「時空を超えて理解も超えた」劇場版 時をかける愛 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
時空を超えて理解も超えた
■ 作品情報
監督はホァン・ティエンレン。主要キャストにアリス・クー、シュー・グァンハン、パトリック・シー。脚本はエルメス・ルー。台湾製作のテレビドラマ「時をかける愛」の続編映画。
■ ストーリー
2009年、台北で出会った黄雨萱(ホァン・ユーシュエン)と李子維(リー・ズーウェイ)は恋に落ちる。しかし2014年に李子維が転落死し、深い悲しみに暮れる黄雨萱は上海へ赴任する。3年後、差出人不明の小包に入っていたカセットテープを再生すると、黄雨萱は2014年の台北へとタイムスリップ。しかも、李子維の幼馴染である陳韻如(チェン・ユンルー)の体に入り込んでいた。彼女は自分自身である黄雨萱を目の前にして戸惑いながらも、複雑に絡み合うタイムリープと人格入れ替わりの中、愛する人を救うために奔走する。
■ 感想
本作を鑑賞する直前、ドラマ版の続編であることを知りました。しかし、事前にドラマを観る時間がなかったため、やむなくそのまま劇場へ。そのせいか、物語の冒頭から意味深なシーンが続くのですが、全く意味がわからず、なんとなく設定と人物相関を捉えるまでにけっこう時間がかかった印象です。
登場人物たちの複雑な関係性や、タイムリープに加えて人格入れ替わり、さらに二つの世界線が交錯するという壮大な設定は、ドラマ未鑑賞の自分にはとても理解が追いつきません。頭の中が常に「?」で埋め尽くされていて、これだけ複雑だとドラマ視聴済みでも理解できたか怪しいです。
それでも、登場人物たちが皆、自分の大切な人を救いたいという一途な思いで行動していることは強く伝わってきます。その感情の揺れ動きが、複雑なプロットの理解を助ける唯一の糸口だったように感じます。最終的には、論理的な辻褄は完璧に追えなくとも、なんとなくのハッピーエンドに辿り着き、鑑賞後の後味は悪くないです。
「こんなに複雑な物語にする必要があったのだろうか?」という疑問は残りますが、それでも作品自体は確かにおもしろかったです。そして何より、主演のシュー・グァンハンとアリス・クーの演技が本当に素晴らしいです。見ているだけでも頭がおかしくなりそうなこの複雑な設定の役を、彼らは見事に演じきっています。その演技力には脱帽で、彼らがこの物語の感情的な核をしっかりと支えていたからこそ、私の混乱も最終的には「めでたしめでたし」という感情に収まったのだと思います。機会があればドラマ版を観て、改めて本作を鑑賞しなおしたいと思います。