「おぞましい社会を描いていて印象には残る」盲山 kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
おぞましい社会を描いていて印象には残る
知らないうちに人身売買されていた女性の物語。こんな人身売買がまかり通っていたのは、一人っ子政策(農村部では例外も認められていたようだが)の影響が大きいと感じる。生まれてくる子どもが男か女かを異様に気にするのもそんな背景がうかがえる。この家族が、ではなく村全体が嫁を買って子孫を残そうとすることを受け入れている。むしろ積極的に推し進めているのが恐ろしい。この話では仲介業者が女性を騙して連れてきていることが問題だが、普通に親が子どもを売るケースも相当あったのだろう。しかも1990年代に。考えさせられる話だ。
軟禁された主人公の雪梅がたびたび逃亡を図るのだが、これが無計画でかなり杜撰。思いついたように走り出して、仲間たちとともに捜索する夫に見つかるという流れ。逃亡劇としての面白みはない。そもそも人身売買が行われていた背景や、嫁として売られた女性が闘う姿を描いたものだから仕方ない。たしかに夫が雪梅をレイプするのを夫の両親が手伝う姿はおぞましかった。なんて社会だ。
なかなか救われない話だなと思ったし、いい終わり方ではないんだろうなと想像していたから、あの終わり方でも驚きはない。ただ、終わり方が唐突だったから若干拍子抜けしてしまった。ただ、面白かった!とは言えないが、印象に残る映画だったことは確かだ。
コメントする