「ホラーなヒーロー映画」死霊館 最後の儀式 M.Nさんの映画レビュー(感想・評価)
ホラーなヒーロー映画
死霊館シリーズは、1と2をサブスクリプションで観て、映画館で3と今回の4を観ました。その他、スピンオフを少し摘まんだ程度の人間です。ホラーへの造形も深くありませんし、それほどのこだわりもございません。
そんなわたしでも、このシリーズは好きで、おそらく、ホラーというだけでなく、ヒーローものとしての一面もあるように考えているからだと思っています。
まず敵は、いつも必ず悪霊や悪魔という「絶対的な悪」となっています。なので、元々は人間だったものが怨念で人間を殺しに来るようなものよりも分かりやすく、かつ倒しやすいところが、勧善懲悪ものとしてヒーロー映画にできている要因かと考えます。
何より、その絶対的な悪を倒す最後の決め手は、必ず「人の愛の力」となっています。これほど見事にホラーとヒーローものを掛け合わせた作品は観たことがなく、全米で途轍もないヒットをとばしたことも頷けます。
今回は、ある種の因果によってその絶対的な悪が鏡に宿って主人公であるウォーレン夫妻の一人娘に魔の手を伸ばしますが、これも家族愛(そして恋人の愛)によってある意味物理的に退けることになります。
正直、このラストには拍子抜けしてしまったところがあるのですが(儀式的なことをしていない、聖書の言葉によってでもなさそう、2のようにその悪魔の名前を言い当てたという訳でもないし、一人娘(とある意味で母)が「見える」という真実と向かい合っただけで勝てるものなのかな、など)、後で考えてみると、1からずっと出ていた神父が呪い殺された時にも神聖であるはずの教会支部(のような場所?)にすら入っていける存在なのですから、聖書の言葉を引用しただけでは通用しないことは分かるし、同様の理由でこれまでのキリスト教的な方法で対処できないであろうことも自明の理なのかも知れません。事実、今回呪われたのは敬虔なキリスト教の家でしたし。
だからこそ、宗教を超えた純粋な人間力である「愛の力」によって悪魔を押し退ける(物理的にも)というのは納得のラストだと思いました。
徹頭徹尾、人間の愛の力によって悪に打ち勝つことを「これは本当にあったことである」と、あり得ない物語も包括して堂々と言ってきたシリーズらしい完結作だと思います。
他方で、贔屓目のようになってしまっているかもですが、やはりジェームズ・ワン作の1と2の方が個人的に素晴らしいと思うため、☆1を削りました。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
