「後世に残すべき貴重で感動的な作品」女性の休日 prishouさんの映画レビュー(感想・評価)
後世に残すべき貴重で感動的な作品
ある国で、その国の女性の9割が参加した「女性の休日」という名のストライキ(のようなもの?)があった。
これがフィクションだったら、感動的だけど「所詮、夢物語だよね」と思われるだろう。しかし、これが50年前、アイスランドという国で現実に起こったらしい。
フィクションは、ある時代の、ひとつの重要な側面を切り取り、記録に残すことにその意義がある。「女性の休日」は、後世に語り継ぐべき歴史的な事実を、「女性の休日」に参加した人の証言と、発掘した当時の写真や映像と共に、記録に残すという偉業を成し遂げている。
当時のニュース映像などはほとんどが消去されていたものの、民間人が撮影し保存していたものを見つけ出したとか。
また、その映像や写真から、インタビューした方を見つけ出し、当時の画像と合わせてインタビュー映像を映しだすことで、格段にリアル感が増している。
完成までに7年の歳月を費やしたからこその成果だろう。
さらに、インタビューで語られた当時のエピソードがアニメーションで表現されることで、今の私たちにも想像しやすくなっている。そのアニメーションも、歴史家たちに丹念に確認してもらい、正確さを重視したとのことである。
監督のパメラはアメリカ人であるが、現地アイスランドの監督フラッパがプロデューサーとしてとして加わり、内側からも外側からも、それぞれ納得がいくものができあがったらしい。
この作品は、物語として感動的なものであるのはもちろん、歴史的資料としても後世に残すべき貴重なものとなるだろう。
ところで、
今やアイスランドは、世界経済フォーラムから16年連続で「男女平等第1位」と評されている(いわゆる「ジェンダーギャップ指数」。ちなみに日本は2025年、148か国中118位!)のは、50年前のこの「女性の休日」が大きな転機になっていることは間違いないが、その日を境に急激に男女平等社会が実現したわけではなく、その後も様々な活動家や政治家の地道な働きにより、少しずつ男女平等社会に近づけていったとのこと。
今の日本で仮に「女性の休日」が実現できたとしても(まったく想像できないけれど)、今のアイスランドと肩を並べるためには50年の歳月が必要となるのかと思うと、気が遠くなるなぁ。
