劇場公開日 2025年10月17日

「別れの儀式」死霊館 最後の儀式 neonrgさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 別れの儀式

2025年10月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

『死霊館』シリーズの最終章として、ついに物語が完結しました。これまで長く続いてきたシリーズを締めくくるにふさわしい内容であり、ラストの結婚式の場面で制作陣が登場するなど、作品全体が「別れの儀式」として構成されていました。ジェームズ・ワン監督らしい、恐怖の裏にある“人間の心理”を丁寧に描いた一作だと思います。

物語は、ウォーレン夫妻の娘が恋人を家に連れてくるところから始まります。結婚の挨拶に来た彼を母親は好意的に受け入れる一方、父親はどこか納得していない。その親子関係の緊張が、悪魔憑きという超自然的事件を通じて可視化されていきます。悪魔は鏡を通して現れ、娘をめぐる父の無意識的な恐怖――「娘を他者に奪われる」不安を象徴しているようでした。

鏡の中で彼氏が引きずられたり、首を締めつけられる場面は、まるで父親の心の奥底にある嫉妬や執着を具現化したように感じられます。ジェームズ・ワンは、悪魔という存在を人間の心の暗部と重ね合わせる演出が非常に上手で、単なるホラーではなく“心理の寓話”として物語を組み立てていました。

ラストの結婚式は、悪霊祓いと同時に、父が娘を他者に託す「心の浄化」として描かれていました。恐怖を通過儀礼とすることで、家族の絆を再確認させる。この構造こそが『死霊館』シリーズの一貫したテーマであり、ジェームズ・ワン作品に共通する“落ちのあるホラー”の真骨頂だと思います。

怖さの中にロジックがあり、恐怖の果てに納得がある。ホラーでありながら安心して観られる、まさに“理にかなった恐怖”でした。シリーズの完結編として、穏やかな満足感を残す一作です。

鑑賞方法: IMAX

評価: 62点

neonrg
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