「IMAXでもう一度ビール飲みながら見たい」ワン・バトル・アフター・アナザー ONIさんの映画レビュー(感想・評価)
IMAXでもう一度ビール飲みながら見たい
初日に来てしまうのは宮崎駿とゴジラの新作とスターウォーズとポールトーマスアンダーソンくらいか。来てしまったよ。
そもそもピンチョンの作品を映画化できる人なんて羨ましい。今回もヴァインランドが〜とか噂にはなってたけどヴァインランドは読んでない。読んでいないがおそらく「ごった煮POPスペクタクル」に違いない。そして本作は言うなればPTA流のジェットコースタームービー(ジェットコースタームービーの元祖はスピルバーグ)。とはいえ、これがピンチョンだ!とかこれがポールトーマスアンダーソンだ!というような満足感は実はない。それほどこの人には期待値が高いのでそうはならない。(最もピンチョンぽい映画監督って実はキューブリックだと思ってる)。単にインヒアレントバイスからその掛け算がうまくいってると思ってない。
しかし本作は面白い。アクションに継ぐアクションのテヤナ・テイラーの魅力全開の前半の革命運動シークエンスはもう一度見たらこれが最高!なのかもしれないけど初見では若干長くは感じる。しかしジョニー・グリーンウッドの切れ目ない音楽も見事にはまっていてテンションがあがっていく。
怪しい光を放つのは徹底的にショーン・ペン。一癖二癖というか癖の塊みたいな鬼軍曹みたいのが革命軍団を追っていく。しかもそれは仕事以外に途方も無い執念が湧く仕掛け(性癖と欲望)がしてありそれが笑える。
そして中盤から始まる爆笑チェイスの情けないランボー、というかトム・クルーズの逆張りで攻めるだらしないディカプリオのかっこよさ!(娘から相手にされないわ、暗号は忘れるは、なかなか充電させてもらえないわ)。
そしてショーンペンも異常性がましていく。「リコリスピザ」のアラナ・ハイムが見れてよかったと思ってると中盤に現れるチェイス・インフィニティの新旧ヒロインの交代にハッとしながら、撒かれた種の回収(かなりとぼけている)もすべてアクションで進む。特に終盤のあのカーチェイスはこれだけアクション映画を観ていてもなかなか見れないものではあった。
という具合にあっという間に終わる。本当にある意味「ミッションインポシブル」といいうアクションスターの娯楽映画のフォーマットをPTAとディカプリオで真剣にパロディしてるというか、換骨堕胎して、ポストモダン化してる。そしてアクションシーンもタランティーノとかと違ってキレがある。
そして忘れてはいけないのはそのショーンペンがかわいく収まってしまうクリスマスの冒険者の面々のリアリティ。『プロミッシングヤングウーマン』のスノッブ集団に次ぐナイスキャスティング。
もう一回観たいな。次はビール持ってIMAX最前列で。
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