「編集とプロダクションデザインの勝利。」ハウス・オブ・ダイナマイト milouさんの映画レビュー(感想・評価)
編集とプロダクションデザインの勝利。
ある日とつぜん極東アジア上空で検知された、アメリカへ向かって飛翔する核ミサイル。軍と官僚組織の各層で一斉に走り始める人々の、決断と逡巡の18分間(アメリカ本土着弾までの時間)。アメリカが「核攻撃」を受けたとき、誰がどんな手順を踏んで意思決定をすすめるのか、担当者は核抑止論と報復攻撃理論のどんな教科書的常識をふまえて激しい議論をたたかわせるのか。映画はこの「18分間」を、立場を変えながら何度も繰り返したどり直す。
芸術表現として批評・分析できるようなアートシネマではなく要するにNetflix式スリラーだけど、ちょっとづつ視点を変えた大量の映像素材をたくみにあやつって焦燥感・絶望感を高めてゆく手腕は、あっぱれですね。
日本では映画館で上映されないわけですが、悪いことは言わないから(笑)、用事をすませてスマホを切って、なるべく大きな画面で、映画館と同様に画面に2時間集中できる環境を整えてから見たほうがいいですよと言っておきたい。
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