The Summer あの夏のレビュー・感想・評価
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キャラでなく人間を見つめる姿勢
韓国の新海誠と言われるのは、画作りについて影響を受けたと思しき部分はあるが、本作の内容については少なくとも新海監督とは異なるテイストがある。女性同士の愛とすれ違いを長い年月にわたって追いかける内容で、女性同士の愛をはっきりと描く姿勢がある。絵柄のシンプルさも作風にあっている。等身大の人間を描くことに長けていて、「キャラ」ではなくアニメーションで人間を描く姿勢は、Netflixの「あの星に君がいる」でも見られ、ここが大半の日本アニメとは異なる。人間だから醜さもなまめかしさも生々しく描かれるあたりは新海監督にはないテイストだ。「あの夏」という言葉から感じられるキラキラしたものだけじゃない、冬の寒さ、暗さも人生の一部として大事に描いている感じがある。
ハン・ジウォン監督の作品をもっと見たいと心から思った。大作の「あの星に君がいる」よりもこちらの方が好き、作家の手つきが隅々まで感じられる。
百合なの?
「オムライス美味しそう」
ままならない恋愛
涼風
ネトフリで配信されていた「あの星に君がいる」の監督の作品という事で、アニメ映画なら基本的になんでも摂取するマンの私ですので避暑含めて鑑賞。
特典はポストカードでした。
吹替で観たかったんですが、夕方以降はどの劇場も字幕のみだったので韓国アニメ映画では珍しく字幕で観てみました。
61分という時間にギュッと詰め込まれた百合モノ…のはずだったんですが、ドキドキトキメキが個人的にはあまり無く、20年ほど前の韓国での同性愛の風当たりの強さを描いた作品で、その上で主人公の行動がちと身勝手すぎてあまり好きにはなれなかったです。
学生時代に一目惚れという形で惹かれあったイギョンとスイの学生から大人になるまでの恋模様、そして2人の人生を描いた作品です。
現在でもある程度差別は残っていると思いますが、今作では同性愛以外にも見た目とかにも差別的なものが入っており、イギョンの髪色や目の色を気色悪いわ〜とか言ってる清掃員の描写があったんですが、あれは実際に韓国で言われてたもんなんですかね?
かなり胸糞だったんで空から槍が降ってこねぇかなぁと思いました。
スイ周りの描写が個人的には謎すぎてかなり引っかかりました。
サッカーに女子が参加しており、接触プレイがしづらいとかならまだ理解できるところもあったんですが、なぜか怪我した足を敵選手が狙い蹴って怪我が再発、その敵選手がスイの顔を覗き込んでニヤリという、ただただスイがサッカーから退かせるための演出だったのかなぁと思うと中々理解に苦しむところです。
そこからスイとイギョンが進学と就職でそれぞれ引越しし、そこから2人の気持ちのすれ違いも発生してしまうという歯痒い展開がきてしまい、同性愛をオープンにするまではいかずとも、同じ考えを持っている人とは共有したいと思っているイギョンと、2人だけの世界で十分だと思っているスイの心が離れていく描写は良かったなと思いました。
ただイギョンがガンガンスイの事を攻め立てたかと思ったら、バイト先によく来るお姉さんに惹かれていって一目惚れしてもうた〜とかいう展開を始めた時は流石にスイが不憫すぎない?と思ってしまいましたし、壮大に別れたかと思いきや、そのお姉さんともあっさり終わってしまったりとかいう何にもハッピーにならずな終盤はうまいこと咀嚼できずじまいでした。
全体的にイギョンが大人になるにつれて身勝手になり、それでいて我慢の効かない性格になっていたので今後がとっても心配…となってしまいました。
特別成長を感じられずに過去を振り返られても…ともなってしまいました。
「あの星に君がいる」でも思ったんですが、作画周りや描写含めて新海監督がチラついてしまうのが今作でも残っており、そのせいか独自性が薄くなっているなと今作でも思ってしまいました。
韓国アニメとはやっぱり相性が悪いなーと思ってしまいました。
この固定観念を覆すような傑作が出てくることを心待ちにしています。
鑑賞日 8/18
鑑賞時間 17:50〜18:55
中盤以降、共感できなくなった
何の予備知識もないまま、ポスターが気になって拝見。
キャラデザインが少女漫画のテイストをベースに、ジブリ(近藤勝也氏)と新海誠作品(西村貴世氏や田中将賀氏)の影響を受けているかもという思ったのですが、1枚絵のポスターより動いた時の方がストレートかつ強く、その影響下だという印象を受けました。
物語が始まれば、まさかの同性愛テーマ。
途中まで初々しく瑞々しい恋愛関係の描写が心地よかったのに、中盤で主人公・イギョンが大学生になってバイトを始めてから失速。
というか、物語が進むにつれて、主人公に対して共感ポイントが一個もなくなっていきましたわ。
己の価値観だけで他人を区別し、自分の見栄と我儘と性欲で浮気して、ほぼ奥さん状態だったパートナー(スイ)を棄てたクソだわ、この女。
断たれた夢への未練を振り切り、大学に進むには勉強が苦手で、生計を成り立たせるため新たな目標のために努力を重ねるスイの姿には、大いに感じ入るものがあったのですが。
ってか、私は断然スイ推し。
主人公がスイだったら、もっと良い印象になったんではないかと思いました。
原作があるんでは、そんな改変はできなかったでしょうが。
夏の日差しの中で少女たちの揺れる恋心が繊細に映し出されます。
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