「映画における窓」ハウス・オブ・ダイナマイト iwamoogさんの映画レビュー(感想・評価)
映画における窓
クリックして本文を読む
沈黙の艦隊(映画)に必要だったものが全てあった。核の脅威が迫ってくる沈黙の艦隊(原作)におけるあの緊張感。ハウスオブダイナマイトはズバリ、迫り来る核攻撃の脅威そのものをテーマとしている作品だ。
散々言及されているように、核ミサイル検知から着弾直前までの時間を3回繰り返す。さらに結末を描かないことで、そこまでの判断決定のプロセスとその不可能さこそが主題であることを強調している。うまくいってると思う。映画館での重低音の重苦しさも良かった。
キャスリンビグローはある時点から手持ちカメラによる臨場感重視スタイルの撮影を良く採用するようになった。なのだが、どの映画でも不思議と画面が見辛くならない。
劇中、全く時間がない中で緊急zoom会議が招集される。朝早くなので、大統領補佐官も出勤中。仕方がないので歩きながらのスマホカメラで参加していると、高官から「カメラを揺らすな!画面酔いするだろうが!」と文句が出る。
これが手持ちを多用する近年のビグロー映画全体に対する自己批評のようで面白かった。我々がやっているのは、スマホの適当撮影とは違う!手持ちカメラでも撮影と編集によってスタイルを洗練してきたのだという自負があるのだろう。全面的に緊張感あふれる場面が続くため、このやり取りにユーモアを感じられた。
コメントする
