「天才的な頭脳の使い方がバカすぎて終始モヤモヤしたわ」BAD GENIUS バッド・ジーニアス ヘマさんの映画レビュー(感想・評価)
天才的な頭脳の使い方がバカすぎて終始モヤモヤしたわ
早くに母を亡くして、クリーニング店を営む父とふたりきりで暮らすアジアン少女・リン。貧しい生活ながら彼女にはずば抜けた才能があり、授業料無償の特待生として進学校に編入できた。
編入後、人種的にも裕福度的にもスクールカーストの最下層に位置付けられるリンだが、アッパークラスの少女のカンニングを手伝ってあげたことで1軍に爆上げ。事情を知った1軍の他の学生からもカンニングを依頼され、金銭と引き換えに率先して携わっていく。やがてカンニングは、大学進学の共通テストにまで及び……。
という流れなのだが、そもそもカンニングの仕掛けが大掛かりすぎて、これを実践するぐらいなら、ちゃんと勉強した方が早くね? とツッコミどころも少々。
しかし、それよりもヒロインへの感情移入がまったくできず、終始、憮然とした心持ちで鑑賞していました。金を稼ぐためとはいえ、特待生の待遇が不意になるリスクを考えたらお粗末な選択。さらに後半、カンニングを行うことに対して、彼女が放つ「過ちを犯す権利がある」というセリフは理解ができずお手上げ。
金持ちはカンニングをしてでも優秀校卒業の肩書があれば問題ない社会制度。その社会制度の一端を担っている試験制度。それを出し抜く「貧しい私」は正義なのだ、的な思想が根底にあるのかしら。
とにかくカンニングする方も手伝う方も、価値観がずれまくっていて終始モヤモヤ。巷で賑わした極小イヤホンのカンニング事件や外免切替問題が頭を過ぎったわ。もう性悪説で制度を構築するべきなんでしょうね。
本作唯一の救いは、リンの父ちゃんが
「てめえの馬鹿さ加減にはなあ、父ちゃん情けなくて涙が出てくらあ」
といった感じだったので、そこは共感できて良かったわ。
