「歴史の一部を知ることができた。」大統領暗殺裁判 16日間の真実 ひろちゃん千葉さんの映画レビュー(感想・評価)
歴史の一部を知ることができた。
機会があれば見たかった映画ですが時間が合わずダメかと思ったらやっている映画館があって見れました。
韓国の大統領暗殺と言うニュースを聞いたのは小学生の時。まだ韓国を南朝鮮と普通に呼んでいた時代。隣国の事とは言え大事件でした。
正直韓国の体制など知る由もなくどっちも軍事独裁政権だった事もあり北朝鮮と南朝鮮との違いが分からずどっちのことを言っているのか混乱していました。よど号が飛んでいったのは北朝鮮だったけど南朝鮮にも寄った(騙して着陸させた)よね?とかそんな程度の知識でした。
その後大きくなってから一応概要は知ったのですが自国のトップを暗殺ってどんだけ?とは思いました。その後もクーデターがあり軍事政権が続く訳ですが、そう言った歴史の中で日の当たらない事に注目するこの映画は裏が分かる価値ある物に感じました。
ネタバレも何もフィクションでは無く歴史に基づいた映画だと思うのでその部分はあえて伏せないですが。
軍事独裁政権の大統領だった朴正煕が情報部(KCIA)の部長(KCIAのトップ)、金 載圭によって暗殺された。暗殺に参加した情報部一行を乗せた車は陸軍本部へ逃げ込んだ。
朴正煕の独裁政権が長くなって増長した朴正煕はかなり嫌われていて学生運動が起こるなど社会問題になっていた。金載圭はやりたい放題の朴正煕に怒りの鉄槌を食らわせたかったのだろう。それに巻き込まれた情報部一行。すぐに逮捕され裁判になったが情報部で唯一現役の軍人のままであった部長付秘書官の朴興柱(映画内ではパク・テジュ大佐)だけは軍事裁判にかけられる事に。
裁判になると必要なのは弁護士。犯人グループを弁護する弁護団が結成された。
その中でパク・テジュ大佐を担当する若き弁護士チョン・インフ。彼は貧乏な中から這い上がって猛勉強で弁護士に。裁判は勝ち負けを決める場であり正義か悪かを決めるところでは無いが信条。勝つためなら手段を選ばない、多少の嘘や詭弁でも通ればOK。そもそも負けたら正当な裁判でも不利を被ってしまいそれでは公正とは言えない。ならなんとか勝ちを近づけるのが仕事で裁判で有利に持ち込む事が結局依頼人の為になると考える弁護士。ところが担当のパク・テジュ大佐は士官学校を卒業後、進んで前線勤務を志望する程の生粋の軍人。軍人時代は上官で恩人だった部長の大統領暗殺と言う理不尽な、命令とは言え逆らえず仕方なく大統領や仲間を殺してしまった事に酷く悩んで後悔し自分は罰を受けるべきだとの立場を崩さない。
頑張れば一審で終わる軍事法廷では無く三審制度の一般の裁判を受けれる可能性があったが自ら拒否。一審で判決確定する軍事裁判では明らかに不利だ。
しかも軍事独裁政権を維持したい全斗煥少将(後の大統領)の暗躍。街中では世論が真っ二つに分かれており朴正煕を敬愛する者からは犯人弁護団は恨まれ脅され石を投げられ耐えきれなくなった弁護士から離反していった。軍からも市民からも憎まれ四面楚歌の中、どうやって弁護活動を行ったのか。
また頑ななパク・テジュ大佐は、彼の家族は、裁判の行方は。
全てが真実通りの内容なのかは分かりませんが、かなりスリリングな内容でした。
最大限感謝したパク・テジュ大佐とチョン・インフ弁護士。彼らの心の中に何が残ったのか。
