「どっちもダメでしょ」揺さぶられる正義 まなさんの映画レビュー(感想・評価)
どっちもダメでしょ
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こんな多くの冤罪を生んだ事件があったことを、この映画を観るまで知りませんでした。
虐待を疑われた人たち、その人を信じて支える人たちの生き様に心を打たれ、このような姿を伝えてくれた上田監督、自分たちの取材姿勢をさらけ出して冤罪に向き合う誠実さが印象的でした。
でも、一点・・・
「時には最初から信じてみるべきなのか」みたいなナレーションには、思わず首をかしげてしまいました。
取材する側は最初は「信じること」も「疑うこと」もしてはいけないのでは?
先入観を持たないことが大前提では??
なぜその人は虐待をしてしまったのだろうか、まずは人となりを取材する。
どんな仕事をしている?職場での仕事ぶりは?
最近まで親しくしていた人に、子どもへの接し方は?
学生時代はどんな子どもだった?家庭環境は?
取材をする過程でもしかして「絶対そんな事する人ではない」的な証言が積み重なって初めて、立ち止まって考える「信じるべきか、疑うべきか」。
自分が目で見て聞いた事をかき集めて。
記者は弁護士とは違うのだから。
記者クラブに流れてきた紙に沿って、各社同じように原稿をしたため
みんなでせ~ので容疑者を取り囲んで、同じインタビューを流し・・・
毎日毎日、いろんな事件・事故が繰り返されるなかで、流れ作業のように。
昨今ではメディアは嫌われ者。取材もますます難しくなり、他業種と同じく効率よく働くことも優秀な記者の能力のひとつとされ、人手も常に不足、ひとつの事案にそこまで労力をかけられないのかもしれない。
そのナレーション以降、ずっとモヤモヤとそんなこと考えてしまいました。
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