書けないんじゃない、書かないんだのレビュー・感想・評価
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壮大なまぐれ当たり
テンポが良い反面、説明不足な面も
結婚を機に夫の故郷に移り住んだ芥川賞作家のヨメと、天才小説家を自称する小姑が同居することで始まるストーリー。
芥川賞以来書けないヨメ vs 自称天才小説家の義姉との激しい戦いが前半に描かれていき、それが両者引けを取らず激しく言い立てるので、どちらにも感情移入できず、なかなか見ていて辛い。
ただ一方で無駄な描写や時間稼ぎの演出がないため、テンポよく後半に流れ込んでいく勢いのある見せ方はとてもよかった。
そして朱莉にも晴海にも応援できないまま終わっていく。それはそれで不器用さがリアルに描かれていると言えばそうなのだけど、やはり「普通、人が言わないセリフ」が多いため、共感にまで結びついてこない。
「ヤレヤレ」と3回ぐらい言わせるのは何故なのか。
人間失格vs小説家失格
初めて書いた小説が芥川賞を獲ったがその後書けない小説家であるヨメと、書いたこともない自称天才小説家のコトメの話。
結婚してダンナの実家で暮らすヨメのもとに出版社がプレッシャーをかけてきて巻き起こっていくストーリー。
あらすじ紹介に記されているコトメの経歴はなかなか示されないけれど、書きもしないし本も読まないニートのコトメが、何かとヨメにイチャモンをつけてくる展開で、それはザコだから良いけれど、何かとプレッシャーを感じているヨメという流れからの、いよいよ執筆し始めて…。
コミカルさが強めの作りの中に、しっかり機微が織り込まれているし、話しの流れも分かりやすいしテンポも良いし。
そして最後もそう来たかというお見事な締め。
とても面白かった。
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