劇場版 時をかける愛のレビュー・感想・評価
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原作TVファン向け
元は2019年に台湾でヒットしたTVドラマで、それの劇場版リメイク。
初めて会ったときから互いに会ったことがあるような感覚を持ちながら付き合い始め同棲に至る年の差カップル。男の方が事故で死亡、傷心の女性はあるとき送られてきたWalkman(カセットテープ)を聞いてタイムスリップ、死んだ男性を事故から救えるか........だけだったら良かったのだが、それ以外が複雑すぎる。
2つの時期をストーリー上行ったり来たり、同じ女優・男優が違う時代の顔の似た人物として一人二役。複数のカップルの複数の時間線がタイムスリップを含めて交錯。これTV版で予備知識無いと映画で初めてじゃ混乱しまくって理解できない。字幕じゃなおさら。理解しようとすると画面が追えない。
もう一つの問題は、俳優がTVドラマ版のままなこと。TVドラマから6年が経過し、主要3人とも役に対して年齢が上がりキラキラした若い恋愛ムードを演じるのに不自然さが出てきている。原作ドラマを見ていれば記憶による脳内補正も効くが映画で初見では無理。
原作ドラマファン向けの映画になってしまっている。
惜しいPart2
「時空を行き来する作品」
また会いたい
せつなややこしい
タイムリープの使い捨て
タイムリープがさくそう、いや暴走。
レビュー評価が3.8とかだったので 見に行った。
はじめは、この伏線どうやって回収するの?と 前のめりでみてたのだが、
なんじゃこりゃの終末回避 タイムリープの理論もわけわからん。
ハッピーエンドは良いけどネ。
老化脳には納得 セナイ 。
最上のボーナストラック
最初に言っとくと、日本の公式サイトなどではシュー・グァンハン(グレッグ・ハン)がトップクレジットになってるが、あくまでも主演はアリス・クー。クレジットロールでもちゃんとアリス・クーが最初に出てくる。シュー・グァンハンは2番手で、3番手のパトリック・シーを含めた3人が主演である。
台湾のテレビドラマ版『時をかける愛』はタイムリープ青春恋愛ミステリーで、映画はその続編。そのためまずはドラマについて書いておく。数年前に地元ローカル局で深夜に放送してたので偶然観始めたんだが、あまりの面白さに釘付けになって最終回まで観てしまった。次週が待ち遠しいドラマなんて久々でした。放送は全21話バージョンだったが、DVDは全26話で、本国では1話90分の全13話だったものを1話ごとに2話に分割したバージョンのようだ。日本でのテレビ放送には全45話バージョンもあるらしい。基本的にはタイムリープ恋愛ドラマで、そこにミステリー要素が絡むという感じだが、1999年の高校を舞台としたパートが最も長くかつ話の中心になっていて、2010年の大学パートも合わせて青春ドラマの要素が非常に強いというのも自分好みのドラマだった。青春の影と傷と痛みと切なさを晒すように描いているところがとても良かった。
とにかく終盤まで謎が全くわからない。1つの謎が解決しても、そこから別の謎が生まれ……という展開で、ミステリーとしての出来が秀逸だ。タイムリープの絡め方も絶妙に上手く、脚本が本当によく出来ていた。恋愛ドラマとして観ることもできるし、ミステリーとしても、タイムリープとしても、青春ドラマとしてもそれぞれに観ることができるが、それでいてそれらが1つに融合した物語としても成り立っている。タイムリープといっても精神だけが過去(や未来)に跳ぶやつで、しかも自分とかではなく顔のそっくりな見知らぬ他人の肉体に跳ぶというタイプ。そのため主演のアリス・クーは「2019年の黄雨萱(ホァン・ユーシュエン)」「1999年の陳韻如(チェン・ユンルー)」「タイムリープした黄雨萱の精神となった陳韻如」「2010年の黄雨萱」「“黄雨萱の精神となった陳韻如”を演じている“陳韻如の精神のままの陳韻如”」など、もう1人の主演グレッグ・ハン(シュー・グァンハン)ともども4役から5役以上をこなしている。特にアリス・クーの演じ分けが繊細で本当に上手い。美人だし演技上手いし、良い女優だ。
そしてラストもすごく良かった。まさに大団円。正確には100%ハッピーエンドってわけではないが、多少の切なさを残しつつも、とても良い終わり方だった。本当に脚本がよく出来ていたドラマで、伏線の回収がとにかくお見事。最終回の最後の最後でまた、えええ? ここは○○だったのか!となったし、あのラストには脚本ばかりでなく、カメラワークにも演出にも思わず、上手い!と唸ってしまった。オープニングテーマとエンディングテーマもすごくいい曲で、普段は録画やDVDでドラマを観る時はオープニングやエンディングを観るのは1~2話ぐらいで、3話以降はほとんど飛ばしちゃうんだが、このドラマは中盤あたりから毎回ちゃんと全部聞いてしまった。
そしてここからが劇場版について。ドラマは登場人物たちの決断によって最終的に物語開始当初の時間軸がご破算となり、それによって当初の時間軸の認識を失った登場人物たちの新たな時間軸の物語が始まるという終わり方だった。そのため映画はドラマの時間軸や世界観と密接な関わりはあるものの、それには縛られない映画独自の全く新たなストーリー展開が構築されている。なのでドラマを観ていない人もとりあえずはドラマの知識がないまま、ある程度楽しめる作品となっている。
とはいえやはりドラマを観ていないと本来の面白さの7~8割ぐらいしか楽しめないだろうし、一部にいまいちよくわからないところもあるだろう。続編だから当然と言えば当然で、『ターミネーター』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』だっていきなり「2」から観たら全ては理解できないのといっしょだ。『男はつらいよ』や『007』みたいに何作目から観てもたいして問題がないというような作品ではない。そういう意味では、この劇場版はあくまでドラマのボーナストラックと言っていいだろう。
ただドラマに激ハマりした僕としてはすごく良かった。ドラマとは全く異なる時間軸で物語が展開していくのが新鮮。ドラマに出てきた登場人物たちの、ドラマとはまた異なる時空の物語に、うわー、ドラマでは描かれなかったあの人とあの人が! ドラマでは出会わなかったあの人とあの人が? などと感慨深いことしきりでした。決してドラマと同じ時代、同じ人の組み合わせの物語にはせず、ドラマとはまた違う時代、違う人の組み合わせで新たな物語を紡ぎ出しているところがすごい。特に終盤の大人になった陳韻如(チェン・ユンルー)と本来の王詮勝(ワン・チュエンション)というドラマでは決して出会わなかった、もしくは出会えなかった2人のシーンにはグッときた。映画はドラマには無かったパラレルワールドの概念が前面に押し出され、またどれだけ過去を変えようとしても大枠では未来は変えられないということも描かれていた。ドラマ同様に複雑なタイムリープの物語を、決してダイジェスト的にならず、かといって足りなくもない絶妙なテンポで描いている。よくあんな複雑かつドラマとは抵触しない物語を新たに作り出したなあ。それでも複雑な部分については理解が追いつかないところもあるかもしれないが、僕は比較的そういうのが得意なのか、なんとか付いていくことができました。面白かった。
何より映画館のスクリーンでアリス・クーを観れたのがうれしい。スクリーンの大画面だと彼女の美しさが一段と際立つ。ドラマに続いて黄雨萱(ホァン・ユーシュエン)と陳韻如(チェン・ユンルー)を演じる彼女も、李子維(リー・ズーウェイ)と王詮勝(ワン・チュエンション)を演じるシュー・グァンハンも、またも細かいバージョンまで含めると1人4役以上を演じている。その中にはドラマでは出てこなかったバージョンもあったりして、特にアリス・クーは途中でちょっとだけ──本当にほんのちょっとだけ違和感を感じさせるシーンがあったが、思いすごしかとスルーしたら、あー、やっぱり!そうだったのか!となって、その微妙なさじ加減の演技に改めて驚嘆した。ドラマでも似たようなシーンで、やられた!と思ったが、やはり演技派だ。莫俊傑(モー・ジュンジエ)を演じるパトリック・シーや、新たな登場人物の楊皓(ヤン・ハオ)を演じるジン・シージアら他の出演者もみんな良かった。いやぁ満足しました。これにてこの物語も大団円だ。
しかし2024年末でドラマのDVD販売も配信も終了してからの映画公開決定というのはタイミングが悪すぎる。台湾と中国での公開は3年前の2022年末で、韓国・香港・マカオ・東南アジアでも翌2023年初に公開されてるのに日本だけ3年も遅れるとは。せめて公開が1年前だったら……。あるいは上映館の少なさもそれが影響してるんではあるまいか。ドラマを観ないで映画だけ観に行く人はそう多くはないだろうし。ドラマを観たい人はTSUTAYA DISCASでレンタルされてるようなのでぜひ観てみてほしい。すごく面白いので。ちなみに僕はDVDボックス持ってて、たまたま今年年初からちまちま再観賞してたんでタイミングばっちりでした。
(追記)
そしてその1週間後にまた観てきた。上記の通りドラマの肝だったタイムリープと他人との入れ替わりに加えて、映画ではパラレルワールド(今風に言えばマルチバース?)まで含まれる複雑な話で、この人の中身は今どの人だ? そして今はどの時空だ?と最初に観た時には少々混乱するんだが、パンフレットや中国語版Wikipediaなども読んだ上で2度目に観るとよく理解できた。やっぱり面白かった。
ドラマ版からの完璧なアンサームービー
17歳の黄雨萱(ホァン・ユーシュエン)は28歳の李子維(リー・ズーウェイ)と出会う。
既視感のある二人。それもそのはず、黄雨萱が幼いころ迷子になっていたのを助けたのが当時高校生だった李子維だから。
【以下、ドラマ版の内容補足。ご興味があればお読みください】
★★★李子維は高校当時、陳韻如(チェン・ユンルー)という同級生がおり、性格や表情が暗い陳韻如に対して李子維は恋愛感情はない。いっぽう陳韻如は明るい李子維へ恋心を抱いていた。
ところが、陳韻如に未来から来た黄雨萱が入り込むことで陳韻如は性格が明るくクラスの人気者になっていく。この女性二人はそもそも顔が瓜二つなのがキー。
自分は未来から来た黄雨萱だと名乗り、このままだと本当の陳韻如は事故死する運命だから助けなければと李子維とその親友の莫俊傑(モー・ジュンジュエ)が奮闘。
中身が明るい黄雨萱の陳韻如に李子維はどんどん惹かれていく。
親友の莫俊傑は暗いほうの陳韻如が好き。見た目は同じなので性格が変わってしまった彼女(陳韻如)は一体どこへ行ってしまったのか。
いろんな手立てをするがけっきょく陳韻如は死に、黄雨萱が未来からくることも不可能になる。
10年ほど後の場面。あろうことか莫俊傑が陳韻如を殺したという無実の罪で収監されてしまっている時空で、李子維は自動車事故に遭い死にかけるが、まったく別の場所で自殺しかけていた王詮勝(ワン・チュエンション)という人物の身体をかりることになり、中身は李子維で外見は王詮勝という人物が出てくる。
この王詮勝は、記憶は李子維の部分が多いので、何もかも知っている状態で黄雨萱に意図的に出会う。。うまく恋人になり束の間の幸せ。
ところが王詮勝は結局飛行機事故で死ぬ。
こんどは黄雨萱が過去に行き、死んだはずの恋人と瓜二つの高校生の李子維(この時点では単に李子維でしかない)に出会う。→冒頭の★★★にもどる
カセットテープで意図的にタイムトラベルを繰り返したせいいで、シチュエーションが重層的になり収集がつかなくなる。
黄雨萱と李子維は、意を決していったん時空をリセットすることを決意。伍佰(ウーバイ)のラストダンスを聞きながら、忘れてもきっとまたどこかで出会えると信じながら。
莫俊傑がカセットテープを処分することで時空の行き来ができなくなったはず。。。
【ここまでがドラマ版の概略です】
最後のエンドロールで、これはコロナ禍に製作されたんだと我に返るまで映画の世界感に浸りっぱなし。
アリス・クーとグレッグ・ハンがドラマと映画でも3、4人を演じ分けていて見事。
特にアリス・クーは、黄雨萱の現在と過去、陳韻如の現在と過去、黄雨萱の内在した陳韻如、陳韻如の内在した黄雨萱、心の檻に入れられた黄雨萱あるいは陳韻如(ドラマ版のみ)、映画版の既視感はあるけど李子維と初めて出会う黄雨萱など、いったい何パターンの人物を演じたのか。
羅列しただけでもこんがらがりそうになります。
この映画が公開されるのを何年も心待ちにしていました。このドラマ版のおかげで中国語に興味をもち勉強、映画版もところどころを原語で味わえ感慨深いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
時空を超えて理解も超えた
■ 作品情報
監督はホァン・ティエンレン。主要キャストにアリス・クー、シュー・グァンハン、パトリック・シー。脚本はエルメス・ルー。台湾製作のテレビドラマ「時をかける愛」の続編映画。
■ ストーリー
2009年、台北で出会った黄雨萱(ホァン・ユーシュエン)と李子維(リー・ズーウェイ)は恋に落ちる。しかし2014年に李子維が転落死し、深い悲しみに暮れる黄雨萱は上海へ赴任する。3年後、差出人不明の小包に入っていたカセットテープを再生すると、黄雨萱は2014年の台北へとタイムスリップ。しかも、李子維の幼馴染である陳韻如(チェン・ユンルー)の体に入り込んでいた。彼女は自分自身である黄雨萱を目の前にして戸惑いながらも、複雑に絡み合うタイムリープと人格入れ替わりの中、愛する人を救うために奔走する。
■ 感想
本作を鑑賞する直前、ドラマ版の続編であることを知りました。しかし、事前にドラマを観る時間がなかったため、やむなくそのまま劇場へ。そのせいか、物語の冒頭から意味深なシーンが続くのですが、全く意味がわからず、なんとなく設定と人物相関を捉えるまでにけっこう時間がかかった印象です。
登場人物たちの複雑な関係性や、タイムリープに加えて人格入れ替わり、さらに二つの世界線が交錯するという壮大な設定は、ドラマ未鑑賞の自分にはとても理解が追いつきません。頭の中が常に「?」で埋め尽くされていて、これだけ複雑だとドラマ視聴済みでも理解できたか怪しいです。
それでも、登場人物たちが皆、自分の大切な人を救いたいという一途な思いで行動していることは強く伝わってきます。その感情の揺れ動きが、複雑なプロットの理解を助ける唯一の糸口だったように感じます。最終的には、論理的な辻褄は完璧に追えなくとも、なんとなくのハッピーエンドに辿り着き、鑑賞後の後味は悪くないです。
「こんなに複雑な物語にする必要があったのだろうか?」という疑問は残りますが、それでも作品自体は確かにおもしろかったです。そして何より、主演のシュー・グァンハンとアリス・クーの演技が本当に素晴らしいです。見ているだけでも頭がおかしくなりそうなこの複雑な設定の役を、彼らは見事に演じきっています。その演技力には脱帽で、彼らがこの物語の感情的な核をしっかりと支えていたからこそ、私の混乱も最終的には「めでたしめでたし」という感情に収まったのだと思います。機会があればドラマ版を観て、改めて本作を鑑賞しなおしたいと思います。
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