スプリングスティーン 孤独のハイウェイのレビュー・感想・評価
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ロック伝説にリアルな手触りを与えてくれる
スコット・クーパー監督ということで極めてオーソドックスな見せ方の人間ドラマになっていて、決してエッジな映画ではない。地味渋アルバム『ネブラスカ』制作の裏話ということでロックスターの伝記映画という雰囲気も薄いのだが、映画を観るまでぜんぜん似てないじゃないかと思っていたジェレミー・アレン・ホワイトが、冒頭で「明日なき暴走」を歌うライブシーンでスプリングスティーン独特のエネルギー過多なパフォーマンスをみごとに表現していて、このライドに安心して乗っていいという保証を得た気がした。
束の間の恋人になる相手は、スプリングスティーンが関わった複数の女性を参考にして生み出されたオリジナルキャラだというが、当時のスプリングスティーンの未熟さを際立たせるいい存在になっていて、とても映画的というか物語的というか、よくある都合のいいマジカルワーキングクラスガールになりそうなところを、便利な救済を与えてくれるわけでもないし、なんならひどい捨てられ方をしていて、その辺の容赦なさもいい。
あと自分も信じていたし、この映画についても未だに書かれがちな「ベッドルームで一人で宅録したアルバム」という伝説が、ちゃんとレコーディング係としてギターテックを呼んでいたり、ティアックの4トラックカセットテープレコーダーがまだ発売されたばかりでバカでかかったり、あのディープなエコーはトラックダウンのときに強引にエコープレックスを噛ましていたことがわかったり、積み重ねたディテールのおかげで伝説にリアルな手触りが宿ったことも薄めのファンとしてありがたかったです。
”マッチョなアメリカの象徴ボス”はここに居ない、ここにいるのは人間ブルース・フレデリック・ジョセフ・スプリングスティーン
まずはじめに
フレディ・マーキュリーを描いた「ボヘミアンラプソディ」や
ボブ・ディランを描いた「名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN」
の様な作品を期待して観に行かれる方には絶対!勧めない。
何故ならここには、スタジアムで拳を突き上げるラミ マレック演じる”フレディ・マーキュリー”や、ティモシー・シャラメ演じる生きる伝説”ボブ・ディラン”の様な”華”は無いからである。
まるでドキュメンタリー作品を観ているかの様な淡々とした画づくりには、1985年「BORN IN THE U.S.A. TOUR」日本公演で”ボス”が見せたエネルギッシュな姿は無い。ついついボスの“陽”な面に目がいってしまうが、その実”陰”からの”解放”があの名曲「BORN IN THE U.S.A.」に繋がったかと思うとあまりにも胸が”キュッ”となる作品だ。
この作品が単館上映でなく、何故全国ロードショーで公開されたのか、鑑賞された方には是非考えて欲しい作品であると共に、よくぞこの作品をロードショー公開したと20世紀スタジオには拍手を送りたい。
5枚目のアルバム「ザ・リバー」で初のビルボードNo.1を記録した、7枚目のアルバムではかの有名な「ボーン・イン・ザ・USA」が爆発的大ヒット、そして本作はそんな歴史的アルバム誕生の前作6枚目の「ネブラスカ」製作の裏側を描いている。まさに異色の一枚、アコースティックギターとハーモニカだけで自宅で録音、それもティアックの4chマルチトラック・カセットレコーダーでデモテープ用に録音した物をアルバム化。当時はレコードからCDへの急速な移行期、デモ音源のアルバム発売も異例中の異例だが、そんなシチュエーションでしか出せない”アトモスフィア”なサウンドは類を見ない。
そんな、スプリングスティーンの音へのこだわりが、劇中で登場するスカーリー のカッティングマシーンで録音するシーンに凝縮されている気がする。
デジタル全盛の現代、サブスクで圧縮した音を聴いてる人にはピンと来ないかもしれないアナログな“世界”だが、デジタルの音と音の間には信号には変換されていない”音”が存在している。この作品にはそんな、聴こえている様で聴いていない隠された“音”を映像で見ている様な一作だ。
大衆人気と孤高の幸運な両立
スプリングスティーンは、ビートルズやディランのような生まれながらの天才というより、「希望のない工場街からバイクに乗って抜け出す」という大衆向けロックの物語を紡いできた人。
無数のフォロワーを生み出したように圧倒的に感染力が高く、それが少し野暮ったいイメージにもつながっている。
この映画はヒットメーカーとして大成功したスプリングスティーンが、人生の曲がり角に立った時期を描く。原点に戻るように故郷の街で家を借り、ギターとハーモニカ、テープレコーダーだけで曲作りを開始。
ネタ探しのようにTVをザッピングするうち、少年による殺人事件の再現ドラマに目を止める。幼い頃の父の暴力、その父を殺したいという衝動などの記憶が蘇り、自分の暗部に向き合う曲を生み出すのだ。
実在する殺人事件と、スプリングスティーンと父の間に起きたわだかまりが結びつき、ちょっとした心理サスペンスのような緊張感がある。
同時にこれは、「宅録」のようなテープをそのまま発表したいという音楽家とレコード会社のビジネスをめぐる対立のドラマでもある。
この時期に偶然生まれた「ボーン・イン・ザ・USA」が超キャッチーな傑作になってしまい、「なぜこれを出さないのか」と迫られるのだから、ぜいたくな悩みだ。
故郷の小さいライブハウスに出演し、バーで働くシングルマザーと恋に落ち、庶民的な姿も描かれるのだが、結局は創作に没頭して彼女を幸せにできない。その奥には、父親と同じく人を愛せず、精神を病む自分への恐怖がある。
ごく個人的な悩みであっても、スプリングスティーンが歌えば国民的ヒットになってしまう。その裏側には罪悪感、恐怖といった奥深い物語がある。これらが同居した稀有なスターなのだ。
この映画自体、人間臭い苦悩、精神の闇、そして才能が爆発する瞬間をテンポよく見せてくれ、スプリングスティーンの映画として理想的なバランスだったのではないか。
ボーン・トゥー・ラン
私のブルース・スプリングスティーンのイメージはチェックのシャツとニュージャージーだ。
クラレンス・クラモンズと一緒に写った「明日なき暴走」と言う疾走感溢れるアルバムを買って、その後「アズベリーパークからの挨拶」を聴いた。順番が逆だったけど「アズベリー〜」はニュージャージーでの生活を現した様な曲が多かった様に記憶しているけど…確か「アダム・レイズド・ケイン」とかを聴いた時、少しスプリングスティーンの闇の様なものを感じたけど、この映画を観て何と無く理解出来た様に思えた。
子供の頃、父親に抱いていた感情も自分も大人になり父親と同じ苦しみを味わって、初めて父親の事も理解出来たのでは無いか…
初めてのお父さんの膝の上はどんなに温かったか。
そんな苦しみの中で次々と曲を作っていたのかと思うと、胸が痛むのと同じ位感謝と労いの気持ちで一杯になった。
と言っても、もう半世紀近く遠ざかってた人。
そんな人が今でも活躍してるのを見るのは、何て勇気を貰えるのだろうと懐かしさと嬉しさで胸が熱くなった。
長年の疑問が解消しました
中学生の頃、The riverを聞いて一発でファンになりました。Born to runは最高傑作です。
Born in the USAの歌詞にある、kill the yellow men の歌詞が中学生には抵抗感があったこと、併せてNebraskaの地味さが理解できず、その後はフェードアウトしましたが、10年ほど前に行ったドイツでの雨の中でのライブは、やはりBossの凄さを実感させられました。
今回の映画は賛否両論あるようですが、自分としては、彼が鬱だったとの事実含め、当時は全く理解できなかったNebraska発表の背景が理解でき、非常にすっきりした次第です。2回見ましたが、何度でも見たいと思ってます。
ただ、フェイとの結末は残念でした。
ガラガラだったけどいい映画でした
てっきりロックスターの成功物語かと思いきや…
1982年アルバム「ネブラスカ」の時期にシングルマザーの女性から「逃げるんじゃなくて、自分の弱さと向き合う」大切さを教わる場面が1番印象的でした🥰
社会の底辺の人々に対するブルースの温かい視線の理由が分かる映画🎬
そして作家の山川健一さんが「アコースティックギターとハーモニカだけだなんて、まるでディランの真似」と思い後になって絶賛した「ネブラスカ」アルバム誕生秘話…みたいなお話💿
デモテープがアルバムになったのは、当時渋谷陽一さん山川健一さんなどの文庫本で仕入れた知識でしたが、今の時代はそんな影響力がある洋楽情報が果たしてあるのかな?ネット情報は浅いから…などとも思いました❣️
あとブルースって洋楽ファンには有名なエピソードですが、1980年代「弱者切り捨て」のレーガン大統領に反抗、そして今はトランプ大統領に…
テイラー・スウィフトもですが、「人間としての良心や優しさ」がどうしても権力者に立ち向かわざるをえないのかな…特にアメリカ人は🇺🇸など色々思わされました😌
ホットに決めるぞ
こないだ鑑賞してきました🎬
スプリングスティーンにはジェレミー・アレン・ホワイト🙂
歌唱トレーニングを積んで撮影に臨んだらしく、歌のシーンは本物感があります。
そのうえで、彼が抱えた苦悩や現状への複雑な思いもわりと表現出来ていたのではないでしょうか🤔
彼のガールフレンド、フェイにはオデッサ・ヤング🙂
またまた金髪美人さんですが、後半のとあるシーンの演技は感情がこもっています。
私は彼女を初めて知りましたが美しいだけではない、等身大の女性っぽさがありますね😀
ジェレミー・ストロングも、マネージャーのジョン役でスプリングスティーンを支え続ける男を演じ、助演にふさわしい存在感でした🙂
スプリングスティーンのことは特に詳しくないのですが、成功するとそれ以前にはなかった悩みを持ってしまうのが人間なのかもしれません。
彼が抱えているものをリアルに表現していたのは見事ですが、エンタメとしてはちと暗いかな😔
予告編だと微妙にサクセスストーリーっぽかったので、そっち方面かと思いきや、現実寄りな作りでした。
音楽ドラマ映画としては、なかなかの完成度ですね👍
スプリングスティーンが好きな方は、深く理解できるでしょう🖐️
肝心な所が描かれていない、だから深く伝わらない!
ブルース・スプリングスティーンの半生を綴った映画
今日は「スプリングスティーン 孤独のハイウェイ」を観ましたよ。
幼少の頃の彼の生立ちが
今の彼を作ったのは分かったけど、
気が付けばバンドやってて きっかけとか描かれて無かったですね。
所々 展開でココって所の話が飛んでて
気が付けば 次に進んでるように思います。
そこが残念な所。
彼は凄く繊細なお方なんですね。父は酒乱で家庭内暴力的。
母はじっと耐えてる感じで 彼を育てた。そんな家庭が嫌で家を飛び出して
音楽にハマったんだと思うけど。
気が付けば 注目浴びるプロで。ギタ-の音色が良くって。
発掘した人と二人で出世街道って感じかな。
でも 心は凄くナイ-ブ。
うつ病発症したりで。
救いなのは家族を捨ててなくて、最後は家族と共に支え合って成功の道を歩んでる所が良かったかな。父と心が通い合えた場面が良かった所でしょうか。
歌は凄く良いのだけど、歌質にギャップがメチャあると思う。
ボ-ンUSAの曲と、他曲とは大分メロディに差があるねと感じた。
主役のジェレミー・アレン・ホワイトさんが中々イイ感じでした。
そして、父役のスティーブン・グレアムさんも味が在っていいね。
彼に興味ある方は、
劇場へどうぞ!
この時期のファンなもので
率直に言ってこの映画は、彼の音楽が好きで、多少なりとも生い立ちに陰のある人間や、鬱気質の人間こそ観るべき映画だと思います。それこそがブルースの望みで、エンタメ性を犠牲にしたのであれば、ネブラスカの精神を見事に映像化していると言えるかも知れません。
ブルースの自伝に書かれていた父親は、仕事から帰ると、床につくまで真っ暗な部屋の中で何もせずに座っている人、母親は社交的で人脈も生活力もある人、と描かれていたので、「あれっ?」と思いましたが、家族にまとわりつく沈鬱なイメージという点では、まあ似たようなものかと。
しかしブルースがスーサイドを聴いていたとは意外でした。あれを聴き続ける精神状態は、なかなか危険な感じがします。ライブでの躁状態と生来の鬱気質とのギャップから生じる自殺願望、それを緩和するには、パブリックイメージにも鬱気質を反映させるしかなかった、ということかなと解釈しました。
良かった点としては、やはり歌唱。マジで似てました。演技も素晴らしかったです。
あとヒロインが無駄に美人過ぎない点。音楽の趣味も良い。
父親役が醸し出す見事な不穏さ。
エンジニア用語満載のシーンもあるので、マニア向け感は拭えません。エコープレックスとかTEACとか、知らない人にとっては何のこっちゃ確実。やっぱり観る人を選びますね。
憧れるけど、なりたくない、いや、なれない
やはり、「生みの苦しみ」だよね。アメリカのミュージックシーンは、数々の才能を生み出したのと同時にアーティストを苦しめてきた。過去のヒット作ほど煩わしいものはないよね。自分にとっては既に過ぎ去ったものなのに、世間はいつまでもしがみついてくるんだよね。クリエーターは常に「最新作が最高作」な訳だから。
自分自身を曝け出すっていうのは、怖いことなんだよね。しかも自分自身を切り売りしてる感じは純粋な音楽とは違うんじゃないかという不安と焦り。わかるなあ。一応自分も「モノ作り」だから
だから、ああいう世界というか生き方は憧れる一方でなりたくない、いや、なれない、が正解か。だってあれができるなら、一流になっているわけだしね。古今東西、音楽に限らず、文芸芸術で成功する人は多かれ少なかれ心をやられ、家庭を壊してしまうんだよね。つまり、「フツーじゃない」ってこと。
正直、スプリングスティーンと言えば、「ウィーアーザワールド」の独特なシャウトで存在感を示したことくらいしかしらないけどね。あの歌と声は、素晴らしいよ。
★5のつもりだったけど、ラストの畳み掛けが駆け足すぎたかな?って気がして。結構そこ、大事よ。今年1番色々と考えさせてくれた作品でした、個人的には。
2025年度劇場鑑賞49作品目(51回鑑賞)
眠い
冒頭から眠気に襲われ、最後まで続きました。
元々、それほどブルース・スプリングスティーンに思い入れは無く、ウィ・アー・ザ・ワールドをシャウトしている人という印象でした。しかし、エルトン・ジョンをモチーフにした「ロケット・マン」という別の映画は好きでしたので、今回もひょっとしたら?という思いで観たのでした。
物語は、成功を収めた後からのお話しでした。なので、カタルシスを感じる場面が無く、終始、暗い表情の主人公を観続けねばならず、こちら側もどんよりとした気持ちになリました。
結局、何が言いたかった映画なのか良く分かりませんでした。マネージャーにも、ガールフレンドにも、それほど魅力を感じませんでした。
最後、鬱病患者に向けて励ます意味も込めたかったならば、もっとハッキリと、主人公は鬱病に苦しんだと表現した方が良かったのでは?その辺、曖昧に描かれていましたよね?
おそらく、あのアルバムの真意に近づけるのは父親だけなんだと思った
2025.11.19 字幕 イオンシネマ久御山
2025年のアメリカ映画(120分、G)
原作はウォーレン・ゼインズの著書『Deliver Me from Nowhere』
若きロックスター・ブルース・スプリングスティーンの「ネブラスカ」制作にまつわる物語を紡いだ伝記映画
監督&脚本はスコット・クーパー
原題の『Deliver Me from Nowhere』は、「居場所のない俺を救い出してくれ」という感じの意味
物語は、1957年のある日、酒場に入り浸っている父・ダグラス(スティーヴン・グレアム)を迎えにいく少年ブルース(マシュー・ペリカーノ、成人期:ジェレミー・アレン・ホワイト)が描かれて始まる
ブルースの母アデル(ギャビー・ホフマン)は、暴力的な夫に嫌気を差し、その都度夫婦喧嘩に発展していた
ブルースは怯えるように暮らしながらも、父のことを見捨てることはできなかった
それから24年後の1981年、ブルースはリバープントコロシアムにてコンサートを行い、ロックスターとしての知名度は日に日に増していた
マネージャーのジョン・ランダウ(ジェレミー・ストロング)は彼に休暇を与えたいと思っていたが、レコード会社の重役アル・テラー(デビッド・クロムホルツ)は「勢いは大事だ」と譲らなかった
その後、ブルースは地元の郊外に家を借りて、そこで新作の準備に取り掛かることになった
彼は友人でレコーディングエンジニアのマイク(ポール・ウォーター・ハウザー)の手を借りて機材を持ち込み、寝室をスタジオへと変えていく
そして、楽曲制作に取り組むことになったのだが、なかなか前には進めなかった
彼は愛読書のフラナリー・オコナーの作品集に目を通しながら、感性を磨き上げていく
そんな折、地元のライブハウスにて「Cats on a Smooth Surface」のライブにゲスト出演したブルースは、ライブ後にかつてのクラスメイトのジョーイ(ジェフ・アドラー)と再会を果たす
そして彼は、妹のフェイ(オデッサ・ヤング)を紹介し、彼女はダメ元でブルースに連絡先を渡すことになったのである
映画は、新作制作の過程を描き、特に「ネルラスカ」がどのように製作されたかを描いていく
そんな中で、ブルースは自分の過去にふれ、自身と父親との関係に心を蝕まれてしまう
「ネブラスカ」はチャールズ・スタークウェザーという男が起こした殺人事件を題材にした映画「Badlands(地獄の逃避行)」から着想を得た作品で、主に犯罪者目線の苦悩を歌ったものだった
古い音響機材を使用して録音された「ネブラスカ」は特別な楽曲として製作されることになり、一切の妥協を許さないものだった
ミキシングエンジニアのマット(ハリソン・スローン・ギルバートソン)たちが苦戦する中、映画のタイトルに着想を得た「U.S.A.に生まれて」はバンド演奏によって化けていく
だが、「ネブラスカ」だけは思うように行かず、最終的には「カセットをレコードにそのまま移し替える」という作業へと行き着いてしまうのである
ブルースのことをかなり知っている人向けの内容で、音楽の製作現場などに精通しているとアガると思う
だが、知らなくても「両親が与えた影響に悩む子どもの話」と見ることができるし、その印象の方が強い作品でもあるだろう
なので、音楽映画と言うよりはドラマ映画の要素の方が多いように思えた
個人的には世代がズレるのであまり知らなかったものの、映画の内容に置いていかれると言うことはなかった
劇中ではテレンス・マリックの「Badlands」がかなり強烈な引用をされていて、「The Night of the Hunter」と併せて、楽曲制作に多大な影響を与えていた
罪悪感を抱えた人々の心情を歌ったものであり、それはシングル化してラジオで流すと言うタイプの作品でもなかった
楽曲のタイトルは、当初は「スタークウェザー」としたものを「ネブラスカ」に変えている
これは事件が起きた場所(州)を意味する言葉だが、ブルースはスタークウェザー目線の楽曲を「He」から「I」に変えている
これは、この歌に登場するのが「自分である」と言う意思表示となっていて、さらに多くの人に同質のものがあると感じていたからだろう
あえて一人称にすることで自身の内面が掘り起こされることになり、それが彼自身を苦しめることになっていく
だが、周囲のサポートの末にアルバムは完成し、ブルースの意図を汲んだリリースが行われる
そして、そのアルバムは全米で3位と言う記録を叩き出し、ブルースの人気を不動のものに変えていったのである
いずれにせよ、ある程度知っていないとダメだと思うものの、そこまで専門的な知識は要らないように感じた
それ以前に映画がかなり鬱屈として暗い話になっていて、映画的な面白さを感じられるかどうかの方が気になってしまう
ストーリーは地味だし、何かしらが起こると言うこともないので、物語に興味を持つと言うのは難しく思える
それでも、創作者が創作物にどのような想いを思って、何を削っていくのかがわかると思うので、その点は重厚なドラマとして仕上がっている
ブルースがなぜスタークウェザーの事件に興味を持ち、それを楽曲に落とし込んで自分を重ねて疲弊していったのか、と言うのはよくわかると思うので、この映画を見終えた後にアルバム「ネブラスカ」を聴くと印象が変わるように思える
そう言った意味において、本作は優れた音楽映画として完成されているように思えた
素晴らしかった
『ネブラスカ』はビリージョエルの『ナイロンカーテン』と同時期に、同じく社会派の内容で比較されていて、『ネブラスカ』は会社の重役のように暗いだけでまるでいいと思えず『ナイロンカーテン』はよく聴いた。のちに『ネブラスカ』の中の『ハイウェイパトロールマン』を原作とした『インディアンランナー』を見てすごく感動して改めて『ネブラスカ』を聴いたがやはり全くピンと来なかった。それは歌詞に重点を置かれた楽曲だからで、歌詞カードをよく読みながら聴いていたら違ったかもしれない。今回は映画で、曲に合わあせて日本語訳の歌詞が流れるため、とてもよかった。
デモのカセットが音源だったとは思いもしなかった。しかも壊れたラジカセでミックスダウンの録音をしている。その味は再現不可能だ。
うつ病で苦しんでいたとは驚いた。陽気でタフなアメリカ男の代表みたいに思っていたら全く違って女遊びもしない。もしかしたら童貞なのかとすら思わせる。付き合っていたシングルマザーの扱いがひどい。両親にお金を渡して家まで買ってあげていたくらいなので、彼女にも大金を渡していたらきっといい感じでその後復縁もあり得たかもしれない。
マネージャーがすごい。全く搾取せず、ブルースの創作に寄り添っている。なんなら『ボーン・イン・ザ・USA』を『ネブラスカ』にねじ込んですべてを台無しにしてもおかしくなかった。その『ネブラスカ』が全米3位にまでなるとは、リスナーの理解度もすごい。アメリカロックカルチャーの豊かさを示している。
作品を知っていると、より胸に迫ります
10代の頃、少し背伸びして聴いていたスプリングスティーンの、世間に疑問を投げかけるような歌詞の背景に生い立ちが影響していたことがわかり、終盤は涙なしに見られませんでした…
父親では苦労したけど、マネージャーや友人の優しさや、スタッフのブルースの音楽への愛が深く、出逢いに恵まれていたのだなあとしみじみ…
ただ、なんだか、ディスコグラフィーを知ってるものとして話が進んでいる感じがあり、予備知識ないと映画の感慨が少なくなるかな?と思いました。
曲作りと半生とどっちに映画の比重を置くかは難しいと思うのですが、もう少し楽曲の世界観や魅力が伝わるストーリーにした方が良かったのでは?と思います。
本人がまだ存命である以上フィクションの部分はあまり作れないのでしょうね…
80年代
'64年生まれで80年代を高校大学新入社員として過ごしたマタゾウにとってスプリングスティーンのヒット曲やWe are the worldのシャウトは刷り込まれてはいるが、決してヘビーリスナーでもないし歌詞の意味や書かれた背景を真面目に理解することもしてこなかった。なので彼の実人生について語ることはできない。だが一本の「実録悩めるヒーロー映画」として美しい映像と主人公の力演を楽しんだ。立川シネマシティが特別上映していた「カセットテープダイアリーズ」を予習で見ておいたのも時代とブルーススプリングスティーンの関わりを理解するのにとても役に立った。
蛇足。TEAC, Pioneer, Panasonic, Maxellと、次々映る日本企業のロゴ。当時はすっかり米国の生活に溶け込んでたんだと嬉しくなった(SONYは流石に出てこなかったと思う)。バブルが弾ける前の、日本が強い時代でもあったなあという感慨も。
イマイチ
ブルーススプリングスティーンについて知らなかったことを知ることができましたが、そのことについて知ったからといって何もありません。
ライブの映像を期待していただけに、本人の映像はまったく無くて残念でした。
1週間前(2025年11月8日)東京ドームで盛り上がり、その流れで今日も盛り上がりたかった。
栄光の裏側
大御所ミュージシャンの半生記が多く製作されるようになったなあと思う。
今度はブルース・スプリングスティーン。
「Born in the U.S.A」がヒットした時は、意味もわからずただただカッコいいと思ってた。ジーンズの後ろ姿のアルバムジャケット、顔は載せないって事だったんだ。
映画「バッドランズ」(テレンス・マリック監督)から「ネブラスカ」ができたというのもこの映画を今年見たばかりなので興味深かった。
映画「フィラデルフィア」(トム・ハンクス)のサントラである「Streets of Philadelphia」といい、個人的にはアメリカを歌う人、というイメージもあった。
武骨なロッカーなのかと思ってたが、暗い歌詞の作品や、フォークよりな点もあり、音源のこだわりなど製作はそう簡単ではないこと、加えて、彼が長年鬱で苦しんでいたとは。
…という知らなかったエピソードを知る事ができたのだが。
幼少期の記憶、家族、特に父に対する葛藤などがあったのはわかるが、波乱万丈という程でもないので、すごく面白いとは思わなかったのが正直なところ。
※パンフ販売なし(製作してない)でした。
退屈な展開
当方は55才男性、学生時代にMTVなどで、スプリングスティーンは新譜のチェックしていた程度。元々、好きなアーティストはポリスやアイアンメイデンです。
で、今回の映画を地方シネコンの土曜日朝10時からの回で観てきました。
150席にお客さんは10人くらい。見た目年齢は全員50才代以上。
スタートから40分位で、2人が退場。そのまま帰ってこられませんでした。
予告編詐欺とか言われているようですが、まさに熱いライブシーンはそれくらいで、ほとんどは内省的なストーリーが続きます。
あの時代にタイアップなし、アルバムタイトルツアーなし、シングルカットなしで、全米3位まで売り上げる実力は凄いと思いつつ、天才アーティストを献身的に支えるマネージャーや
ワガママに付き合うスタジオスタッフの力あってのことなんだなぁと思いました。
あと、一番嫌悪感が残ったのはシングルマザーへの対応です。
そもそもバンドマン✖️シングルマザーはほとんどの場合に悲劇しか残らない組み合わせなんですが、美味しいところだけ吸ったらポイって棄てる。彼女達になんのフォローも無し。
あれは実話がそうなっていたとしても、映画の脚本家が改変するところでしょ。
1️⃣ロスの新居に彼女たちを一緒に連れて行き、何年かは暮らすが自然消滅してしまう。
2️⃣ロス行きのチケットをマネージャーが彼女たちに渡して『彼を支えてあげてください』ってお願いするも、彼女が『世界一のアーティストのパートナーには私はふさわしくないわ』と断り泣きながら別れる。
この1️⃣か2️⃣のフォローがないと、スプリングスティーンが鬱病だから仕方ないエンドに、少しでも救いが、映画を鑑賞した人に与えられたのではないかと感じました。
総じて、ハッキリ言って面白い映画ではなかったという感想でした。
リピートは無いし、同じセンスの友人には全くオススメできない作品だと感じました。
カセットテープ
イオンシネマで公開初日に鑑賞
時間が仕事終わりにちょうどよかった
何年か前にカセットテープダイアリーだかという映画で
主人公がブルーススプリングスティーンに心酔する設定だった
アメリカ万歳のミュージャンと勘違いしていたのだが
そうではないと知り 少し興味があった
そういえばこの作品でもカセットテープが重要なアイテム
以前そっちの業界に携わっていたので懐かしかった
マクセルではないけど
あとTEACだのpanasonicのラジカセだのが出てきたのも
オラの年代としては嬉しい
当時はnationalでは なんて思ったが
panasonicは逆輸入ブランドだっけか yarisみたいなもんか
彼は年代的には矢沢永ちゃんと同じくらいか BOSSだし
作風は浜田省吾とかちょっと佐野元春のような感じも
あとエコーズかな 聴いたことはないが
ボーンインザUSAは共和党民主党両候補に使われていたという
どちらかといえば左派の人なんだろうか
この作品でも扱われていて
歌詞を改めて知ると全然アメリカ賛歌ではない
問題を起こしたら兵隊にさせられて
黄色人種を殺すことになったみたいな
デニーロと共演の話があったとか
ポールシユレイダー脚本で
実現していたら 彼の人生は別のものになっていたかも
オヤジ役は誰だっけ 観たことあったような
アリとかベイブルースの人だったか
息子をボクサーにしたかったのか
オヤジとの関係性が彼の心象形成に影響があったのかも
というのがメインテーマかと
有名になってからも地元のライブハウスで演奏したり
同級生の妹のシングルマザーと交際したり
今のご時世に照らせば信じられないような…
彼女との破局エピソードはとても切なかった
女優も誰だか知らないけど良かったな
全体的にはトーンが暗め
ちょっと前に観たボブディランの映画にも通じるような
せっかくヒットが出たんだから同じ路線で行けと周りは求める
ファンもしかり でも同じところにいたくない
一方同じラインに乗っかるとひどい目に遭う 飽きられる
それを動物的に感じ取ったのが永ちゃん
あ 前も同じようなことを書いていたかも
歳をとると同じ話ばかりしてしまう…
プロデューサーのジョンが彼のことを
妻にいろいろ相談しているのが興味深かった
オヤジとの関係も含めて一応はハッピーエンドで収めていたが
その後も鬱病と闘っているみたいなクレジット ああそうなのかと
終了したら21時半
大好きなファミレス ジョイフルで金麦2本とポテトフライ
サラダと豚汁定食で〆
いい夜だったが 予想以上に家路は寒かった
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