「映画音楽とサウンドデザインの楽しみ方が広がった」ハンス・ジマー&フレンズ ダイアモンド・イン・ザ・デザート 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 映画音楽とサウンドデザインの楽しみ方が広がった

2025年7月31日
PCから投稿

ハンス・ジマーの映画音楽に関しては、初期から近年になるに従って「いくらなんでもちょっと大仰すぎだろう」と思うようになり、苦手意識が芽生えてはいた。とはいえハンス・ジマーの映画音楽を避けて映画を観ることなどほとんど不可能なわけで、よくも悪くもハンス・ジマー・サウンドを浴びながら暮らしているわけだが、このコンサートドキュメンタリーでハンス・ジマー・サウンドに対する向き合い方がガラッと変わった。映画音楽は映像と一緒に聴くことが大前提のはずが、ライブ演奏で盛り上がるためのものに完全に再構築されていて、とにかくずっと楽しい。そして演奏もパフォーマンスもみごとなバンドメンバーたちの凄腕っぷりと、ハンス・ジマー親分が飛び抜けて楽しそうなことよ! 大仰に思えた部分も、アリーナの会場に合わせるとプラスでしかなく、逆算的に映画の中のハンス・ジマーの音楽についても解像度が上がってとにもかくにもありがたい。やはり音楽は構造がわかると楽しみ方が増すし、今後は映画を観ていてもハンス・ジマーの満面の笑みが浮かびそうで怖いのだが、それはそれで映画の楽しみ方が広がったと思うので、本当に観て良かったです!

村山章