「過激派と差別主義者と、セックスと、偏愛と憎しみと、、、」ワン・バトル・アフター・アナザー kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
過激派と差別主義者と、セックスと、偏愛と憎しみと、、、
善良な人間は、ディカプリオが演じるパット(ボブ)の娘ウィラ(チェイス・インフィニティ)だけで、後はみな悪党ばかり。
まずは、移民解放運動の過激派メンバーの黒人女性パーフィディア(テヤナ・テイラー)が、移民収容所の襲撃作戦でロックジョー警部(ショーン・ペン)に銃を向けて命令する内容がイカれている。
ロックジョーはその経験でパーフィディアに異常な執着心を芽生えさせるのだから、こいつもまたイカれている。
その作戦に参加した爆弾魔のパット(後に身を隠してボブを名乗る)(レオナルド・ディカプリオ)は、作戦成功の興奮冷めやらぬままパーフィディアと関係をもつ。
パーフィディアはパットが仕掛けた爆弾の爆発に合わせて彼にセックスを求めたりする。
パーフィディアを追っていたロックジョーは、双眼鏡で彼女のヒップラインを舐めるように観察するほど屈折していた。
ある施設に爆弾を設置しようとしていたパーフィディアをロックジョーは遂に捕らえるが、彼女とある約束をして解放する。この時、主導権はロックジョーの方にあったのか、パーフィディアの方にあったように思えなくもない。
解放されたパーフィディアは、何事もなかったかのようにパットと合流する。
その後、パーフィディアとロックジョーはモーテルで密会するのだから、この二人は本当にイカれている。
そして、そのモーテルでの行為もイカれているのだ。
パットとパーフィディアの間に女の子が生まれ、次第に二人の関係が変化していく。
パーフィディアは母親よりも革命戦士の道を選び、パットは娘を守る道を選ぶ。
そして物語は第二部へと移っていく。
パットはボブに名前を変えて娘と二人の潜伏生活を送っていた。娘のウィラは16歳に成長している。
ここからのディカプリオはすっかりコミック・リリーフで、主人公は娘なのだ。
出世したロックジョーは、白人至上主義の結社に入会を希望する。そのためには、黒人パーフィディアとの異常な過去を知られてはならない。
過激派と裏社会とカルト集団と、孤軍奮闘する父娘の二転三転の混沌バトル。
この後半の面白さは際立っている。
特筆すべきは荒野の一本道での追跡バトルだ。
この道路が土地の起伏で上下していて、登り坂道では頂上から先が見えない。道の周囲には建物もない広大な原っぱで、正に荒野の一本道なのだ。
この地形を利用したカーチェイスのアイディアには舌を巻く。とてつもない迫力の演出。
ラリって組織の合言葉を思い出せないボブは、娘の救出に命を懸ける。警察に追われながら警察を追う。援助するのはウィラの空手の〝センセイ〟(ベニチオ・デル・トロ)だけだ。
ほぼ常軌を逸したロックジョーがウィラを捕らえたのには驚くべき目的があった。そして、そのロックジョーにも脅威が迫る。
この三つ巴・四つ巴の構成が面白い。
ディカプリオのブッ飛んだ演技も抜群だが、ペンのブッ壊れ方が凄まじい。あの歪な歩き方は演技なのか、ペン自身がどこかで身体を悪くしていたのだろうかと思うほどだ。最後にはとうとう顔までブッ壊れる。
父と娘の関係は、血の繋がりではない。
父は父であり続け、真実を知った娘もまた、父を父として受け入れるだろう。
ハチャメチャな悪党同士の〝闘い、また闘い〟の物語には、究極の父娘愛が隠れていたのだ。
共感ありがとうございます。
(応意にも、ありがとうございます)
あの一本道の追跡バトルは、すごかったですね。
ペンの、
〉あの歪な歩き方・・・
私もとても気になりました。


