「鏡に映った本性は、愛によって装飾された実体によって打ち消される」死霊館 最後の儀式 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
鏡に映った本性は、愛によって装飾された実体によって打ち消される
2025年のアメリカ映画(135分、PG12)
『死霊館』シリーズの最終章
悪魔祓いの実在の夫婦を描いたホラー映画
監督はマイケル・チャベス
脚本はイアン・ゴールドバーグ&リチャード・ナイン&デビッド&レスリー=ジョンソン=マクゴールドリック&ジェームズ・ワン
原題は『The Sonjuring: Last Rites』、で、「魔術師(転じて悪魔祓い):最後の儀式」という意味
物語は、1964年にヴィクトリア・グレインジャー(ポーラ・リンドブラム)からの依頼を受けたエド・ウォーレン(オリオン・スミス、老齢期:パトリック・ウィルソン)とその妻ロレイン(マディソン・ローラー、老齢期:ベラ・ファーミガ)が描かれて始まる
曰く月の姿鏡に何かがあると感じたロレインだったが、予定1ヶ月前なのに産気づいてしまい、救急病院に運ばれることになった
懸命な救命処置と出産を行うものの、生まれてきた赤ん坊は息をしておらず、医師からは死産だと告げられる
ロレインは赤ん坊を抱き抱えて神に祈ると、1分後に赤ん坊は自発呼吸を開始し、生き返ることになった
赤ん坊はジュディ(エミー・ノーラン、成人期:ミア・トムリンソン)と名付けられ、スクスクと成長していった
それから20年後の1984年、ジュディは恋人トニー(ベン・ハーディ)との関係を始め、ようやく両親に紹介するまでになっていた
ロレインはトニーを歓迎するものの、エドは複雑な心情でその時を迎えることになった
一方その頃、ペンシルヴァニア州のウエスト・ピッツトンでは、そこに住むスマール一家に奇妙なことが起こっていた
一家の祖母メアリー(Kate Fahy)が骨董品屋で購入した姿鏡は、次女ヘザー(キラ・ロード・キャシディ)の堅信式の贈り物となっていたが、その鏡はとても異様なものだった
ヘザーは喜びを見せるものの、姉のドーン(Beau Gadson)は気味悪がって揶揄していく
仕方なく内緒でそれを捨てることになったのだが、それがゴミ収集車によって持ち去られた後、ドーンは大量の吐血をして、体内からガラス片が出てきてしまう
それからというもの、一家には奇妙な出来事が起こり始め、手が作られなくなっていたのである
映画は、この騒動の相談を受けたゴードン神父(Steve Coulter)がウォーレン夫妻にそれとなく打診をするところから動き出す
健康問題があるエドは一線から身を引いていて、それをやんわりと断らざるを得なかった
だが、ゴードン神父が彼らの代わりにスマール家に行ったところから事態は急変してしまう
ゴードン神父は突然首を吊って自殺をし、その葬式の場において、ジュディは奇妙な体験をしてしまうのである
映画は、シリーズ最終章ということで、ウォーレン夫妻が取り扱った最後の事件を描いていた
かなり高齢になっていて、悪魔と戦うのは難しいという感じになっていて、物語のメインはウォーレン家族とスマール家族の危機と団結を描いていた
悪魔の正体は最後まではっきりせず、「名前を知ることで封じる」みたいなことにはなっていない
なので、悪魔祓いとしては結論したようには見えず、物理的に「家族愛」で押し倒したように思えた
鏡に宿った悪魔が何故かジュディを標的にしているのだが、一応はエドの娘を失う恐怖というものが増幅していることになる
トニーの出現によって、違う形で娘を失いそうになるのだが、それを受け入れることによって、新しい家族というものが生まれている
その受容の物語となっているのだが、ダラダラとヒューマンドラマが続く割には、そのあたりの決定的な部分がきちんと描かれていないように感じた
ホラー要素もそこまでではなく、ジャンプスケアが少々ある程度で、じっとしているアナベル人形の方が怖かったりする
これまでのシリーズに登場したキャラがたくさん登場するのだが、観ていなくても「物語上は問題ない」と言える
だが、意味深なセリフを残したり、きちんと「ここにも出てますよ〜」という感じに登場するので、そのあたりはシリーズのファン向けのサービスであると思う
ロードアイランドで絡んだ刑事・ブラッド(ジョン・ブラザートン)と元技術助手のドルー(シャノン・クック)はエドの誕生日に登場していて、肉を焼いたり、卓球をしたりしていた
その他はラストの結婚式の参加者として登場し、これまでにウォーレン夫妻が助けた人たちが参列していた
個人的にはほぼ覚えていなかったので感慨もなかったが、熱烈な人、復讐をした人なら懐かしいと思えるのかもしれません
いずれにせよ、シリーズ的には最後だが、実話を無視した状態でならジュディ&トニーが後を引き継げそうにも思えてしまう
あるいは、回想録的に若年期を演じた2人が若かりし頃の事件に挑むというのもありだろう
また、たくさん作られているスピンオフというのも続編は可能なので、全てがエンドという感じもしない
このあたりは需要と供給の問題になると思うが、本シリーズの夫妻の登場がラストだとすると、ちょっぴり寂しいなあと思ってしまった
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