「【”今、そこにある危機。そして大統領の決断と報復自殺。”今作は、シカゴに向けて発射されたICBMに対し、緊張感溢れ対応する様をホワイトハウス危機管理室、国防長官、大統領の視点で描いた作品である。】」ハウス・オブ・ダイナマイト NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”今、そこにある危機。そして大統領の決断と報復自殺。”今作は、シカゴに向けて発射されたICBMに対し、緊張感溢れ対応する様をホワイトハウス危機管理室、国防長官、大統領の視点で描いた作品である。】
■ある朝、オリビア・ウォーカー海軍大佐(レベッカ・ファーガソン)は、夜中の三時に熱を出した幼子を看病し、夫に子供を託し、ホワイトハウス危機管理室に出社する。入り口で持ち物を検査機に通し、スマホは保管庫に格納する。
入室すると、突然、ICBMが発射された事がスクリーンに映し出される。コンピュータにはウィルスが侵入したのか、何処の国から発射されたのか、分からない。
アメリカの迎撃ミサイルは、ICBMを撃墜出来ず、着弾地はシカゴと推測され死者はシカゴ市民1000万、その風下の100万と推測される。
ロシア外務大臣との電話で、ロシアはICBM発射を否定し、マーク・ミラー海軍大将( ジェイソン・クラーク)等は、北朝鮮、中国の関与の調査を指示し、且つ自国の原子力潜水艦に報復戦の準備を指示しつつ、大統領が不在の中、リード・ベイカー国防長官(ジャレッド・ハリス)に指揮権を委ねるが、混乱の度合いは増して行くのである。
◆感想<Caution!内容に触れています!。>
・冒頭から、キャサリン・ビグロー監督らしい、”無茶苦茶、調べ上げたのだろうな。”と思う程、リアリティ感溢れるホワイトハウス危機管理室の室内の設定が凄い。
だが、想定外の出来事に、危機管理室内は混乱し、オリビアは室外に出てスマホを取り出し、夫に電話し、”サヨナラ”を言い、子供がくれた小さな恐竜のオモチャを握り、涙するのである。
マーク・ミラー海軍大将は、出勤者の名簿を作るように指示し、それに対し”死亡者リストでしょ。”と呟くオリビア。だが、スクリーン上では機械的にミサイルの軌道が映し出されるのである。
ー このシーンでは、オリビアたちはアメリカ政府が当然、報復攻撃をすると思っているのだな、と思いながら鑑賞する。-
・リード・ベイカー国防長官は、状況に対応しつつも、シカゴに住んでいる娘と連絡を取り、彼女の幸せそうな声を聞き、涙するのである。
そして、彼は待たせてあった政府専用ヘリに乗り込むために歩いて行くが、そのまま通り過ぎ、ビルから飛び降りるのである。
ー 今作では、米国主要ポストの人間でも、緊急時には一個人に戻る様をキチンと描く事で、緊急時の混乱の度合いを見る側に伝えているのである。-
・”所在地は曖昧に映される”米軍基地の兵士たち及び関連専門家たちの姿も効果的に描かれる。
1.飛翔体を迎撃ミサイルで撃墜する役割の少佐(アンソニー・ラモス)は、迎撃失敗を見て、部屋から飛び出し、激しく嘔吐するのである。
2.ステルス戦闘機に乗る兵士二人は、報復攻撃の指示を待っている。
3.休日なので、息子と南北戦争の事実上の決戦となったゲティスバーグの戦いの戦地でのイベントに参加していた北朝鮮問題専門家アナ・パク(グレタ・リー)に入った緊急連絡の際に、彼女が北朝鮮が関与している可能性をスラスラと話す様は、ナカナカに意味深である。
・二度目の迎撃ミサイルがICBM撃墜に失敗する過程で、画面には”銃弾で銃弾を撃つ”と出る。
私は浅はかにも、迎撃ミサイルは、ほぼ100%飛翔体を打ち落とすモノだと思っていたがナント60%台である事が明かされる。それを聞いたリード・ベイカー国防長官が言葉が印象的である。”コイン・トスか!”
ー だが、これも、国防長官が迎撃ミサイルの撃墜率を知らなかったという事をシニカルに描いているのである。更に言えば、【核の脅威に本当に対応できているのか!】というキャサリン・ビグロー監督のシニカル且つ世界の核競争に対する激烈な怒りのメッセージでもあるのである。
・時系列は少し戻り、アメリカ合衆国大統領(イドリス・エルバ)はチビッ子バスケットボールチームとの交流をしているが、急遽、大統領専用車でホワイトハウスに向かう。
その車中で大統領は、冷静な連邦緊急事態管理庁のロバート・リーブス海軍少佐(ジョナ・ハウアー=キング)から、報復攻撃の”ランク”の説明を受けるのである。真っ赤なシートは全面報復、黄色は一部報復・・。
ー このシーンは興味深かった。勝手にあの分厚い冊子は、キャサリン・ビグロー監督が創造したモノではないかと思ったのであるが、あるかもしれないなあ、とも思ったのである。
そして、”報復自殺”という言葉。-
<この映画は、アメリカ合衆国大統領の選択まで、”敢えて”映していない。そこに隔靴掻痒感を覚える方は、今作の評価が低くなるであろう。
だが、私はイドリス・エルバ演じるアメリカ合衆国大統領は、”報復攻撃をしない選択”をしたと思う。
理由は、劇中で平和そうに暮らす市民の姿がしばしば映されているからである。大統領が出席していた未来あるチビッ子バスケットボールチームとの交流シーンや、ゲティスバーグの戦いで命を落とした兵士たちを鎮魂しつつ、戦が終わった事を祝う市民たちの姿。そして、最終盤に映される核避難シェルターに続々と人々を入れていくトラックのショットからである。
今作は、シカゴに向けて発射されたICBMに対し、緊張感溢れ対応する様をホワイトハウス危機管理室、国防長官、大統領の視点で描いた作品なのである。
そして、これも敢えて書くが、今作は、キャサリン・ビグロー監督の、世界の核競争に対する激烈な怒りのメッセージでもあるのである。>
<2025年10月13日 劇場にて鑑賞>
今、PCからNOBUさんのレビューに飛ぼうとしたところ、いきなりブロックされてしまい、サイトのオーナーにブロックされていると連絡するように、とメッセージが出ています。スマホからは問題なく映画.comに入れています。大変失礼なのですが、NOBUさん宅で何か異常ありませんでしたか?
お久です。お元気ですか?その後禁酒は継続中かしらん?こんなにハラハラした映画は久しぶりで、キャスティングも素晴らしく、面白かったですね。また、最後が描かれてないのが、考えさせられるというか、観賞後もムズムズしてこの映画のコトを考えてしまいます。ダイアン・キートンさんや刈谷の日劇など、悲しい話題が多いですが、年末に向けて頑張りましょう。日劇はついに行けずしまい、一度は行きたかったです。
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