「焼肉と日常と非日常」ミーツ・ザ・ワールド ひつじさんさんの映画レビュー(感想・評価)
焼肉と日常と非日常
いい映画でしたね。
ライ役の南琴奈ちゃんは、その美貌がバッチリハマった配役で、本当に今後が楽しみな女優さん。
演出の巧みさもあると思うが、底の見えない人物を好演していて、素晴らしかった。
主人公ゆかり役の杉咲花ちゃんは、安定の超絶演技力お化け。特にご飯を食べながらの演技はピカイチ。完璧に演じ切っています。
特に今回は焼肉が大事なピースだったので、まあよく食べる。
板垣りひとくんもハマり役。美しい男子にしかできないホストNo.ワン役がよかったね。
脇で蒼井優がしぶく光っていたり、本当に配役的には素晴らしかったです。
原作は未読。金原ひとみの小説なんですね。 流石の芥川賞作家。完全に文学です。
ライが帰ってこないこと、そしてそれでも日常は進むこと、これらは完全に文学的テーマを映画として消化&昇華した作品であることを示している。
映画の特徴としては、長回しのシーンが多いこと。 俳優さんの力量あっての演出だと思うが、この長回しが効果的。 特に僕がスゴいと思ったのは、ラーメン屋での花ちゃんと蒼井優とバーのマスターのシーン。 淡々とした雰囲気から花ちゃんの号泣のシーンから、ラーメンをほうばって笑いが出るシーンまでを長回し。
これ、役者の力量がないで絶対できない。スゴい演出です。
しかもそれがハマっている。技術に溺れていない。
また、文学的には、花ちゃん演じるゆかりの「ライに生きてほしい」という願望が、ゆかりの母がゆかりに言う「あなたに幸せになってほしいだけ」という言葉と呼応して、アイロニックな対照を成しているところ。
ライは結局そこから逃れた。
それでもゆかりたちの日常は続く。
ある種暴力的に。
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