「なんかズレてると思いつつ魅入ってしまった」ワン・バトル・アフター・アナザー TSさんの映画レビュー(感想・評価)
なんかズレてると思いつつ魅入ってしまった
なんだこれっていう設定。
現代アメリカでリベラル革命家の武力闘争?銀行強盗で顔面晒して名乗ってどうする!
革命組織の通信手段は固定電話か1G携帯で、「合言葉」で身元確認?
警視という役職なのに軍服?警察なのか軍隊なのか?
いろいろ突っ込みたくなるシーンがあるけれど、このズレも監督の計算のうちなんだろう。現実に即したリアリティさに拘らないことで、撮りたいものが撮れ、見せたいものが見せられる。
そしてそのズレが気にならなくなるキャラクターの濃さと後半に畳みかけてくるスピード感あるストーリー展開。逃げて、追って、逃げながらも追う。本当に162分もあったのかというほど中身が濃かった。
ディカプリオのイマイチカッコよくない中年親父っぷりが何ともいえない味わい。屋上から落っこちるシーン、携帯の充電が何度もできないシーン、合言葉を忘れた電話のシーンは笑った。ベニチオ・デル・トロのセンセイの段取りの良さを見習いなさい。
テヤナ・テイラーの野生児のようなエネルギー溢れる演技にも驚かされたが、やはりショーン・ペンの存在感が半端ではない。16年経っても追い続ける執拗さ。白人至上主義の秘密組織に入会したいという動機だけでここまでやることの異常さ。願望が成就した後の最後のオチは、現代アメリカ社会への皮肉めいたものを感じた。
特別凝った画はなかったように思うが、カーチェイスの場面で路面(地形)のアップダウンを巧みに利用した場面は唸った。観客を引き込む構図。上手い。
尺の長さを感じさせない展開と緊張と抜け感をミックスした巧みな構成。こんな映画を撮れる監督って他にいるのか?監督の腕に脱帽です。
コメントありがとうございます。
革命組織の連絡手段が古式ゆかしい骨董品の電話、ボブもすでに骨董品な革命家、充電がなかなかできないの、笑いました。
古すぎて傍受されないので逆に使えるとかだったりして。
暗号を思い出せないのは。。。大変身につまされます。私も骨董品です。
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