「人生はいつも非常事態だ」スプリングスティーン 孤独のハイウェイ hideaquiさんの映画レビュー(感想・評価)
人生はいつも非常事態だ
ブルース・スプリングスティーンの「For You」の一節。
「your life was one long emergency」
(君の人生はずっと非常事態だった)
もっと書くと、
「I came for you, for you, I came for you, but your life was one long emergency」
「君のために来たけれど、君の人生はずっと非常事態だった」
サム・クックの「A Change gonna come 」が流れたのが、個人的に意外だったあまり、泣きそうになった。
語りすぎない、抑制された演出と演技で、父子の確執、恋人とのすれ違い、それらがブルース・スプリングスティーンに及ぼした影響。彼を知らない人にとっても、ヒューマンなドラマとして成立している。
アメリカのスモールタウンとビッグシティを、アメリカのストリートの夜を切り取る高柳雅暢さんのカメラがすばらしい。
非常事態にあるアメリカの、スーパードメスティックな映画だ。大統領候補が選挙戦で「Born in the USA」を使う滑稽さへの正当なカウンター。
何と闘ってるんだ?
ブルース・スプリングスティーンを聴かない多くの人には、アルバム「ネブラスカ」の特殊さを知らない多くの人には、ヒューマンなドラマにとどまる、それ以上には深まらないストーリーだとは思う。
思えば、ボブ・ディランの「名もなき者」も、同じ課題を消化しようとしていたんだと思う。
日本に置き換えたら、たとえば矢沢永吉の20〜30代を映画化したら、大多数の日本人が深く理解できる…だろうか、それはないな。
でも、だ。この映画を撮ってくれたアメリカ映画界に心の底から感謝したい。
いつかブルース・スプリングスティーンのライブに行くことが、夢のひとつなのだけれど、もう来日することはないだろうから。
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