劇場公開日 2025年11月21日

「世の中をダメにする“ことなかれ主義”をイジりまくった快作」金髪 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 世の中をダメにする“ことなかれ主義”をイジりまくった快作

2025年12月31日
PCから投稿

坂下監督の選挙コメディ『決戦は日曜日』を観て、ちゃんと日本に蔓延しているイヤな感じをエンタメに落とし込もうとしている人だという印象があった。ただ、現実の諸問題をどこに落とし込むかという点ではちょっと甘いような気もしてしまっていたのだが、その精神的続編のようにも感じる『金髪』では、皮肉の矛先がさらに全方向に向いていて、それでいてこれまたエンタメの枠内にちゃんと納めつつも、誰もが耳に痛いネタを矢継ぎ早に繰り出してくるという、相当なウルトラCをやってのけている。

バカげた校則を挟んで生徒たちと教員たちが対立する、という導入はやがて日本に救う「事なかれ主義」の写し絵となり、ネット時代のヤダみもバンバン取り込みつつ、簡単な答えに飛びついたりもしない。とてもクレバーだし、同時にちゃんとくだらなくて身につまされる。岩田剛典の渾身の「しょうもない30歳男性」演技も秀逸だし、門脇麦の「しょうもないパートナーに呆れつつも衝突を避けてその場をやりすごす」だけのセリフ回しもみごと。

世の中を変えるような力はないかもしれないが、自分たちが決して住みたくはない社会にどっぷり肩まで浸かっていることを思い知らせてくれる点で、最良のブラックコメディだと思う。

村山章