「インフォームド・コンセント」タンゴの後で ひろちゃんのカレシさんの映画レビュー(感想・評価)
インフォームド・コンセント
舞台となった1970年代初頭、人々が愛と平和と自由に至上の価値を置いていた時代の空気とは裏腹に、映画制作現場(だけではないだろうが)がパワハラ横行の男社会だったことが描かれていて、男女問わず「マリア・シュナイダー」が続出した事は容易に想像がつく。インティマシー・コーディネートに代表される、本人の自由意思を尊重する手続きの普及を願うばかりだ。
一方、芸術表現上の情熱とわがまま、あるいはハラスメントの境界線は余りにも曖昧で、特に映画・演劇・オペラ等パーフォーミング・アーツの監督や演出家は、芸術家として優れていても出演者への配慮が足りないばかりに只のセクハラ糞野郎として葬られる危険があるという点で、画家や小説家のような個人営業主とは別種の才能が求められる。同意を得るのも才能のひとつ、という事になるわけだが、ベルトリッチにはこれが欠けていた。しかし例のシーンに関して「胸は痛むが後悔はしていない」とうそぶいているので、自覚はなさそうだな。
マット・ディロンのそっくりさん振りはお見事です。
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