「分かり合えなくても大切な人」ミーツ・ザ・ワールド AZUさんの映画レビュー(感想・評価)
分かり合えなくても大切な人
杉咲花ちゃんのオタク役一生見てられるな。
それぐらいオタクの解像度が高すぎた。
映画を見る前に、ちょうど推し活をしていたからか、杉咲花ちゃんのオタク役がまるで自分すぎて驚いた。興奮すると早口に捲し立ててしまうところとか、推しの概念見つけると叫ぶ感じとか、映える食べ物と推しのグッズで写真撮るところとか…。本当に杉咲花ちゃんってすごい女優なんだなと圧倒されてしまった。
ホストのアサヒ役板垣李光人くんも、キャバクラ嬢のライ役南琴奈ちゃんもすごく良かった!演技もだけど、それぞれのキャラクターが纏う空気感も感じられたのが良かった。
板垣くんに関しては個人的に今まで彼が演じた役の中で今回が1番良かったと思った。
ストーリーも、主人公と似たような経験をしたことがある人には、とても沁みる作品だと思う。
主人公の由嘉里が疎ましく思っていた、母親が自分に向ける一方通行の想いと、主人公がライに向ける一方通行の価値観の押し付けが似ているものだと気付いたとき、人間はどうしたって相手の全てを理解することはできないんだという現実に打ちのめされそうになった。
それでも、自分にとってはその人は大切で、好きで、そばにいたいし、分りたいと思う。
自己肯定感が低く卑屈だった由嘉里が、ありのままの自分で生きようと思えたように、分かり合えなくても少しの影響を与えることはできる。
由嘉里とライの話と比べるとスケールの小さな話かもしれないけれど、悩みを聞いて励ましていた後輩が退職してしまったときに感じた、あの時の焦燥感や無力感を思い出した。
結局人が人に与えられる影響には限度があって、それでも私は私らしく生きていくしかないんだよな。
少し寂しさも残るけど、自分らしく生きていく中で出会った人々との出会いと別れを大切に、自分も成長していきたいと思える、素敵な良い映画だった!
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