界の核競争に対する激烈な怒りのメッセージでもあるのである。>
<2025年10月13日 劇場にて鑑賞>
今そこにある危機
私はキャサリン・ビグローは「ハートロッカー」以来。北朝鮮からミサイルが撃たれる危機がある日本では他人事でない話。
ある日、アメリカに向けてミサイルが発射されたアメリカ政府の混乱ぶりを描く。綿密に取材されたと思われる、緊急時のアメリカ政府の対応が凄くリアルで緊迫感たっぷり。色々な人が出てくる群像劇な側面があるが、ストーリーが混乱することなく、皆それぞれしっかり描かれていて入り込めた。
ラストを描かず、想像に任せるというのも良い。
後記。「デトロイト」観てました。
「お薦めのメニューを教えてくれ!」
あの粗筋で112分何をやるんだろうと思ってたら、同じ時系列を3回やるだけでした。
それにより新たに見えるものがあればよかったが…
とにかく1章目が非常につまらない。
多くの登場人物と専門用語モリモリの会話が早口で入り乱れ、全然アタマに入らず。
しかもほぼ指令室内だけで画面も退屈。
まぁ必要な情報は「出所わからんけどミサイル飛んできててクソやべぇ」ってだけなんだけど。
2章目で少し整理できて面白くなってきたと思ったら、あの終わり方…
ミサイルの発射元も、着弾の結果も、大統領の決断も、その後の様子も何もナシ。
お偉いさんたちの混乱を見せられただけ。
親バカ無責任国防長官なんか長々と映して何が言いたかったのか。
字幕の付け方も最悪で、ひと繋ぎの台詞を下に出したり右に出したり、見づらいことこの上ない。
どこに出るか分からないので常に画面端に注意を払わなくてはならない。
しかも、同じ人物の名前と役職を何回出すのよ。
それ気を取られたせいで台詞を読みきれなかったり…
確証どころか根拠もほぼない中で「報復」と言って核攻撃を検討してるの、恐すぎ。
まさかのプランB無し!笑
アメリカをひたすら無能で愚鈍に描いたブラックコメディ、ということでよろしいかな?
日本を戦場にしないでくれよ
緊迫感が重すぎて涙出た
位置的に日本も怪しいのにまったく疑われないのは完全に飼い犬なんですね
複雑な心境です
日本では宝島や沈黙の艦隊とかアメリカを意識した映画が多いけどチワワが吠えとるって感じなんかな
日本の可能性も捨てきれないとか言ってほしかったです
最近聞かなくなったJアラートも裏では あんな感じなんですかねお疲れさまです
弾道ミサイルをミサイルで迎撃するたとえが弾丸に弾丸を当てるってマジなん
それ無理なんじゃないかな
結局着弾する直前でおわるので核?犯人?プロポーズは?って感じですけど
面白かったです
警鐘
ほとんどあらすじを読まず、キャスリンビグロー監督というのをみて鑑賞。キャスリンビグロー監督作品は音に力を入れている作品も多いため、テレビの小さい画面よりは映画館で観るほうが格段に良さそう。
アメリカに未知の攻撃が仕掛けられたら…その時どうする?という話。日本でも現実に起きそうでとても他人事とは思えず恐怖。ほんの数分で1,000万人の命が消滅する事態。もしこれが日本やったら?東京の人口は1,400万人。壊滅的な被害である。
最後まで身を挺して必死に止めようとするもの、現実を直視できず逃げるもの、国防のため避難シェルターへ移動するもの…どの選択肢を取っても地獄。
特に、あの大統領の判断は非常に困難。(登場するまでトランプ大統領がモデルやと思っていたので驚き)
判断材料があまりにも少ない中で当たりをつけて攻撃をするか、それとも神に祈るか…攻撃対象が明確にわかっているならまだしもわからないあの状況で、核のスイッチを押せるのか?抑止力のための核が実際に使われてしまうそんな世界には決してなってほしくない。新しい大統領は新聞を読むだけまだましというセリフは各国政治への期待値は同じくらいなのかもと思い印象に残った言葉やった。
日本の地下シェルター普及率は1%未満と言われている。韓国やスイスでは国民をカバーできるほどのシェルターが用意されている。地形的に不利な国ほど戦争に対する準備はできているのだろうが、日本でも地下シェルター整備が本格化すると聞き時限爆弾は刻々と時を刻み始めていると感じる。これは他人事ではない。
鑑賞動機:今週はあんまり…ってキャスリン・ビグローだとお?!10割
完全ノーマークでした。ネトフリは…宣伝しろや、見逃すところだったじゃないか、もう!
『デトロイト』以来かな?相変わらず、ずしりと重い現実を突きつけてくる。微妙に揺れるカメラが、不安感を煽る。少しずつ描写する人物を変えて群像劇になっているのが、大変よろしゅうございます、大好物です。声だけだったところで何が起こっていたのかの描写が上手い。終盤座席で飛び上がったわ。あのステルス戦闘機は、報復攻撃用の核弾頭を積んでいるってことなのかな?
悪夢から覚めた…と思いたい。明らかな故意でなくたって、それこそヤケやミスでだって起きうるのだから。
起承転承転承転 完
2025年劇場鑑賞279本目。
エンドロール後映像無し。
ネトフリ作品なので当然パンフレット無し。
なので減点0.5。
アメリカにどこからかか分からないけどミサイルが飛んできて、着弾するまでの20分足らずを3回繰り返す作品です。
いよいよ着弾となって、さぁどうなる、どう決断する、という所で時間が巻き戻り、先ほどオンライン会議で音声だけ聞こえていた人の方の映像が見られて何が起きていたのか見ることができる、という事が2回起きます。
そろそろ上映時間も終わりそうだし、4回目はないだろうな、と思って、この後結局どうなるんだ、と楽しみにしていたらそのまま終わってしまいました。最悪!
この映画の最大の見どころは、核を撃たれた相手に報復するかどうか、という事なのですが、そもそも核かどうか分からないし、撃った相手が分からないのに多分ここだろうという適当な判断で核を撃ち込もうとしているアメリカが怖すぎました。でもそれも最後まで描いて初めて成立する話なので物語として破綻していると思いました。
それにしてもアメリカにミサイル撃ち込まれて1回失敗したら代案もうないです諦めましょうってマジか(笑)
大統領のキャラ設定が中途半端?
アメリカが東アジア周辺国から大陸間弾道ミサイルを撃ち込まれた際の混乱を描いた作品でした。構成は「アラスカの軍事基地 → 司令部 → 国防長官 → 大統領」と場面が移り変わる形式で、場面が変わるたびに時系列がリセットされるという独特の仕掛けが特徴でした。最初はこの構成にかなり戸惑いました。
もう一つ印象的だったのは、大統領(イドリス・エルバ)がなかなか姿を現さないこと。大統領をはじめ関係者らが参加するオンライン会議の画面では、大統領の顔は常にOFFのままで、声だけが聞こえます。その声が、どう聴いてもトランプそっくりのダミ声で、話し方までそっくり。ところが満を持して大統領が姿を現すと、なんと黒人大統領という意表を突く演出。さらにエンドロールを確認すると、会議中の大統領の声はイドリス・エルバ本人ではなく、別の人が担当していたらしいことが判明。つまり、意図的に「トランプ風の声」を演出していた訳です。この仕掛けにどんな意味が込められていたのか――いまだに謎のままです。
物語は、アメリカ軍自慢の迎撃ミサイルが外れ(イージスアショアをアメリカから買う日本、大丈夫?)、敵の大陸間弾道ミサイルがシカゴを目指して一直線に迫るという展開へ。ミサイル探知から着弾まで十数分という設定ながら、場面転換のたびに時間がリセットされるため、緊迫感を持続させる効果は十分ありました。
ただ、アメリカ軍内部は上から下まで動揺を隠せず、よくある映画的な「英雄」が一人も登場しないのも特徴的でした。声だけの時はトランプ的な強気キャラかと思われた大統領も、姿を見せてからは逡巡の連続。国防長官に至っては、愛娘の安否に気を取られ、ついには屋上から飛び降りてしまう始末。現場の軍人たちも極度の緊張の中で迎撃ミサイルを発射するなど、「さすがにここまで混乱しないだろう」と突っ込みたくなる場面もありました。
そして物語は、大陸間弾道ミサイルがシカゴに着弾する直前、そして大統領がどのような報復するかを決断する前にエンディングを迎えます。観客それぞれに結末を委ねる構成ですが、一般市民の立場からすると、ミサイルが迫っていることすら知らされていない設定のため、「一体何をどう考えればいいのか」がやや不明瞭でした。
また、「声はトランプ、見た目はオバマ風」という大統領像も中途半端で、作品世界に入り込みにくい要因になっていました。むしろ、“トランプ的な大統領のもとでアメリカ本土がミサイル攻撃を受けたらどうなるか”というシミュレーションに徹してくれた方が、より明快でリアリティのある作品になったのではないかと思います。
そんな訳で、本作の評価は★2.4とします。
残された僅かな時間を巡るハンパない緊張感!
レベッカ・ファーガソンが主演とあっては観ないわけにはいかないし、
Netflixの劇場上映を宮崎でもやってくれていることに感謝しつつ鑑賞。
まずもってラストのぶった斬りは好き。
これは余韻がたなびく。
複数名で観に行ったら、間違いなくその後、本作のラスト後をどう考えるかで
盛り上がるに違いない。
そのくらいスパッと終わるところは好み。
※好みじゃない人には、残尿感たっぷりの終わり方と思われる
アメリカのシカゴに向けられたミサイルへの対処について、
オリビア(レベッカ・ファーガソン)視点、
ジェイク(ガブリエル・パッソ)視点、
大統領(イドリス・エルバ)視点という、概ね3つの視点から描かれ、
物語の解像度が徐々にあがっていく構造だ。
最近よく見かける構造だが、本作もよく出来ていたと思う。
登場人物たちの行動もリアル。
仕事はありながらも家族を心配し、電話をしちゃうところは、実に人間味に溢れているし、
この状況下でこのように行動しない人なんてほとんどいないだろうと思う。
最も衝撃だったのは、ベイカー国防長官(ジャレッド・ハリス)の飛び降り自殺シーン。
しかも唐突におとずれるので、心構えができていなかったゆえの衝撃の大きさである。
でも、こうなってもおかしくない布石はうたれていたので、納得はしてしまった。
さて、ラストはミサイルがシカゴに落ちるのか、アメリカは報復に出るのか、
といった、散々物語の軸だったことの結末は描かれない。
ブツっと終わる。
ここからは自分で想像するというか、送り手は観客に委ねたのだろうと思う。
それにしても、レベッカ・ファーガソンは凛々しかったし、
感情表現も実に巧みで魅入ってしまった。
レベッカ・ファーガソンをスクリーンで観れただけでも満足である。
食べカス…どころじゃない!?
発射地点不明のICBMが太平洋上空で検知され、米国が混乱に陥る話。
ある日太平洋上空にICBMが見つかり、19分後に米国のどこかに着弾すると予測され巻き起こっていくストーリー。
ホワイトハウスや米軍がパニックに陥る中迎撃ミサイルを発射して、そしてそこから巻き起こる事態や、その後の選択に迷走し…という展開で、緊迫感がとても良かったのだけれど、あれ?戻った!?
視点が変わったとはいえ、登場人物の機微に大きな変化は無いし、バンテージ・ポイント程とは行かなくとも、もう少し細かく切るとか同時進行でみせるとか出来んのかなと思っていたら、あーそういう…。
これはこれでとも思うし、面白かったけれど、寸止め感がモヤっとだった。
核兵器で溢れた地球は、ダイナマイトで出来た家と同じだ!
Netflixの配信前劇場公開。監督キャスリン・ビグロー、「ミッション・インポッシブル」を退場したレベッカ・ファーガソンなら観に行かなくては。
2025年10月10日(金)
劇場公開初日。なるべくスクリーンの大きな劇場で、と思いキャパ333のシネマート新宿で「ハウス・オブ・ダイナマイト」を。
発熱している子を夫に任せて危機管理室のウォーカー大佐(レベッカ・ファーガソン)は出勤する。隣席の部下は今晩指輪を手にして彼女にプロポーズすると言う。夜勤勢と交代して、通常の1日が始まると思われた金曜日の朝、一発の核ミサイルがアメリカ本土に向けて発射される。
発射地点は未検知も、弾道から北朝鮮と思われる。何故、核ミサイルを発射したのか?
想定される米国着弾まで、あと19分。
何度も訓練して来た核ミサイル迎撃。しかし、これは訓練ではない。現実なのだ。
着弾地点はシカゴ。一千万人が犠牲になると見込まれる。
核ミサイルを迎撃ミサイルで撃ち落とすのは容易ではない。弾で弾を撃つようなものだ。2発の迎撃ミサイルが発射されるが、1発は2段目が分離せず。残りの1発は核ミサイルを追う。「迎撃の確率は?」「61%です」も、迎撃出来ず。「コイントスじゃないか!(当たるか当たらないか)」
迎撃失敗はロシアや他国の知る所となり、各国に動きが出る。ロシアの原潜が、中国の空母が動く。
バスケットボールのイベントに出席していた大統領(イドリス・エルバ)は呼び戻されるが、随行員の手には核のスイッチが。手順を説明される大統領。
核戦争回避のためにホワイトハウスではロシア外相との電話協議が続く。
核ミサイルを搭載したステルス爆撃機が大統領命令に備えて発進する。
二次攻撃や米国被弾に乗じた他国の攻撃に対し、核攻撃を仕掛けるべきか?それとも核戦争を回避するために自重すべきか?
危機の瞬間が迫るとウォーカー大佐だけでなく、国防長官までが家族を案じて電話をかける。
報復しなければ「降参」、報復すれば「自殺」。大統領は決断を迫られる。
大統領夫人は象の保護活動でアフリカにいる。妻の助言を求めるも携帯の電波は切れる。
アメリカ大統領の選択は、如何に?
19分間の出来事が角度を変えて何度も繰り返される。シカゴ市民1000万人は助かるのか。ミサイルを迎撃する事は出来るのか。核戦争は回避出来るのか。大統領は核ミサイル発射を決断するのか。
ヒリヒリするような緊張感。
結局、核兵器が使われれば、その反撃で1時間もすれば世界は滅びると言う事だ。
核兵器削減や核兵器による抑止なんて、何の意味もない。
核兵器で溢れた地球は、ダイナマイトで出来た家と同じだ!爆発すれば一溜まりもない。
今の合衆国大統領なら、「どんどん撃て!!!」と言うのかな。
寝てしまった
緊張感はすごいのだけどストーリー性は薄い。同じ時系列が2回繰り返されて、最後の最後核ミサイルが落ちてすごい被害が発生する場面がどんなかと思ったら、ない。怖いもの見たさでワクワクしていたら肩透かしだ。
もしかしたら『パトレイバー2』のようなハッキングによる実体のないミサイルかと思ったらそうではないようだ。
2発の迎撃ミサイルを撃っただけで諦めてしまうのが意外だ。
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