「おじさんになりたくないと抗えば抗うほどに悪い意味のおじさんになるので注意しよう」金髪 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
おじさんになりたくないと抗えば抗うほどに悪い意味のおじさんになるので注意しよう
2025.11.21 イオンシネマ久御山
2025年の日本映画(103分、G)
受け持ちのクラスにて事件が起き、それに巻き込まれる担任の先生を描いたコメディ映画
監督&脚本は坂下雄一郎
物語の舞台は、埼玉県のとある中学校
そこに2年1組を受け持っている市川健太(岩田剛典)は、30歳になった今でも「おじさん」とみられたくない男だった
だが、その思考そのものが「おじさん」であると親友の駒井(田村健太郎)から指摘され、恋人の美咲(門脇麦)からも言葉を選ばれて気を遣われてしまっていた
そんなある日のこと、市村のクラスの生徒が金髪に染めて登校するという事案が勃発する
首謀者が誰かわからないまま、クラスの大半の生徒が同じように髪を染め、それは瞬く間に校内の話題となっていた
市村は校長の三上(信太昌之)、学年主任の栗原(阪田マサノブ)たちに呼び出されて、指導をするように命じられる
市村は一通り自分の言葉を述べ、説得した気になっていたが、翌日以降も金髪騒動は収まらなかった
その後、生徒の板緑(白鳥玉希)から話を聞くことになり、彼女が首謀者であることが判明する
事の発端は別のクラスの生徒が「地毛証明書」の提出を義務付けられ、強制的に髪を染められたことにあった
板緑は「理不尽な校則は変えるべき」という趣旨のもと、校則を破ることで抗議活動を行なっていく
そして、それに同調する生徒もいれば、内申に響くと辞めるものもいる
そして事態は先が見えないまま、外部へと漏れてしまい、市教委から職員が派遣される事態へと発展していくのである
映画は、中間点である事実が判明するのだが、予告編ではあっさりとバラされていた
なので、映画を楽しみたい人は予告編(ロングバージョン)を見ない方が良いと思う
ここはネタバレ感想なので書いてしまうが、要はある時点を機にして、市川と板緑が共闘関係になっていく、というものだった
当初は、どの時点で結託していたのかはよくわからなかったが、テイストとしては、市川が処分保留になった段階で持ちかけた対応策のように描かれている
だが、板緑の主張を否定し続けて突き放した市川が彼女を頼るというのは理解し難く、おそらくは最初から裏で糸を引いていたのだろう
そして、それが若者に気に入られたいからという一心であるように感じられ、板緑は市川の思い通りには動いてくれなかったという感じに思えた
そこからの脱出作戦というものがメインとなっているが、板緑側はすでに飽きている状態になっていて、大人に従っているふりをすることの方が意味があると思っていたりする
その労力が市川のプランでは割りに合わず、結局は髪型などはどうだって良いものだったのだろう
動機は前述のとおりで、当初は担任の市川に相談したものの、彼はその訴えを自分の立場向上に使えると思って利用した
だが、思わぬ方向に向かったことで修正をしていくことになるのだが、結局のところ、落とし所にはそこまで興味がなかったのかもしれない
おじさんになりたくない市川は「誰でも年を重ねる」と言われ、抗うことのできないものだと悟っていく
ある意味、そこに考えが至らないところが内面は子どものままという感じで、滑稽で不憫にすら思えてしまう
いずれにせよ、本作は社会風刺を交えたコメディであり、ネットで誰もが呟いているようなぼやきが主体となっている
その面白さを堪能できるかはわからないが、個人的には愚かすぎて愛おしいという感想を持った
自分の30歳があんな感じだったかはわからないが、大体の人は痛い時期をどこかで経ているので、それが30歳までずれ込むと悲劇につながるのだろう
年齢に相応しい大人になるというのも観念的な言葉であると思うが、普通に生きていればそのように見えるもので、年齢とのギャップがあるというのは何かが足りないのだと思う
そう言った意味では、私は若く見られがちなので、まだまだ人生の鍛錬が足りないのかなあと思った
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