劇場公開日 2025年10月3日

「今のアメリカならではの活劇」ワン・バトル・アフター・アナザー 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 今のアメリカならではの活劇

2025年10月14日
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鑑賞方法:映画館

P・T・アンダーソン脚本・監督作品として、ちゃんとしたエンタメに仕上がっていることに驚き。もちろん、敵役を筆頭に、登場人物のキャラクター造型には相当クセがあるが、全体としてストーリーが追いかけやすく、飽きさせない。クライマックスのカーチェイスなど、今まで観たことのない映像で、船酔いしてしまいそうなくらい。
移民問題がベースになっているが、「16年経っても何も変わらず」さらに右傾化している現実のアメリカに対する諦観のようなものもあるのだろうか。白人至上主義の秘密結社も含めて、今のアメリカならではの情けなくも可笑しい活劇になっている。
タッチとしてはコーエン兄弟の諸作品を思い起こした。アメリカ人には理解しやすく、笑えるだろうが、日本人にはピタッとフィットしてこない感じも似ているというか…
L・ディカプリオは近年、情けない男がすっかりハマり役になった。S・ペンの怪演ぶりはしばらく語り継がれるだろう。B・デルトロは出番は少ないが好印象。娘役の凛とした美しさも印象に残った。
各シーンを支える音楽もユニークで面白い。スティーリー・ダン(セリフにも出てくる)の「ダーティ・ワーク」は、主人公を代弁しているようで笑えた。
導入部での仲間を裏切る母親の心情が理解できなかったので、ラストは取って付けたよう。ただ、娘の行動に託して、次世代に希望をつなぎたいという作者の願いのようなものは感じられた。

山の手ロック
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