「宮廷音楽の料理」ムガリッツ La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
宮廷音楽の料理
毎年11~4月の間は閉店して、スタッフ全員で新作料理開発に没頭するスペインのレストランを記録したドキュメンタリーです。料理映画にありがちな「うわぁ美味しそう」という涎の出る画は皆無で、「これ、何作ってるんだ?」という試作品の映像が続きます。それが最終的には食べる者の驚きになるのでしょう。そこには、未知の味を求める店主の以下の様な哲学があります。
「アルゴリズムに従って生きていると好きな物だけに囲まれて生きてしまう。まだ書かれていない最良の本、まだ出合っていない最良の友と出会う事はない」
スマホに見張られた生活を送る現代人には頷ける視点ですが、それは「奇を衒う」事と紙一重です。新しさ新しさと追う内に食べる事に疲れて来ないでしょうか。
そして、僕にとっては大切な点。肝心の料金が一切出て来ないのです。改めて調べると、ランチで一人4万円近くする様でした。結局は、王侯貴族だけが楽しめる宮廷音楽と同じで、お金持ちの道楽なのでしょう。とはいえ、それが芸術を支えて来たのも事実です。
僕には一生関りがないでしょうが、お金持ちが支えるこんなレストランはあってもいいかな。
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