「息苦しさでもがきながらもこの先の未来への期待も抱かせる若者たちの青春群像劇」ミーツ・ザ・ワールド Tofuさんの映画レビュー(感想・評価)
息苦しさでもがきながらもこの先の未来への期待も抱かせる若者たちの青春群像劇
普段は自分自身を枠の中に閉じ込めて真面目な銀行員として働きながら推し活で発散している腐女子の由嘉里が、希死念慮を抱えるキャバ嬢のライと知り合うことで「新たな世界と出会う」物語。
舞台は新宿、歌舞伎町の雑踏。こっちの路上で人が倒れていようが、あっちで喧嘩していようが、他人が何をしているかなんて誰も気にも留めない。だからこそいろいろな背景を持った人々や異なる考え方をする人々が共存できるのかも知れない。
誰もが幸せでありたいと思っているに違いないと多くの人は当然のように考えている。しかし、幸せを祈られることを重荷に感じる人間もいる。自分の価値観で他人を変えることなどそもそも無理な話だ。
「水槽」のモチーフが作中あちこちに散りばめられる。それは水中で息ができずにもがき苦しむことの象徴であるかも知れないし、水槽の向こう側を覗いたときに見える歪んだ景色の表象であるかも知れない。
自分は自分、他人は他人と割り切れる人間は意外と少ない。だからこそ人間関係に多くの人が悩んでいるのだろう。
杉咲花、板垣李光人、蒼井優、渋川清彦といった超がつくほど達者な役者陣と伍して演じる新人の南琴奈の演技も光る、息苦しさでもがきながらもこの先の未来への期待も抱かせる若者たちの青春群像劇だ。
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