三谷幸喜「おい、太宰」劇場版のレビュー・感想・評価
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田中圭はええんか
2025年劇場鑑賞203本目。
エンドロール後映像有り。
というかこれ観ないとWOWOW入ってる自分観に来た意味ない(笑)
パンフレット無しにつきマイナス0.5。まぁ多分ないだろうなとは思っていたのですが。
映画をやると知っていたので録画はしたけど観ていなかった今作。ワンカットという事で最初は大変な事するな、と思っていたのですが、アクション映画と違ってこういうコメディだとめちゃくちゃ広い舞台だと思えばそこまでとんでもない事ではないんだな、と。NG出せない緊張感はあると思いますが舞台もそうですしね。
間延びしそうなところに梶原善がちょいちょい出てくるのは良かったのですが、太宰も主人公の田中圭演じるコムロもそのパートナーも大体めんどくさい性格していまして、田中圭に至ってはもう小池栄子じゃなくて永野芽郁相手役だったら超面白かったのにと思って観てました。「キャスター」や「かくかくしかじか」の時はあんなに永野芽郁出てるから例の騒動を思い出して観る気なくなったみたいなコメントいっぱい見たのに、なんで田中圭は言われないんでしょうね。しかもこっちの作品の方が思い出さずにいられない展開ですからね。さすがに男尊女卑が過ぎると思います。
最後は整合性とか完全に投げちゃっていて、まぁもともと緻密さが売りの監督ではないのですが、連続ドラマは面白いのになぁと毎回思ってしまいます。ラヂオの時間とみんなのいえは好きなのですが。
梶原善が大活躍
太宰治を敬愛する男・小室健作は、妻の美代子と出席した結婚披露宴の帰りにバス停を探してて、偶然、太宰が心中未遂を起こした海辺に立ち寄った。太宰ゆかりの地に興奮した健作は、海辺の洞窟の奥へ進み、そこで太宰治と恋人のトミ子と出会った。いつの間に昭和5年にタイムスリップしていた健作はトミ子に一目ぼれしたが、史実では2人は間もなく無理心中を図ることになっていた。トミ子を助けたい健作は、心中を阻止しようとして・・・さてどうなる、という話。
何という事のないストーリーだし、タイムスリップが超自然。
あの海辺の景色、この映画のために存在してるのかと思うほどのナイスロケーション。
そして出演者は、健作役の田中圭、美代子役の宮澤エマ、地元漁師+その兄+その父役の梶原善、太宰治役の松山ケンイチ、トミ子役の小池栄子の5人だけ。
小池栄子が19歳???という笑いもあったし、オチも有り、なかなか面白かった。
宮澤エマのキレ芸も面白かった。
梶原善が一人三役で大活躍だった。
トミ子が令和にタイムスリップするラストも面白かった。
このアングルをずっと維持しつつ走りまくったカメラマンはすごいと思う
2025.7.12 イオンシネマ久御山
2025年の日本映画(101分、G)
WOWOWドラマ『おい、太宰』を劇場版に手直ししたコメディドラマ
監督&脚本は三谷幸喜
物語の舞台は、神奈川県鎌倉市
妻・美代子(宮澤エマ)の友人の結婚式に参加していた小室健作(田中圭)は、東京のテレビ局で放送作家として活躍し、太宰治を敬愛していた
式を終えた二人はバス停を探すものの、全く見つかる気配はない
あたりを見回すと、携帯電話で話している地元民・打雷(梶原善)ぐらいしか見当たらず、健作はやむを得ずに彼に声をかけることにした
なんとかバス停の場所を教えてもらった二人だったが、その場所が「八里ケ浜」だと知ると、健介のテンションが爆上がりしてしまう
それは、この浜がかつて太宰治(松山ケンイチ)が恋人・矢部トミ子(小池栄子)と心中をした場所で、縁のある土地として有名な場所だった
浮き足だった健作は浜を散策するのだが、そこには道を教えてくれた漁師とそっくりな男がいた
彼は漁師の話し相手だった兄(梶原善)で、健作はそれとなくお母さんに会ってあげたら良いのでは、とアドバイスをした
その後、漁師の兄から昔話を聞かされた健作は、そこに奇妙な洞窟があることを知る
興味本位でその洞窟に入った健作は、その先にある浜に降り立つことになった
そして、そこにも漁師とその兄とそっくりな男がいて、彼は兄弟の父であることがわかった
さらに、その向こうには見慣れぬ男女がいたのだが、健作はその二人が太宰治と当時の恋人・トミ子だと感じていた
テンションがさらに上がる健作だったが、その日は太宰が無理心中を図った日であることを知っていて、それを止めるべきかどうかを考え始める
だが、歴史を変えることで影響が出ることを懸念してしまう
それでも、太宰が生き残り、トミ子だけが死んでしまったことを知る健作は、それを止めようと考え始めてしまうのである
映画は、ドラマ版を編集したもので、ワンシーンワンカットが売りの作品となっている
おそらくは、洞窟を行き来するシーンで切り替わるのだと思うのだが、すごいロケーションを見つけたものだなあと思った
歴史を知っている者が関わりを持つことによって、人道的な側面から改変を行うというものなのだが、運命決定論的な考えだと、健作に出会ったことで心中を起こしたとも言えるし、彼のアドバイスによって「人間失格」の執筆に至ったようにも思える
ひたすらテンションの高い健作と、冷静な妻という構図で、夫の意味不明な言葉を受けても「とりあえず水」というのは面白い
そんな彼女が夫の浮気?を知って激昂する部分は面白くて、女同士のマウント合戦というのも見応えがあった
基本的に役者の演技力に頼っている作品だが、アホな話を真面目に演じているところは面白い
スマホを見ても動じない太宰とか、演じている上でおかしいなと思うことはたくさんあったと思うけど、強引なシナリオに食らいついているところも良かったと思う
ワンシーンワンカットが売りの作品で、編集というものが入っていないので、アドリブっぽくなって、無駄な会話劇になっているところもそのまま見ることができる
この部分がテンポロスになっているのは否めないのだが、ドラマ版を好んでいる人には問題ないと思う
逆に編集バリバリの映画とかが好きだと退屈に思えてしまうので、好みが分かれる作品だったのかな、と思った
自分のことを知っていたことで驚きまくる打雷親子と、ほぼスルーする太宰、深く考えてはいないトミ子というのは面白い配置で、リアリティは一切無視しているところも潔い
打雷親子が唯一のバッティング可能キャラだったが、無理やりさせない構成も力技だった
それにしても田中圭は過去イチくらいに走り回っていたような気がする
メインカメラも大変で、その他のスタッフとかも大変だったと思う
メイキングもすっごい楽しめると思うので、なんらかの機会で放送したら良いのになあと思った
いずれにせよ、途中でスーツを脱ぎ捨てたのは暑すぎて耐えられなかったのかなとか、梶原善はどうやって着替えて移動したのかとか、裏方の方が気になる映画だった
前半の会話劇が少しかったるいのと、教師親子の話は演者の休憩時間みたいな扱いに思えたのは許容するところなんだろう
個人的にツボったのは、トミ子がワイヤレスイヤホンで音楽を聴くシーンの動きだろうか
ちょいちょい噛んでくる梶原善も良い味を出していたので、そういったところに救われている映画なのかな、と思った
自分の目で見ている感覚に!
ワンシーンワンカットのWOWOWドラマの劇場版!
大きなスクリーンで見ているとワンカットゆえの揺るぎのようなブレやカットがないことで、まるで自分の目の前で展開されているような感覚になり、序盤でワンカットであることも忘れてしまいました!
劇場版には副音声で監督とキャストのコメンタリーも聞けて、撮影の裏話や演技や作品についての熱い思いからわちゃわちゃしてるだけのお話なども聞けるので、おすすめは1回は普通に観て、次はコメンタリー付き(HELLO!MOVIE使用)で!のパターン!
ドラマ版とは違うもうひとつのエンディングもぜひ!
舞台を観てる様な感覚!
ワンシーン・ワンカットのマイナス面が出てしまったとしか思えない
全編、ワンシーン・ワンカットという「作り」だが、感覚的には、一幕物の演劇を観ているようで、それだけでも、三谷幸喜の脚本との親和性の良さが感じられる。しかも、この手法では、緊張感が持続するため、観ている方も結構疲れるのだが、ここでは、主人公がトンネルを通り抜けるたびに舞台が切り替わる(おそらく、撮影時も、ここでカットがかかっているのだろう)ので、ひと息つくことができ、随分と観やすくなっている。
たたし、内容的には、タイムスリップした主人公が、「過去に干渉して、歴史を変えてはいけない」と分かっていながら、どうして、あれだけ積極的に太宰治たちに関わろうとするのか、その理由が、よく分からない。
いくら、昔から、太宰と心中したカフェの女給を美しいと思っていたからといって、会ったばかりのその女性のために、現在の妻や子供を捨てて、昭和5年に留まろうとするだろうか?しかも、そうすることによって、敬愛してやまない太宰治が、作家としてデビューしなくなってしまうおそれがあるというのにである。
同様に、太宰と心中することを嬉しく思っていたはずの女給が、主人公と生きて行くことに同意するという「心変わり」にも納得できないし、主人公の妻が、いきなり太宰と入水自殺しようとすることにも、唐突感を覚えざるを得なかった。
登場人物たちが、そういう生き方を選択するに至った過去の経緯なり背景なりが、事前に説明されていたならば、それぞれの行動にも説得力が生まれたのであろうが、このような「作り」では、そうした説明は極めて困難であるに違いない。
一発勝負の面白さが味わえるワンシーン・ワンカットの手法だが、ここでは、過去の描写や回想シーンを挿入することが難しいというマイナス面が強く出てしまったとしか思えない。
映画版で観ることのできるアナザー・バージョンのラストにしても、ロケ地の全容が分かるのは面白いものの、どうせなら、「過去から現在に帰ってきたら、歴史が変わっていた」という、タイムスリップものならではのオチが欲しかったと、少し残念に思ってしまった。
田中圭が映画の中でも不倫しそうになるコメディー作品。三谷幸喜のじわじわくる笑いが本領発揮した良作。
上映開始後すぐにアバンもなく画面いっぱいのタイトルがドーンと出てくる昭和の匂いがプンプンするオープニングで軽いジャブを打ってくる三谷監督。こういうの嫌いじゃないです。
舞台は鎌倉付近の漁村っぽい海岸という設定。ワンカット・ワンシーンで製作という事だったので細かく注視していましたが、ドローン空撮から地上目線に変わった部分で微妙な揺れを感じました。これをカメラチェンジととる人もいるかも知れませんが、最近のムービーカメラが小型化されたとはいえ、手持ちのブレ補正装置も付いている機器を一人のカメラマンが100分以上も持って走り回る撮影手法なので、ここは仕方がない部分だと思います。
ここから漁師の梶原善と田中圭・宮澤エマ夫婦を巻き込んでのタイムスリップ・コメディーへ突入していくのですが、ロケハンをしたスタッフの感性が良いのか、このロケ地がこの映画のために存在しているような超優良物件なんです。広すぎずにコンパクトで、砂浜を均したり小屋のセットを作るのに丁度良い大きさだし、近隣住民の生活道路ではないので見切りはないし、タイムスリップのキーになる絶妙なトンネルが松山ケンイチと小池栄子が待つ昭和5年の海岸とつながっているし、一人三役をこなして早着替えをする梶原善の熱と相まって観客を飽きさせません。前作の「スオミの話をしよう」では、長澤まさみ様の演技力に頼り過ぎて滑ってしまい、良い結果を残せなかったので観るのに勇気が必要でしたが、素直に笑える部分が多くてこの作品は成功だと思います。
エンドロールを観ずに帰ってしまう人が結構いますが、この作品、エンドロールの後に小池栄子が令和にタイムスリップする別バージョンのエンディングがあるので、見逃さないようにご注意ください。
【オマケ】
2026年製作開始、2027年中に公開の予定で、「コンフィデンスマンjp」四作目の計画が進んでいるようです。三浦春馬・竹内結子と大切なキャストを亡くしてしまい、東出昌大・広末涼子はアレな状態だし、この欠けたピースに松山ケンイチ・梶原善・小池栄子・宮澤エマをはめ込めば、今までの作品以上の良作に仕上がると思います。
梶原善さんが凄すぎてワンカットとは思えない
三谷幸喜監督による過去のワンシーン・ワンカット作品とは違い、広いロケーションで滑らかに動くカメラ・アングルが実に心地よい作品でした。
やはりドローンやCG処理といった技術の進歩が大きく貢献しているのは間違いなく、監督が狙っていた全編がワンカットとは思われない絵作りが成功していたと思います。
特に、導入時で空撮で捉えた梶原善さんと中盤に出てくるアップの梶原さんが同じワンカットとは思えないほど別物になってます。
両方とも説得力のある映像なので本当に感心してしまいました。
勿論、梶原さんのバイタリティ溢れる演技と変貌があっての事ですけど。
三谷作品では戯曲や映像作品に関わらず欠かせない存在の梶原さんですが、本作では主人公たちより目立っており、映像の質を変える存在として大活躍していました。
彼を観るだけでも大いに楽しめる作品だと思います。
因みに本作はWOWOW放映にはなかった別エンディングが付いているので、それが気になる人も映画館に足を運ぶ価値があると思います。
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