ハウス・オブ・ダイナマイトのレビュー・感想・評価
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圧倒的なリアリティに満ちた緊迫ドラマ
爆発という要素はビグロー作品の一つの大きなテーマだが、吹き荒れる炎や爆風よりもその直前の一瞬の静寂こそ、彼女が醸し出す緊張感が最高潮に達する見せ場だ。太平洋上で発射された核ミサイルがアメリカへ向けて飛来する。そんな緊迫したシチュエーションを描く本作も、やはり爆発前の一瞬を描いた群像ドラマと言える。いたずらに破壊のカタルシスを求めるのではなく、この映画が描くのはあくまで「現実に直面する政府要人やスタッフたち」。それも彼らの過去や未来ではなく、あくまで焦点が当たるのはごく限られた数十分の「現在」の枠内だけ。そこでの行為や発言、表情を通じて、人の生き様を力強く炙り出す。もちろん、徹底した取材力はこれまで同様。登場人物や関連機関のディテール、さらにはこの最悪の事態に伴うシナリオも、我々に圧倒的リアリティを突きつける。世界は逃げ場なき火薬庫。綱渡りのような状況に手に汗握りつつ、背筋が寒くなる一作だ。
レベッカ・ファーガソンの存在感が大幅に増した!
配信(ネットフリックス)で視聴。
安全保障がテーマだが、IF要素が強い内容。色々、考えさせられた作品。安全保障も今後色々あるだけにイメージとして観たらやはり怖い。レベッカ・ファーガソンの演技は素晴らしかった。貫禄が出てきた。トム・クルーズと共演した事が強味に。存在感が増した。
悔やむのは映画館で時間が合わず見逃したこと。配信で観たのは良かったが。
HAVE A NICE DAY
ビグローが描く現代のミサイル危機。今の地球の状況とは、今にも壁が壊れそうなほど爆薬がいっぱい詰まった家。世界を何度も終わらせられるほどの核兵器を、各国が競い合うように保有している"異常な現実"
今世紀に入ってから(『デトロイト』の人種差別政策含めて)戦争を描き続ける硬派な社会派監督キャスリン・ビグローの骨太な作風が、本作でも大いに生かされていた一貫した作家主義。実話モノも手がけてきただけあって、様々な視点からアンサンブルキャストが生きた心地のしない19分間を繰り返す、この同時系列多視点モノ(羅生門方式)な群像劇ポリティカルサスペンスでも見事な手腕を発揮していた。
「傾斜が水平に」
モーニングブック(朝の報告書)からブラックブック(核の手順書)へ。その後の一分一秒を争う緊急事態での混乱との振り幅を効果的に描く束の間の平和パートから、ドキュメンタリータッチなハンディによる手ブレ撮影など、ポール・グリーングラス監督作品も少し彷彿とさせるような語り口で手に汗握る。胃がキリキリと神経のすり減るような観賞体験を約束してくれる。
【デフコン2】「弾丸で弾丸を撃つ」
そりゃ自分の家族が気になるよね。混乱具合はわかるけど、緊急事態庁のメインキャラが時間無い緊急事態下にもかかわらず危機管理室側に食いかかっては、自分の仕事も避難させるべき対象である「議員たちがいい顔しない」ってすぐに折れて、無理だったことを報告しているだけに見えた。挙句COG(Continuity of Government)だから、それは仕方ないのだけど、本作のキャラクターで一番要らないムーブをして邪魔しているようで、イラっときた。
【デフコン1】「弾薬が詰まった家」
エルバの大統領役は必然、無論似合いすぎ。そして最後は観る者に委ねられている決断…。
ビグローなので期待したが…
何十年経っても変わらない
今から60年ほど前の映画があります
『未知への飛行』と言う映画です
60年も経つのです
同じように爆弾に国の上の人達が右往左往するのです
多分この作品を作った人も知っているはずだと思います
さほど有名ではないですがかなりの力作だと私は思う
と言うかあんなに昔なのに扱っている内容すら色褪せないってどうなんでしょうね
人の乗らない戦闘機もある
戦場に行かなくても戦争できちゃう
まさにそんな世の中になったのにいまだに核の脅威をこんな風に作品にして見せられると本気で心配してしまう
オムニバス形式であらゆる視点から物事を見るような仕組み
とても面白い
話が変わるごとに緊張感が増して行く
誰もが弱い一面を見せて涙する
聖書の引用がこの作品ではポッドキャストになっていたことに気がつく
苦笑いする
ずしりと残る
採点4.2
キャスリン・ビグロー監督によるパニック系ポリティカルサスペンス作品。
始まりは米に発射されたのか?といった1発のミサイル。
そこからの緊張感が凄い。
発射場所が特定できない、迎撃ミサイルが当たらない、最高レベル達するデフコン、ギリギリとなる米政府当局者達。本当脚本が良いですね。
危機管理室、国防長官、大統領と三章に区切り物語を前後させた構成。それぞれの視点や登場人物ごとにエピソードを作るなど、偶像劇な作りが本当に巧み。
大統領の暗転と共に聞こえるミサイルの飛行音、雛城の頭上に残る二つのミサイル雲、ラストの司令官の姿、エンドロールで聞こえる着弾のようなSE。
「核の抑止力」ではなく「常にある核の脅威」を描いた、ずしりと残る作品でした。
iPhoneの着信音が、人を繋ぐ
『ハート・ロッカー』のキャスリン・ビグロー監督が、突如米国に向けて発射された核ミサイルが着弾するまでの20分間を描くスリラー。一見陳腐にも思えるそんなテーマが、ゲティスバーグの再現イベントや、アフリカで象の保護活動に勤しむ大統領夫人、そして年老いた猟師の仕草を挟んで印象的に描かれる。
なんか80年代的なテーマだなあ、と思って観たら、もう開始10分から動けない。着弾(?)までの情景を、政府の危機管理室、戦略軍の現場、大統領含めたホワイトハウスの3つの視点で時間を巻き戻しながら描く、落ち着いた描写と心のパニックの共存がすごく味わい深い。
個人的にこの映画で印象深いのは、iPhoneのクラシック着信音「オープニング」だ。緊迫する最中、それぞれのスマホからこの音が鳴る時、それは個人のつながりを示す。家族、妻、恋人と繋がるこの音が、極限状況の中で人間の本質を差し込んでくる。
「もうこの国は終わりだ」「自分は死ぬのだ」と思った時、最後に電話するのは誰か?何を最後に言いたいのか?
まあみんなそうなるよね、って思いつつ、やっぱり切ない。
絶対見た方がいい作品なんだけど、結局ミサイルの発射元が例のあの国っていうのが、東アジアの住人としては苦笑なのですけどね。映画は世に連れ、世は映画に連れ。
「過去の教訓を捨てた人たち」
アメリカに向けて、一発の弾道ミサイルが発射される。
どこの国が発射したのかは分からなかった。
この状況を担当部門毎に繰り返し描いていく。
どうやらミサイルはシカゴに向かっているらしい。
ロシア、中国、北朝鮮、イランなどの動向も気になる。
サスペンスの盛り上げはさすがで、見始めると目が離せない。
感覚的で嫌な言い方だが映画的でない
スーパーマンは 不在だった
予告編を観た段階で、興味ある本作の鑑賞を決めていました。
COVID-19前までの十数年間のハリウッド劇場映画は、出演料等のお金はかかってはいても、主演者に主眼を向けた内容が稚拙な、ハリウッドの内輪ウケを重視した 要領の良い‘’賞取り映画‘’が多く、続編以外は、大作と言っても、単に長尺なだけの映画は、ワクワク感がない作品が多かったが、こうして
Netflix でしかできないようなできないような 企画重視な映画づくりは、劇場と配信の両公開する手法により、映画づくりの対象を ハリウッドから、お茶の間鑑賞者に戻してくれた、実に素晴らしい 映画の原点回帰だと思いました。〈企画賞〉
これは、映画を創るにあたり、監督・プロデューサーが企画し、映画会社へ下から 上に 持ち上げて通す手法が、マンネリ化した限界を、今度は無銘な制作サイド者側から下におろして行く 手法が上手く機能しているのだと推察されます。
アメリカ合衆国の中枢部は、少しのアフリカ系とイタリア系以外は、すべてアングロサクソン系が占め、ラテン系や中東系等の異種人種が存在しない違和感はあったが、そこには、日系でなく、K国系スタッフが極少数入り込んでいた
ベイカー国防長官の屋上での最後の対応は、意外なだけに 驚きました。
冷戦時代のシチュエーション映画は、幾作もあったが
if的SF映画としては、、「ファイナル・カウントダウン(1980)」に わくわく感が通じます。
緊張感溢れる多視点映画の傑作!
凄まじい緊張感がどんどん高まり手に汗握るNetflixの傑作でした。
3人の主人公の視点から、同じ出自未定のミサイルが米国本土に迫る危機への対応(19分間)を描いてるんですが、はじめは北朝鮮の例のミサイル軌道と軽く見ていたロケットがどんどん勢いを増して、頼みの迎撃ミサイルも空振り、デフコン2、デフコン1と緊急体制のレベルがアップしていく一方で、報復の核ミサイルを発射するのかどうかを描く19分間は、戦闘シーンを見せるわけでもないのに、圧倒的な緊張感と臨場感!
一人目の主人公のレベッカファーガソンの熱演が、さらに凄みを出してます。
キャスリンビグロー監督の凄い手腕です!イラクの戦場に派遣された爆弾処理班を描いた過去作の「ハートロッカー」も凄い緊張感でしたが、本作はさらに上回ってきます。
ラストの好みは分かれると思いますが、これはこれでありかと。
シュミレーションとしての活用法
核保有は抑止力にはならない
北朝鮮か中国か、はたまたロシアからか。
核爆弾がアメリカに向けて発射された。着弾するまでわずか18分。
迎撃活動を行うアラスカ、国防関係者、大統領の3つの視点で描く。
終始、緊張感が凄まじく、息もできないほどだ。
Netflix配信作品だが、この鬼気迫る緊張感は閉ざされた空間である映画館で見ることによってさらに増幅された。
迎撃機の爆音も腹に響き、間違いなく映画館で鑑賞してよかったと思える作品。
核発射が発覚してからは各々がシステマティックに役割を全うし、その姿には感心させられるが
とどのつまり、究極の状態に置かれた個人の判断なんぞしれたものである。
誰だって怖いし、自分が、自分の家族を優先してしまう。当然のことだ。
「核保有は戦争の抑止力にはならない。」
その結論を徹底した取材と緊迫感ある演出で魅せるキャスリン・ビグロー。
なんとも肝の座った監督である。
役者陣の中では恐怖を押し殺して仕事を全うしようとするレベッカ・ファーガソンが光った。
このエンディングに対して不満を持つ人もいるかもしれないが、個人的にはこれしかないというエンディングだった。
やっと鑑賞!
Netflixに加入してない者として配信映画で一部劇場公開される作品で観たいと思っても上映時間に都合がつかない、劇場が最寄りでないなどの理由で見逃した作品が結構あります。
本作の「ハウス・オブ・ダイナマイト」の監督はキャスリン・ビグローとなれば是が非でも観たいとの思い一心で県外の劇場まで足を運びようやく鑑賞することが出来ました。
さすがキャスリン・ビグロー監督作品、骨太で見応え十分でした。
そして本作を観た誰しもが思うのではないのでしょうか?
もし大統領がトランプだったら報復攻撃を決断するのではないだろうかと。
結末をあえて描かないのは今のアメリカの現実を観客側に問いかけているのではないでしょうか。
そして特筆すべき事はわずか19分の出来事を三者を通じてより立体的に描くことでリアルさが増幅されていることです。
キャスリン・ビグロー作品は「ハート・ロッカー」から観てきましたが本作も緊張感がハンパないです。
何事にも忖度せず彼女が得意とする演出を本作でも変える事なく貫くのは映画ファンとしては嬉しいことです。
これを機にNetflixに加入しようかと思うのですが、今加入しているU-NEXTすら満足に視聴出来てないのが現実です。
願わくば公開館数を増やしてほしいです。
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