テイク・ミー・サムウェア・ナイスのレビュー・感想・評価
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太鼓判のクレプスキュール作品配給
東欧の歴史に詳しくないので全くの想像で話を運ぶが、旧ユーゴの内乱から和平合意が'95年あたりというところから考えると、主人公のアルマは謂わば内乱第二世代といったところか。ルーツがオランダにもボスニアにもある様な微妙な心持ちが窺える。加えて今、少女なのか大人なのか、それも微妙な心持ち。鏡やガラスなどの2面を映して境界性を描く大胆な構図が、その辺りを実にうまく表現していて、映画としてのセンスは鳥肌モノ。二面性は内面だけに留まらない。
自分がボスニアに留まっていたならどうなっていたかを仮想させる従兄弟、そしてそのパシリ。はたまた好色な資産家や、旅芸人の様な歌い手など。旅の目的は父親に会う事で、詰まるところそれは自分のアイデンティティを自覚する事なんだけど、この登場人物たちがアルマに人生の多面性を知らしめて、青春を惑わせるのだなぁ。
ブレブレになっていく終盤は、惑ったままのアイデンティティ探しを表しているのか…なるほど人生やその価値など一筋縄ではないな。
クレプスキュールがまたやってくれた!人生の折々に再会したい作品。
優れた映像集だが、映画ではない
3人のパワーバランス
監督が方向音痴。
三匹目のワンコ!
予告を観た時には大好きなソフィア・コッポラ監督味のありそうな作品だなーと思っていたけど、蓋を開けてみたら当たらずとも遠からずな部分もありながら荒削り感強めな繊細描写(←難しいな)を感じて自分にとっては凄く新しい感覚だった。
若い時の空虚な感じとか場当たり的に物事を捉えてしまいがちな
ところとか凄くよく出てるかと思いきや、社会問題をシレッとぶっ込んでくるあたりもこれまた新しい。
キャラクターもみんな粒ぞろい。
アルマとデニスはもちろんだけど、エミルが最高✨でもよくわからないところもあったから購入したパンフ読んで謎が解決するといいなー💜
ヤン・シュヴァンクマイエルレトロスペクティブで作品オールコンプした時に何度も何度もこの作品の予告を観たけど、予告から受けた印象と実際のものの印象が全然違ってて良き意味で裏切られた感激しい。予告の繋ぎ方がいいんだよな。
最後に…
ワンコが3匹でます
最後のワンコの演技力に脱帽します
いや〜好きな作品だったゎ❤ ❤ ❤←大事なことだから繰り返しました
パスポート大丈夫?
オランダで暮らすボスニア人少女が、ボスニアで離れて暮らす父親のもとを訪ねるロードムービー。
10代後半と思しき主人公が、入院中の父親の見舞いにボスニアへ一人旅、年の頃が同じいとこに空港に向かいに来てもらい、とりあえず彼の家へ…と始まっていく。
忙しい忙しいと言ってすぐに姿を消しちゃういとこの家に、彼の友達のチャラ男が登場し…まあ若いしね…w
からの、やはり忙しいと父親の住む病院に連れて行ってもらえないから、長距離バスに飛び乗ったら、座席はないは酔いまくるはで、トイレ休憩中に一息ついていたらバスは出て行き…。
スーツケースはバスに載ったまま、着の身着のまま…にみえたけど、どこかからスマホは出てきて、まあスマホがあればなんとでもなりますよね。
病院以降まだ30分ぐらい尺があったけど、そこからは何が言いたいのか良くわからないただの若気の至りと恋愛物語?まあ、最初からその気配はあったけれど…。
堅苦しい空気感でらないものの、ユーモラスという表現が何を指しているのかかわからない感じで、まさか良くわからないスーツケースの選択とか新しい服にタグがついていたとかじゃないですよね?という感じだし、なんかイマイチ盛り上がりに欠けた。
子供と大人の境目を彷徨うボスニアのアリス
オランダ育ちのボスニア人少女アルマが、病に倒れたボスニア在住の父の見舞いに従兄とその友人を交えた3人旅に出るも…
監督自身もボスニア・ヘルツェゴビナ出まれオランダ育ちの女性で、ジム・ジャームッシュの『ストレンジャー・ザン・パラダイス』の影響を受けているとか。ただ、中盤以降の展開はスティーヴン・キングの『スタンド・バイ・ミー』を思わせる。
本作を国内配給するクレプスキュールフィルムは、これまでに『WANDA/ワンダ』や『システム・クラッシャー』など、奔放かつ掴みどころのない女性が主人公の作品を扱っているが、こちらもご多分に漏れず。大人未満のアルマが醸し出すアンニュイな雰囲気に惹きつけられる。監督曰く「カフカ的な旅に出る現代の『不思議の国のアリス』」とキャラ付けしているのも納得。だからというわけではないが『鏡の国のアリス』ばりに鏡に写るアルマのショットが多いのは、彼女の「子供と大人」という二面性を表しているのだろう。同じヨーロッパに括られるも、東のボスニアと西のオランダでは経済格差が激しい。そんな背景を3人の若者を通じて描いているのも興味深い。
「生きる」と「血(=死)」をこれ以上ないほど体現したラストは、女性監督らしい生々しさを感じた。
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