「あらすじでは見えてこない“プロローグ”があるからこその」ワン・バトル・アフター・アナザー TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
あらすじでは見えてこない“プロローグ”があるからこその
大変なこだわりをもって自身の出演作品を決めるというレオナルド・ディカプリオ。今回はポール・トーマス・アンダーソンとのタッグということで公開を楽しみに、劇場で流れるトレーラーからも目を背けて極力に事前情報を入れないようにし、本日ようやくの公開初日にTOHOシネマズ日比谷にて劇場鑑賞です。
政府による移民政策に対し、「革命を起こそう」と武装闘争で対抗するレジスタンス“フレンチ75”に参加するボブ(レオナルド・ディカプリオ)は爆発物が専門分野。ボブが仲間に入り作戦の幅が広がって、勢いを増す“フレンチ75”の活動はどんどんと過激になっていきます。ところが、ある日の作戦時に起こる“計画外のアクション”をきっかけに無理な撤退を強いられ、一部のメンバーがロックジョー(ショーン・ペン)率いる軍と警察による包囲網によって捕まり、そしてカリスマ革命家でボブの妻のペルフィディア(テヤナ・テイラー)も拘束されてしまいます。ちなみに、彼女の名である「Perfidia」の意味を調べてみるとなるほど!。ここでは伏せておきますが、興味があれば是非と余談まで。ちなみにここまでの流れはあくまで“プロローグ”であって「かつての話」。公式サイトなどのあらすじを確認してみると、概ねはその16年後について触れられていますが、観終わればこの“プロローグ”があるからこそいろいろと感慨深く、最後の“エピローグ”を観てついつい涙腺も刺激されてしまう、大いに“浸れる作品”となっています。
それにしても本作、一言で評すると“全部盛り”と言って過言ではない超エンタメ作品。アクション、サスペンス、ユーモア、そしてスリル。特に終盤のカーチェイスシーンはメチャクチャにスリリングで、独特のシチュエーション×カメラアングルに観ていて思わず車酔いを感じるほどのリアリズムからの、驚きのアイデアによる決着のつけ方には素直に感動。それまでの息つく暇もない展開も含め、本作のマクガフィンであるペルフィディアの娘・ウィラを演じるチェイス・インフィニティ、大変に印象に残るアクションは見応え充分。そしてまた、今時の若者的なリアクションvs. オジサンたちのイライラや呆れる様子に苦笑してしまう一方、ボブの育て方やセンセイ(ベニチオ・デル・トロ)による指導、そして母親譲りのセンスと意志の強さ等々、深みを感じる演技も大したものだと思います。
そして勿論、豪華共演の大物俳優レオナルド・ディカプリオとショーン・ペン、さらにベニチオ・デル・トロの振り切った演技には劇場内に笑い声が止まりません。それぞれキャラクターは全く異なるのですが、3名それぞれが厳つい言動に反してどこか可愛げを感じ、観ていて思わず笑ってしまう。もうズルいとしか言いようがありません。
設定や背景など、特殊な状況や専門的な言葉や話も飛び交いますが、意外にも誰もが取っ付きやすいエンターテインメントに溢れる作品。ここ最近は鑑賞作品と自分の相性が良くないことも少々ありましたが、久しぶりに掛け値なしで「面白かった!」と言える作品でした。もう一回観たいな~
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