「二週間限定の再上映、と聞き鑑賞。終始笑いも救いもない感じ、最高。 ...」盲山 Noriさんの映画レビュー(感想・評価)
二週間限定の再上映、と聞き鑑賞。終始笑いも救いもない感じ、最高。 ...
二週間限定の再上映、と聞き鑑賞。終始笑いも救いもない感じ、最高。
舞台は1990年代初頭、中国北部。
甘肃、山西、陕西辺りなのだろうか。もちろんフィクションだから架空なのだが、下放でもされない限り行くことはないド田舎。日本だと過疎の離島でも上下水道はほぼ確保されているし、プロパンでガスも使えるが、当時の中国の国力では、そこまで望むべくもない。
主人公の白雪梅が作品の中でこれからどうなるのか、鑑賞前から想像はできるので、なんでそんな簡単に騙されちゃうかなと思っちゃうけど、素直さや無知ってほんと罪だし、人間の世界は本当のところ残酷なものなんだよな。監禁されて、手篭めにされて。先進各国の倫理観では許されないかもしれないが、現在生きている我々も、元を辿れば同じようにして残された遺伝子なのではないか、と考えてしまう。日本だったらクマソとか蝦夷とか、多様な土着民を飲み込んできた訳だし、生物は次世代再生産をDNAに刷り込まれている訳だから、倫理的にはともかく、村人の行動は生物としては当然なのかもしれない。ラストベルトの何も得ることのない男性たち、アフガンのタリバンの行っていること、直近では参政党の躍進も、根っこは同じなのかもしれないな。そんなことを思う。
鑑賞を終え思うのは、よく知らない誰かが儲け話を持ってくるなんてことはまずない、という当たり前のこと。また、調べもせずに中国の片田舎に足を踏み入れてはいけないということ。
村そのものも行政も、信用に値しないよ。そして、私が日本に生まれた幸運に感謝する。
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