「おかえり」ただいまを返す旅 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
おかえり
自主製作のアニメ映画が劇場公開となるとそりゃ観にいかんとという事で観てきました。
特典はポストカードでした。
自主製作だからこそ得れる栄養がたんまりと存在していました。
インスピレーションを受けた作品の要素をガッツリ入れてみたりと遊び心満載でとても見応えのある作品でした。
記憶を取り戻すために旅へ出向く少女のお話で、過去のトラウマによるものから失った記憶、現在進行形での葛藤なんかのドラマも展開されたりとで、少女の辛さがそこにあるはずなのにうまく掴めないもどかしさが今作のらしさを発揮していたなと思いました。
親と子の関係性のお話が多い中で違うアプローチが展開されていたり、子供から大人になる成長過程なんかが心情に表れているってのも素敵でした。
空白の多い世界観というのも観る側が考えることが沢山あるなぁというのも良かったです。
途中ガッツリ水面を走る電車が出てきて「これは千と千尋の神隠し」だなぁと思いましたが、監督が舞台挨拶で衝撃を受けた一本として挙げていたので納得できちゃう描写でした。
他にも星空の美しさだったりボーイミーツガールなところは新海監督の影響かなぁと思ったら「秒速5センチメートル」からも影響を受けているみたいで思わずニヤニヤ。
物語の根幹に歌が関わってきているのも「君の名は。」以降の新海監督っぽさもあったりして良きでした。
こういう影響を隠したがる監督さんも多い中で、はっきりと明言してくださったのは凄いなと思いました。
アニメーションとしてはそこまで動きはないですが、シンプルだからこそ感じられる登場人物の些細な変化がビシバシ感じられましたし、今作を観ようと思ったきっかけであるキービジュアルの美しさは水彩画として映画内でも力を発揮していてお見事でした。
水彩画タッチでのアニメーションの展開もあったりとしたら面白いなとも思いました。
声優さんは意図せずVtuberの方々が集まったというのも面白かったですが、皆々様とてもお上手でキャラにもマッチしていてとても良かったと思います。
それぞれのVtuberの方々の肩書きが気になりすぎてそれぞれの動画を巡回しちゃいました。
今作が引退作でありながら次回作の構想を練っているという事らしいので、次回作はどんな作風で攻めてくるんだろうととても楽しみですし、オリジナルアニメに沢山救われてきた人間ですのでこれからも応援し続けたいなと思いました。
これもまた劇場体験。
鑑賞日 8/1
鑑賞時間 20:20〜21:10