劇場公開日 2025年8月22日

「盲目の男が自分の目と引き換えに何を手に入れるか❓」六つの顔 minavoさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 盲目の男が自分の目と引き換えに何を手に入れるか❓

2025年10月2日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

映画「国宝」からの古典芸能シリーズということで、「覇王別姫」(京劇)はさんで、本物の人間国宝、狂言の野村万作さんのドキュメンタリー観てきました。

前半は、撮影時点で93歳、現在94歳。ご自身がまだ到達されてない高みを追求するストイックな姿勢から、お父さん万蔵さんへの憧憬、野村家のルーツまで(万作さんのお祖父さんが金沢から上京してスタートとな!)、オダギリジョーのナレーション、俳優として人気の萬斎さん(万作さんの息子)、その子どもたち(万作さんの孫)のインタビューで語られます。

後半は、文化勲章記念公演の舞台裏から、本番舞台(4カメ、セリフの現代語訳付き)までしっかり見せてくれ、ここがむちゃくちゃ素晴らしかった。

演目は、万作さんがコミカルな狂言ではなくシリアスな狂言として選んだ「川上」。

盲目の男が奥さんに見送られながら、参拝すると目が見えるようになると評判の地蔵にお詣りに。はたして目が見えるようになった男が、地蔵に言われた条件とは?というお話。

みなさまおなじみの、夢を叶えるために何らかの代償を払うはめになって苦しむという定番ストーリー。古くはギリシャ神話のメフィスト伝説、音楽界隈ではクロスロード伝説、日本だと笑うせぇるすまん的なやつです。

盲目の男役の万作さんが、今年観た映画「罪人たち」のバディガイと被って見えました。

「川上」は、ほとんどが盲目の男の一人芝居でこのあたりも見どころですが、93歳が演じるのと例えば50代が演じるのでは受け止めるものがずいぶん違うんだろうなと想像しながら観てました。お芝居の面白みですよね。

映画観ながら、10年ほど前に地元の薪能で野村万作さんの舞台を観劇してたことを思い出しました。あの時も所作というか体の使い方がすごかったのが印象に残ってます。

minavo