劇場公開日 2025年11月14日

「期待度◎鑑賞後の満足度◎ スーバースターではなく、人間ブルース・スプリングスティーンを描いた驚く程誠実な伝記映画。但、個人的に最も響いたのは父と息子の物語であること。」スプリングスティーン 孤独のハイウェイ モーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 期待度◎鑑賞後の満足度◎ スーバースターではなく、人間ブルース・スプリングスティーンを描いた驚く程誠実な伝記映画。但、個人的に最も響いたのは父と息子の物語であること。

2025年11月16日
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鑑賞方法:映画館

①ブルース・スプリングスティーンを今風の言い方ですると“ロックのレジェンド“なんだろうけど、どうも“レジェンド“という呼び方は好かない。何か崇め奉っているようで実は暗に「過去の遺物」「終わった人」みたいに言っているようなニュアンスを感じる。
70年代半ばから90年代の洋楽を聴いていた身としてはブルース・スプリングスティーンは同時代というかとてもリアルな存在である。
ただ、個人的には同時代のアメリカを代表するシンガーソングライターとしてはジャクソン・ブラウンの方が好きだったのと、様々な音楽は好きだけれども基本的にミーチャンハーチャンなので、『ハングリー・ハート』が好きになり(『涙のサンダーロード』や『明日無き爆走』の入った『明日な無き暴走』も良いと思ったけど)買ったレコードは『ザ・リバー』のみ。*あっ、ベスト版(1995年版)も買ってたの忘れてた*。それでも『ハングリー・ハート』と『ザ・リバー』以外はなんか暗い曲ばかりで、次の『ネブラスカ』も輪にかけて暗かったので、脱落しました。いまい聴くと良いなあ思うけど遅すぎるかな。
と言うことで私にとってのスプリングスティーンは『ハングリー・ハート』や、ポインター・シスターズに提供した『ファイアー』やパテイ・スミスに提供した『ピコーズ・ザ・ナイト』といったキャッチーな曲(パティ・スミスをキャッチーというのもなんだけど)の作者というイメージの方が強い。それだけソングライターとして幅広いというこどだけれども。
まあ、スプリングスティーンの音楽については本当のファンの方達にお任せするとして、ロックの王様の賑々しい伝記映画だと予想していたら、意外にも内省的な映画でちょっと面食らった。
アメリカ合衆国の、ニューヨークやLAといった大都市ではなく、またトウモロコシ畑が見渡す限り広がるド田舎でもない、地方の都市に住む人々の喜怒哀楽を吟う代表的なシンガーソングライターといえばジミー・ウェブとスプリングスティーンと思っているのだけれども、アメリカの労働者の思いをロックに乗せて歌っているお兄ちゃんというイメージがあったので、はじめはその繊細な内面をなかなか受け入れられなかった。
*ちょっと脱線:スプリングスティーンは“Born to Run“、ジャクソン・ブラウンは"Running on Empty "、二人の作風の違いを如実に表しているようで面白い。二人は仲は良いみたいだけども。

②期待に反してこれくらいステージシーンが少ないスターミュージシャンの映画も少ないかもしれない。ただ、レコーディングシーンは多い。今でも思い出すけれども、『ネブラスカ』はリリース当時かなり衝撃・賛否両論を持って受け止められていた記憶がある。ある意味スプリングスティーンのキャリアのターニングポイントになったアルバムだから時間を取って産みの苦しみを描く必要が有ったからだと思うけれども、その背後にスプリングスティーン自身の人生にも前に進むための苦しみが有ったことが本作を観て初めて知った。

③ヨーロッパでもなくアジアでもない紛れもない“アメリカ(USA)“の映画だなぁ、とも思った。
何せ「合衆国(正確には合州国または連邦国だけど)」ですからアメリカといっても州で違いはあるので一括りには出来ないとは思うけれども、広大な土地に横に拡がった街にへばり付く様に家を建て車を駆って生活を送っている地方都市の姿はまさに普遍的なアメリカ人の世界を思わせる。
(スーパースターになる前だからかも知れないけれども)スプリングスティーンがこういうところに住んでローカルなバーで演奏し普通の人々の中で生活していたのも驚きだったし、スプリングスティーンのバックグラウンドを映像として見せる映画的工夫。

④ある程度の男性には共通していることだと思うけれども、

モーさん
Mさんのコメント
2025年11月17日

私はアルバム「ザ・リバー」は好きでしたが、「ネブラスカ」はほとんど聞いたことがありません。
可能ならEストリートバンドと一緒に作った「ネブラスカ」の方を見たかったです。
映画は確かに「誠実な伝記映画」でしたね。ただ、3枚目「明日なき暴走」から(「ネブラスカ」を除いた)「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」までのアルバムが好きだった私としては、彼の病気のことは知りたくなかったです。

M
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