「有名曲のバンド演奏シーンが少ないのはやはりさびしい」スプリングスティーン 孤独のハイウェイ 高森郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)
有名曲のバンド演奏シーンが少ないのはやはりさびしい
本作については当サイトの新作評論枠に寄稿したので、ここでは補足的な事柄をいくつか書いてみたい。
個人的にスプリングスティーンのファンではなかったが、80年代に日本のテレビやラジオで流れる洋楽をリアルタイムで聴いていた記憶をたどると、1980年の「Hungry Heart」が街中でも流れて一気に知名度があがり、以降の「The River」「Dancing in the Dark」や、何年か前の「Born to Run」もちょいちょい耳にするようになり、84年の「Born in the U.S.A.」で大爆発という流れではなかったか。
劇映画「スプリングスティーン 孤独のハイウェイ」はアルバム「ネブラスカ」を世に出すまでの“生みの苦しみ”にフォーカスしたので仕方ない部分もあるが、馴染みのある「Dancing in the Dark」や「Glory Days」「I'm Goin' Down」あたりが劇中で聴けないのは少々さびしい。
「Born to Run」のライブ演奏、「Born in the U.S.A.」のスタジオ演奏のシーンはジェレミー・アレン・ホワイトの熱唱も素晴らしく胸が熱くなった。ただ後者は、劇中でデモテープの音源を先に聴かせて、スタジオで大きくアレンジが変わったことを描いているものの、「2テイク目で奇跡が起きてあの熱演が生まれた」という各所でよく目にするエピソードまで入れ込んだら、あのシークエンスがさらに良くなったのではと物足りなさも感じた。
ブルースを支えたマネージャー兼プロデューサーのジョン・ランダウ役、ジェレミー・ストロングのなりきり演技には改めて驚かされた。「アプレンティス ドナルド・トランプの創り方」と本作を両方観て、あちらの冷酷で凄味のあるロイ・コーンを演じたのと同じ役者だと気づかない観客もいるのでなかろうか。
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