「今、そこにある危機を改めて認識させられる傑作」ハウス・オブ・ダイナマイト ヘマさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 今、そこにある危機を改めて認識させられる傑作

2025年11月3日
iPhoneアプリから投稿

すでに様式美化した北朝鮮(と思しき)周辺から発射された一発のミサイル。具体的にどこから発射されたか不明だが、いつも通り日本海に落下するだろうと、アメリカ軍の各セクションは呑気に構えていた。ところが、そのミサイルは落下ルートを取らず、シカゴを目標に飛行し続けることに。

実際の有事が勃発したことで、各セクションはマニュアル通りに対応していくが、核搭載の可能性が高いミサイルがアメリカ本土に向かっているという、恐ろしい現実を突きつけられ、緩やかにパニックに陥っていく。

臨場感、緊迫感、そして現実感が半端ない、手に汗握るサスペンスフルな作品。ミサイル防衛室や司令室、国防長官、軍部、そして大統領と、ミサイル発見からその対処方法の決定までの様子が、各セクションごとに章立てて描かれており、ミサイルがひしひしと迫ってくる現実を、様々な角度で浮き彫りしていて、もう目はスクリーンに釘付けです。

たった一発のミサイルに、ここまで翻弄されちゃうのか? と思いつつも、でも核ミサイルであれば一大都市が丸ごと消滅するので、その恐怖は計り知れない。

その上、さらなる恐怖は「報復攻撃の選択」。やられたらやり返すことでの機能していた「核抑止力」だが、実際に「やり返す」選択を迫られたら、本当に選択できるのか? やり返したら「やり返される」可能性が生じて、それはまさに人類滅亡へのシナリオなんですよね。

この頭ではわかっていたけど、実感が乏しかった「核抑止力」の現実をifで描かれていて、むちゃくちゃ傑作です。

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ヘマ