「解の存在」ファイナル・デッドブラッド なつ F列さんの映画レビュー(感想・評価)
解の存在
まず、スカイビューがとても怖い。
明らかに不安定な外見に5ヶ月も短縮して建てたと自慢げに語るエレベーターボーイ、8人積載に無理やり乗せて無理やり扉を閉めガラスごしにぐんぐん上がる光景。
いや、危ないよ…
完全に頭お花畑の方々は浮かれに浮かれている。
そんな中、アイリスの不安気な表情が良い。
落ちるシャンデリアの破片、フランベの炎、赤く染まる酒、砕けるブリュレ、熱を帯びてジャンプする人々…
その全てが見事に砕け散る。少しキツかった結婚指輪で命を繋げようとする演出はよいよい。
全てを知り、小僧からコインを取り上げて全ての人々を救うが救われた人数が多すぎて大丈夫かと少し不安。
アイリスが死を回避して助けた人々→もちろん死神の呪いから逃げきれず別の形で死亡→呪い発動前に家族ができた人々はその「家族」も存在してないはず、死を回避したんだから酷い死に方するぜ!…というなかなかに理不尽な理由で死神がやってくるぞ!
そ、そんなぁ…
アイリスがどのように理解を得たのかわからないが、とにかく自分が死ななければ後の家族達は生きることができる。要塞に篭って油断するとすぐやってくる死神と戦い続ける30年…子供、孫からはクレイジー扱い。
彼女こそ支えが必要だったのにね。孫に信じてもらう為に死神手づから酷い殺される方法を選ぶの切ないな。
彼女の事故の夢を見るステファニー。
アイリスのデスノートもどきの資料で年齢順に死がやってくる事を知るもなかなか信じてもらえない。そうね。最初はそうよ。
ファイナルデッドシリーズはピタゴラ作品だと言われるが、この中の全員は死ぬ運命で時間の問題、誰かわからない、だけど絶対死ぬ!って場面が多々あるのであれもこれもがすべて怪しく見えるしカメラアングルや音、特に壊れた、もしくは壊れそうってものがガンガン映し出され、どれ…どれ…どれ…と推理力や緊張感、期待感が半端ない。
だけど、意外とこれは!ってものでは事故らない。
な〜んだ、ふぅって思った時に意外な方法でサクッと殺すので、えぇーー!ってやられた感と謎の感動を覚える。
前半のBBQシーンでは引っ張って引っ張ってサクり。
まさか死んだと思った従兄弟のエリックは生きていて、妹が彼の死に方と同じ方法でサクり。
実は彼は血を引いてなかったとのオチあり。
中盤からの盛り上がりもとても良く、エリック兄弟が命を奪う事を思った時に新生児のカットが入ったり、自販機やピーナッツチョコで一瞬アレルギーが出ないなど内容が盛りだくさんな上、エリックのMRIに吸い込まれる際のお腹に大きく彫られた骸骨のタトゥーから血が溢れて両目から金属が飛び出る演出は死神を欺こうとした恐ろしい仕打ちとして最適だなと感心。
そこで自販機をそのように使うとはやられた!ってなった。
残るはステファニーと母と弟チャーリー。
アイリスの要塞へと車を走らせる。
カチンと閉めたシートベルト、あぁ、これはきっと外れないんだろうなぁと思ったらやっぱりでしたよ。
私がここぞと推理できたのはここだけでしたよ。
死神の手が伸びるその先には火花により爆発。
木片に挟まるチャーリーを助け、自分が生きれば大丈夫と伝える母にはあっさりと炎燃える木材が倒れ瞬殺。沈むステファニーを助け蘇生措置を行うチャーリー。
ここで救命講座のネタ回収か〜
その行為で死神から免れ残った2人。
晴れのプロムの日、実はあの日ステファニーは気を失っていただけで死んではいなかった事を知る。
あの日、病院で落としたコイン。
スカイビューの噴水でコインを生意気な小僧が拾い、その手で頂上から投げ込まれれるかで運命を超えたあのコイン。
それは病院で嬉し気に拾われた老婆の手により再び落とされる。
コインはレールの隙間に転び形を変える。
2つの運命を分けるような形をしたそのレールを横切るのは惨劇が起こる前のアイリス達の赤い車。
それを外れた列車は…
前日譚とのことだが、確かにスカイビューでたくさんの人々が死を回避したけどそれを前日譚にするのもいかがなものか。あと、死神仕事サボりすぎ。実はアイリス無双できる説も脳内構築。
しかし、シリーズのお家芸としてくるぞくるぞ〜なドキドキ感とその期待を超える100満点のグロさはさすがでした。
アイリスもJBもやつれにやつって2人とも死神みたいな外見になってて怖い。
落ちてるお金は拾わない方が良い。
