未来への警鐘 原発を問うのレビュー・感想・評価
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原発が安くて安全でクリーン?
多くの国で、地球の気候変動対策として石化燃料の火力発電所から再生可能エネルギーという形のクリーンエネルギーへの転換を図ってきた。再生可能エネルギーへの世界の投資額は約3兆ドルに達し、太陽光発電は8割、風力発電は5割コストが下がったものの、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、30年以内に炭素排出をほぼ100%カットしなければ、2050年までに生態系と経済に深刻な被害が及ぶとの事。
地球が気候変動とエネルギー不足の課題に直面するなか、ストーン監督は自ら原子力発電所などへ足を運んで取材を行い、いま人類が選ぶべきエネルギーとは何かを問いかけ、結論として原発推進、を提言してる作品。
原子力発電がこれからの明るい未来なのだという作品。
全てが安全に運用されればその通りなのだろうが、不具合が起きた時はどうなんだろう?
そこが気になる。
被爆国日本の広島に住んでいて、福島の津波による原発の廃炉も進まない現状から、原潜の安全性を持ち出されてもなかなか納得いかない。
ロシアの放射能に汚染された湖などの例もある様に、使い終わった家庭用原発の処理にどうしても懸念が残る。
緊急課題ルポルタージュ!
オリバー・ストーンは本来こういうノンフィクションが得意のようだが、それでも今回は
控えめな感じがする。あまり話題になっていないし、上映館もすごく少ない。映画というよりルポルタージュという感じで、テレビで放送した方が反響あるのではないだろうか。
内容的には、データと事実の比較を通して的確に意見を述べている。とても整理されていて分かりやすいと感じた。特に、風力・ソーラーパネル発電の効率の悪さ、広大な面積の必要性などを分かりやすく説明されていた。
電力業界関連市場向けに仕事をしているので、ここで語られている内容や意見は正直個人的には新しくは無い。ただ、はっきり言っていた「人間が感じる怖いと思うものへの拒否反応」についてとても納得がいく。私個人も、最も効率良く環境も壊さず大量の電力供給が可能なのは原発だけ、という理論に納得はできるけど、やはり使用済み核燃料処理とアクシデントによる放射能漏れ、この2点について核心が持てない、漫然とした「恐怖」のようなものを感じてしまうので、原発は難しいのでは…と考えて来た。
適切な設計施工と、適切な対策により、この2点は対処出来る、理論上はそうなのだろう。原発に起因する事故による死者数は、他の化石燃料発電に起因する事故、健康被害による死者より断然数が少ないという点を重視して判断を下せるかどうかなのだろうなと明確に認識した。
日本人には今でも胸が痛む津波のシーン、福島第一原発の水蒸気爆発についての詳細説明もしっかり語られている。そしてこの事故が直接原因で亡くなった方はゼロ、むしろ汚染地域の住民の緊急避難時のずさんなやり方が原因で、移動中に亡くなった病人老人がいたと言う事、あくまでもこれは津波による被害が原因だという説明も、分かりやすかった。
これは日本映画「フロントライン」でも触れていたのでよく調べているな、という印象を受けた。
また原発の仕組みを分かりやすく広く説明することで理解を深め、漫然と不安を感じる事が無いようにしていく事も重要なのだろう。
しかし自分が考えたとて判断を下す立場にないので、そこは政府に真剣に検討して頂きたいところ。何しろ今、AIの出現によりとにかく世界中で電力が足りない、これからもっと足りなくなると、発電は重要課題なのだ。これからを生きる若い世代にこの課題への取り組みを任せる事になるわけだ。
議論のポイントを明確に示している本作は良い作品だったと言える。やはり、テレビで放送してくれたらいいのに、と思う作品。
地球に優しい生き方をどう具現化するか
てっきり福島などの原発の怖さを主張するのかと思っていたら、まったく違ってた。
過去の「ニクソン」などの政治映画だと難しかったが、これは待ったなしのテーマであり、見逃せなく、自分の生活に関わることでもある。ただし、いつものオリヴァー・ストーンのように、情報量が多く難しいところもある。それでもぐいぐい押して来る。
観ながら少しずつ、何を訴えたいのかがわかってくる。それもこの作品中にあるように、イデオロギーや極端な政治信条ではなく、普通の人の立場に立った感覚で訴えて来る。
今もテレビで「地球に優しい生き方をしましょう」と言っているが、では何をせよと言うのか。ゴミを減らす、食べ物を残さない、公共交通を使う、と言うレベルの話では地球の問題は解決しない。
まずは、みんなの意識を変えないといけないと思う。そして何を実現すれば良いか、それに対しチャレンジしている人はいるのかを物語る。
私はこの映画を観て、目覚めさせてもらった。但し、この真面目な映画を観る人は少ないから、世間の意識は変わらないし、そう甘くはない。それでも最後は少し希望を持たせてくれて良かった。
必見。
まぁ大体そんな感じにはなるんだろうなぁとは─
以前にアメリカを題材にした同監督のシリーズドキュメンタリーを見て、全く面白くない・・・劇映画は興味あるなし関係なくあんなに面白いのに・・・なんていう思いがあって、結構消極的観賞。
いろんな映像作品をまとめて、音楽はヴァンゲリス!だから?ちょっと古めかしい、だから?主張も今更感・・・
こういった問題は複雑で分からん。なのでどうしても注目する作品は見ちゃうのですけど、この作品は・・・ぶっちゃけ中身はNHKとかのドキュメントの方がよっぽど有意義に思えたり─。情報的にどうしても映画はテレビには・・・と思ってしまいました。
復習とか一つの主張として見る分にはいいのかもしれませんが、この作品によって何か動かされるということは、あくまで自分には、皆無だったかなと・・・
福島どないやねん
話の本筋から逸れるが先ず地球を含む太陽系はいきなり超新星爆発から誕生した訳ではない、雑過ぎる。
(その辺のプロセスは上坂浩光監督作品"HAYABUSA -BACK TO THE EARTH"に詳しい)
長い時間をかけてキュリー夫妻から始まる核の歴史を辿りつつスリーマイル島原発やチェルノブイリ原発事故にも触れるが、何故ドイツが反原発に舵を切った決定打になった東京電力福島第一原子力発電所の事故には触れないのか?
私が注意力を失っている間に見逃したので無ければ片手落ちではないか?
また、ウラン鉱山における残土の問題もスルー?
地球温暖化の問題は決して無視できる問題ではない、所謂再生エネルギー源の「欠陥」にも長い時間をかけて触れているが先の2点に触れないのは残念。
何より核エネルギーにせよ再生可能エネルギーにせよ「弱い者に皺寄せが行かないようにしろ」って言えないんですかね、それが無ければ手放しでこの話には乗れんわ。
ただ、ヴァンゲリスの音楽は良かった。
退屈とまでは言わないがあまり他人に薦められる映画ではなかった。
そっち!?
2025年劇場鑑賞216本目。
エンドロール後映像無し。
自分は原発に対して賛成でも反対でもないというか、まだ判断がつかないという中立派です。今回オリバー・ストーンのドキュメンタリーということで観に来ましたが、タイトルから原発の恐怖についての映画だとてっきり思って観ていました。あれ?これえらい原発擁護してない?でも最後に福島原発事故でひっくり返るのかな、と思っていたらそのまま終わってしまいました・・・。これ原発反対派が意気揚々と観に来たらブチ切れるんじゃないかなぁとずっと心配しながら他のお客さんを眺めていました。
低評価なのは原発に賛成だからとかじゃなく、福島原発事故について触れてない(ちょっとウトウトした時に軽く触れられたのかもしれませんが)のと、単に面白くなかったからです
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