「いつ人類が滅亡してもおかしくない、そんな現実の上に我々は生きている。」ハウス・オブ・ダイナマイト mac-inさんの映画レビュー(感想・評価)
いつ人類が滅亡してもおかしくない、そんな現実の上に我々は生きている。
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Netflix制作、キャスリン・ビグロー監督の新作。10月24日から世界配信予定だが、映画館で先行上映をしていた。
好みの監督なので、配信を待たずに見てきた。
ちょっと小粒な感じはするが、面白かった。核の均衡で平和が保たれているというパワーバランスは本当に機能するのか?
シミュレーションドラマで、ラストには映画が描く怖い現実を見る側に突きつける。
去年の「シビル・ウォー」と同じような怖さがある。
映像は、まさしくこの監督の映像と言える、ガクブルで急なズームがあったりする映像。それでリアル感と臨場感を醸し出す。ただ、キャスリン・ビグローものでも、今回は全くドンパチがない。でもずっと緊張感が途切れない面白さがある。
話は、群像劇で、様々な場所が唐突に出てくる。何が起こっているか理解がなかなか追いつかない。で、見る側に緊張を強いる。
話の構造でも、途中、時間が戻るところが3度ぐらいあるが、説明なしで普通に繋ぐ。ちょっと混乱するが、見ているとすぐに理解できる。
(どこか不明の、北朝鮮らしい、核弾頭が米国本土に向けて発射されてから18分間の話をそれぞれの立場で繰り返し描く。)
シミュレーションは、リアルで怖い。
大統領も含め、普通の人々の営みの上に日常が成り立っているのが感じられて、それが崩壊に近づく怖さ。結局どこにもスーパーマンはいない。普通の人しかいないという現実。
それで最後に大統領ですら、核を前にして滅亡につながる判断ができるのか、と突きつけてくる。
いつ人類が滅亡してもおかしくない、そんな現実の上に我々は生きている。
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