「成長するってこと - Growin' Up」スプリングスティーン 孤独のハイウェイ Toninuさんの映画レビュー(感想・評価)
成長するってこと - Growin' Up
高校生のころ、この映画で製作場面が描かれるアルバム『ネブラスカ』を買った。初めて聴いた時には、好きだった『ハングリー・ハート』や『ボーン・トゥ・ラン』のような曲からは、あまりに遠いこのアルバムの曲に頭を抱えた。
だけどアルバムは高校生には高い買い物なので、ちょっと無理しながら繰り返し聴いた。そうすると、だんだんとこのアルバムの持つ謎の魅力に引き込まれてしまって、愛聴盤とは言えないが、かなり好きなアルバムになった。
あれから43年。この映画を観て、なぜ高校生の心にも響くアルバムだったのか、その理由がわかったような気がする。
このアルバムの曲たちは、ブルース・スプリングスティーンの内面から自然にあふれ出た作品だ。それはまだまだ成熟しきれない幼いブルースの魂が、大人になるために産み出したなにかだったのだ。
当時彼は32歳で、高校生の僕からしたら大人の男で、成熟した大人の歌だと思い込んでいたのだ。それは僕の勘違いで、この歌は幼少期のトラウマに囚われている少年の魂の叫びだったのだ。だからこのアルバムが高校生の心にも、まっすぐに届いたのだろう。
ふと尾崎豊のことを思い出した。ブルース・スプリングスティーンのことが大好きだったはずの彼は、26歳で逝ってしまった。彼は大人になることは出来なかった。
ブルース・スプリングスティーンのファンではないと、少し退屈かもしれなけれど、誠実な青春映画の佳作だと思う。
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